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三大魔法学院対抗戦-惨劇-

書いていたデータがすべて吹っ飛んでしまい遅くなりました、ごめんなさい><

セルナグレイの中心部には宮殿がある。この宮殿は昔始祖の王が住んでいたといわれ今では重要文化財の一つとなっている。毎年大会の最中にここでは各国の王たちが秘密の会議を行ってきた。今日は大会3日目、厳重な警備の中会議は開かれていた。表向きは大会最終日に王達が姿を現すといわれているが実は大会2日目にはセルナグレイにいる。3日目の会議を終え彼らは国に帰り最終日にまた顔を出すというわけだ。


なんて効率の悪い話なんだろうか、ゼロは宮殿の中庭で寝転がって空を見つめてながら思う。ゼロの周りにいるのは蒼穹の翼のクランメンバー達だ。彼らは各々寝転がったり、本読んだり、カードで賭けをしたりと退屈な時間を過ごしていた。彼らがここにいるのにはもちろん理由がある。

それは会議の警護だ。彼ら以外にも警備の人間はいる。各国の王の近衛兵が周囲を守っているし、セルナグレイの警備兵もいる。ピリピリとした空気の中蒼穹の翼の面子がこれだけ暇を持て余しているのは、彼らが警備向きではないという点だろう。そもそも蒼穹の翼は討伐や殲滅、危険な調査を主に活動している。今回この仕事を引き受けたのは破格の報酬と王きっての頼みだったからだ。さすがに、国から直接依頼をされて、新人ばかりを連れて行くにも忍びないので、本部には外せない仕事をしている者と新人、わずかな人員を残し、選び抜いた精鋭を連れてきたつもりだった。一応、場数を踏んでいる連中であってか気配や殺気には敏感なため、それといったものが一切ないと知るとみんなだらけてしまったのである。

もちろん、ゼロは止めなかった。ゼロに真面目に働けと言うクランメンバーはいなかったのはゼロが若干ご機嫌斜めだったからだろう。

2日目は動けないサリアを看病したりとなにもない日だったし、警備のほうも蒼の虚無にまかせておけばいいと踏んで、3日目の試合を彼女らと一緒に見に行く約束をしていたからだ。何よりサリアがゼロと一緒に試合を見たがっていたので楽しみにしていたのにもかかわらず、蒼の虚無が今日の試合に呼ばれてしまい、宮殿の警備に来て欲しいと言われてしまったからだ。仕事でいけなくなってしまったとサリアに伝えた時、彼女の非常に残念な顔をさせてしまったのが今日彼が機嫌が悪い理由だ。

こんなくだらない会議如きにここまで人員を割く必要があるのかと、考えれば考えるほどイライラしてくる。そして何もおきずに太陽が真上に差し掛かったところで事件は起きた。

1人の負傷したセルナグレイの警備兵が宮殿に来たからだ。警備責任者に会いたいの一点張りだったため近衛兵も渋々ゼロの元にと連れて行った。


「至急、北門へとお越しください!」


ゼロに会うと開口一番で言われた。


「何が起きた?」


ただならぬ事が起きたと察知し、あえて訳を聞く。


「魔物の侵入です!ゴブリン、オーク、オーガ、それにタイタンオーガ!これらが北門に押しかけものの数秒でこれを突破!現在市内戦を展開中ですが数が多く、市民を守りきれません!至急応援をお願いします!」


この言葉にゼロもそして周囲のクランメンバー、近衛兵までもが驚いた。

魔物の侵入とはありえないことだ。セルナグレイは高い壁に囲まれた城壁都市であり、城門はより強固にできている。魔物などの侵入を防ぐために門には強化の付呪が何重にも施されているからだ。


「セルナグレイの城門はタイタンオーガの一撃にも耐えられるはずです!なぜ破られたのですか?」


ゼロの隣にいたレイラ不思議そうに聞く。


「魔人です・・・。魔人が3人ほど確認されています、奴らが門を破壊し、魔物が雪崩れ込んできたのです」


「魔人が・・・!?急いで向かわなくては!」


レイラはゼロを見ながら言った。


「魔人はもう門にいません、試合会場のほうに向かいましたら・・・」


「なら、安心だな」


「え?」


「あそこには蒼の虚無がいる。我々は侵入してきた魔物を討伐する、準備はいいか!?」


ゼロが振り向いてクランメンバーに声をかける。


「うおおおおおおおおー!!」


すると地面を揺らすほどの声が返ってきた。暇で退屈していたのだろうみんなさっきとは別人のような顔をしている。ゼロ達が戦闘準備をし、北門に向かおうとしているのを見て近衛兵隊長は慌てて引きとめた。


