三大魔法学院対抗戦-序章-
学園ものではもはや定番どおりの展開で申し訳ありません
絢爛豪華な城のある部屋に数人の男たちがいた。長方形のテーブルに豪華な服や甲冑、鎧を着た人が向かい合っている。そのテーブルの上座には金で作られた豪華な椅子に恰幅の良い男が座っている。頭には金の王冠があり白いひげを生やしている。
貴族風の男が口を開く。
「ついにここまで来ましたな!すべて計画は順調に運んでおりますぞ」
これに対し向かいの騎士風の男が口を開く。
「しかし油断は禁物です、計画通りだとしても一度のミスは失敗につながります」
「そんなことは貴様に言われんでもわかっておるわ!」
「ほう、ではこの前のアレはなんですか?あんなことをして計画に支障が出ないとでも?」
「あ、あれは計画の前段階だ!それに失敗はしておらんだろうが!」
「あの行為自体が失敗ですよ」
「なんだと!」
いがみ合う二人を前に王はテーブルを指で叩きながら虚空見つめている。それに気付いた甲冑を着た男が二人をなだめながら王に問いかける。
「二人ともそこまでにしなさい。陛下、いかがなされましたか?」
「先程の三大会議で、2カ国が会場の警備を蒼の虚無に依頼することを支持した」
「なっ!?」 「あ、蒼の虚無にですか!?」 「なんということだ・・・」
王の発言に男たちがざわめく。
「陛下は反対なさらなかったのですか?」
「もちろんした、会場の警備は3カ国の精鋭兵が警備に就くべきだと主張した。しかし、あの2カ国はすでにギルドのほうにも話を通しているらしくわが国に対しては事後承諾という手段を講じてきた」
「そんな・・・」
「もしやこちらの計画を阻むための処置でしょうか?」
「いや、それはないと思う。私も牽制と考えたがそもそも計画を知っているのなら蒼の虚無に依頼する必要がない。あれは国に干渉できぬからな」
「確かにそのとおりですね、やはり偶然でしょうね」
「計画はこのまま進めるが、万が一の備えをしておいたほうがいい。場合によっては蒼の虚無と戦う必要もあるかもしれぬ」
「アレを我々で倒せると?」
「倒さなくても目を背けることもできるし注意を引くだけで構わん」
「では、すべてこのまま進めるとしましょう」
「「すべては我ら始祖の栄光のために!!」」
サリアの朝は早い、と自負はしているが今まで兄のゼロより早く起きたことがない。早く起きようと思って起きようと頑張ってもなかなか起きられない。目が覚めるといつもちょうどいい時間なのだ。起きたらまずシャワーを浴びる、もちろん長くは浴びていられない。シャワーを浴びたら着替えをしてリビングに行くとゼロが朝食の用意をして新聞を読んでいる。ここで初めてサリアはゼロに挨拶をする。
「お兄様、おはようございます」
「おはよう、サリア」
朝食を食べながら今日の授業は何をやるのかとかを話題にする。朝食が終わると歯磨きをして鞄を持ちゼロと一緒に家を出る。学院通り前までは腕を絡めたり手をつないだりとするが友人やクラスメイトを見かけると離れ友人たちと合流する。
今日の授業は魔法薬学、地理学、植物学だ。
ゼロの朝は早い、まだ辺りが暗い頃に起きる。隣で寝ているサリアを起こさないように起き上がるが未だサリアが若干目を覚ましそうになってしまう。そのため、催眠魔法を軽めにかけてから起きるのが最近有効だとわかった。起きたらまずやることは鍛錬だ。剣の素振りを今まで習得した剣術の型を一通りこなしていく。次に体術、格闘術、そして、最後に魔法だ。魔法に関しては特にこれといって特別なことはしない。すべての系統の属性を一通り発動させる。これらをやり終わる頃には辺りが明るくなってきている。
次に朝食の準備だ。料理は自分で、パンに目玉焼きにサラダ、ベーコン。焼くだけだから楽だ、準備し終わり玄関から新聞をとってきて椅子に座り読み始めるとちょうどサリアが