「ちょっとお待ちください!王達の護衛はどうするのですか!?」


「お前らは精鋭中の精鋭だろ?お前たちにまかせるよ」


「しかし・・・!」


「それともセルナグレイの市民を見捨てろと?始祖の地を民の血で染めろと貴様はそう言うのかね?」


このゼロの言葉に近衛隊長は顔を真っ赤にして押し黙った。隊長が反論しようとした時すでにゼロはいなかった。

蒼穹の翼が北門付近に到着するとそこは阿鼻叫喚であった。ゴブリンやオークが人々を襲い血祭りに上げている。都市の警備兵の姿はない、みんな地面に転がっている。オーガが武器を振り回すたびに人が舞い上がり建物が壊れていった。そんな様子を見た瞬間すぐに飛び出さないのはゼロの命令待ちだからだ。思考など停止しているわけもなくゼロは矢継ぎ早に指示を出す。


「2つの隊に分ける!ゲレオンは敵の殲滅を優先しろ!特に被害の多いオーガを最優先だ!レイラは市民の救出を優先しろ!東門なら都市兵の本部もあるからそこに誘導するんだ!」


「おうよ!」 「わかりました!」


大柄で大きな両手斧を持ち顔に切り傷が目立つゲレオンと金髪ロングで銀色の鎧を身に纏ったレイラが剣を抜き応える。ゲレオンとレイラが自分の率いる隊員を素早く決めていく中、ゼロは周りの状況をより詳細に観察していた。ゴブリン、オーク、オーガはいるがタイタンオーガの姿はない。


「いくぞ!」 「いくぜ!」


ゲレオンとレイラが市街戦を開始始める。ゼロはゲレオンと共に敵を殲滅し始める。右手に光の魔法剣を召喚し振るたびにゴブリンやオークが斬れて飛び散った。

ゼロはゴブリンやオーク、オーガを斬りながら先に先にと進んでいく。彼が探しているのはタイタンーガだ。


ゴブリンは人間の半分くらいの背丈で剣や棍棒を扱う小鬼だ。戦いに慣れている者であれば大したことはない雑魚だが戦いを知らない民からすればすばやく武器を振り回す小鬼は脅威だ。オークはゴブリンの上位互換といえよう。体の大きさも人間よりやや高く槍や剣を扱う。単独で動くことなく常に10~15体の集団で行動する。オーガは4、5メートルの大きさで剣や棍棒を扱う。暴力の化身といわれ国の兵士ですら集団でないと対処できない。しかし、今回襲ってきた魔物の中でもっとも脅威なのはタイタンオーガだろう。半巨人とも呼ばれ、大きさは8、10メートルになる。オーガの倍の大きさをほこり皮膚は岩のように硬く、魔法もあまり効かない。唯一の弱点は首の後ろだ。


街の中の巨大な何かが通った後をゼロは追いかける。すると遠くに巨大な影が見えた。さらに加速して最後尾のタイタンオーガの首を切り落とす。そこには30体前後のタイタンオーガの群れがいた。


「これだけの数がいたのか・・・」


ふっと笑みがこぼれる。タイタンーガが30体も集団で動くことすら異常にもかかわらず、奴らが一直線に試合会場のほうに向かっているという異常にもかかわらず、ゼロは笑っていた。それは久しぶりのやりがいのある戦いだからだろうか。足に加速魔法を付加し風魔法でさらに加速、タイタンオーガの先頭まで飛ぶと行く手を阻むように進行を止める。

先頭にいたタイタンオーガは突然現れた目の前の人間を不思議に思ったがあまり気にせず剣を振り下ろした。それがそのタイタンオーガの最後の記憶となった。


――場所は変わり試合会場――

時が少しだけ巻き戻る。試合会場では対抗戦もっとも盛り上がる集団戦が行われていたが謎の3人により試合は中断していた。


「てめえがここで一番強い奴かー?」


赤い髪でロングヘアの魔人が叫ぶ。その隣には青い髪でロングヘアが周囲を見回していた。そしてその後ろには白髪の老人が腕を組んでじっとしていた。

彼らと対峙しているのは銀色と青色のマスクを着けマントは青一色、銀と青の混ざり合ったローブを着ている人物、蒼の虚無だ。蒼の虚無は魔人の返事には答えずに両手を広げ無詠唱の魔法を放つ。巨大な炎が現れ3人を焼く。


「はっははははははは!こんな炎でどうしろっていうのかよ!」


赤髪の魔人が炎の中で笑う。


「大したことないな」


青髪の魔人も炎など物ともせずにそこに立っていた。炎が晴れた時、そこには蒼の虚無の姿はなかった。


「どこにいった!」 「まさか、上か!」


彼らのはるか上空には宙に浮いている蒼の虚無の姿があった。そしてすでに彼は詠唱を終えていた。


<雷鳴よ、我は裁きの剣を求める者なり。舞い落ちる光の雨よ天より光降り注ぎ、閃け断罪の剣 。ジャッジメントレイン!>


雷と光の雨が魔人達に襲い掛かった。二重詠唱による光と雷の融合魔法である。電撃が走り光が彼らを穿つ。しかし、蒼の虚無はそれを見つめながらさらに魔法を展開する。詠唱はしない、いや、必要ない魔法だ。消費するのは魔力ではなく魔力を濃縮したマナと呼ばれる物。それゆえに使用回数は限られている。マナは青い光を放つためかこの魔法も青い光を持つため他の者からすれば異常な魔法だと思われる。

蒼の虚無は最大容量のマナを使い消滅魔法を最大威力で食らわせた。青い閃光が会場内を包み込み光が消えていくとそこには戦いの後だけが残っていた。


(勝ったか・・・)


安堵の息が漏れる。魔人達の敗因は自分たちが誰よりも強いという自負、慢心。それが油断を生み怒涛の魔法攻撃により負けてしまったのだろう。

蒼の虚無は地面に降り立つ。会場を後にしようとしたその時背後から気配を感じた。

慌てて振り向くと初老の魔人が1人立っていた。


(こいつ今までどこにいた?)


しかし、蒼の虚無の心の疑問に魔人は答えることもなくは素早く間合いを詰め襲い掛かってきた。


(こいつ、接近戦に長けているタイプか!)


隙のない攻撃、しかも武器は使わず手刀で攻撃してくる。無詠唱で魔法を飛ばしてもなんなく避けられてしまう。詠唱をしようにも相手がそれをさせない。こちらが一旦距離を置いて離れようとするとなんなく近づいてくる。牽制に魔法を放っているにもかかわらずにだ。


(一か八か・・・こいつに賭けてみる!)


無詠唱による二重魔法陣の発動、顕現化される魔法は風と炎の融合魔法『フレイムストーム』炎の竜巻が魔人を捕らえる。これで倒せるとは思ってない、一瞬の隙をついてさらに魔法を放つ。詠唱が短く、より威力の高い魔法を。もちろん、これで仕留めようとは考えてない。相手の動きが少し遅くなればいい。少しずつ確実にダメージを与えていけばいいのだ。


<氷の精霊よ!其の力を以って凍結すべし!コキュートス!>


氷の魔法が発動するという所で急に魔法陣が消え発動中の魔法は霧散してしまった。


「なにが起きて・・・」


蒼の虚無の胸から手が生えていた。背中から手刀で貫いているのは魔人。

素早く手を抜くと、蒼の虚無は地面に崩れ落ちた。


マーリンが観客が会場の蒼の虚無を知るすべての人間が絶望に失望に悲しみに落ちた。

大陸最強と謳われた魔道士蒼の虚無が死んだのだ、それも魔人によってだ。最強の魔道士が敗れた今、あの魔人にかなう者はいないと・・・。

だが、マーリンは諦めていなかった。なぜなら、彼はもう一人の”最強 ”を知っていたからだ。『魔法剣士ゼロ』彼ならばあるいは・・・。そう考えマーリンはじっと待つ。


そんなマーリンや観客の反応を知る由もなく魔人はゆっくりと倒れた蒼の虚無へと歩いていった。仰向けに倒れた蒼の虚無をひっくり返し、蒼の虚無の仮面に手を触れる。

別に深い意味はない、ただ戦った相手の顔を確認したい、それだけだった。

仮面をゆっくりと外す、そこには黒髪に整った顔立ちのゼロとそっくりの顔がそこにあった。


「なんと・・・!」「おにいいさまあああああああああ!」


マーリンの声とサリアの声が重なる。失意のマーリンであったが色々疑問は残っていた。だが目の前に起きている事実を受け止めなければならない。


(終わりか・・・)


魔法知識に長けるものの戦闘に関しては素人同然のマーリンは静かに椅子に座った。この状況の打開する案を考えながら。


一方、サリアは一目散にゼロに駆け寄ろうとしたところを周囲の友人達に止められていた。


「離して!早く、早くお兄様を助けないと!」


「だめだ!サリア!今行ってもあいつにやられるだけだ!」


エルが後ろから押さえつける。


すると声を聞いたのか魔人がサリアのほうに振り向く。


「この人間の知り合いかね?残念ながら手当ては必要ない、心臓を貫いた。もう死んでいるよ」


それは知りたくなかった事実、サリアを絶望に落とす最後の言葉だった。サリアはその言葉を聞いた瞬間そのまま地面にへたり込んでしまった。慌てて彼女の友人たちがサリアを助け起こそうとするが、彼女はもう立ち上がろうとはしなかった。彼女に残された最後の家族が目の前に倒されてしまったからだろう。試合会場は暗い空気が漂い、太陽が雲に隠れ暗い、暗い空がセルナグレイを覆った。




次回シリーズラストです

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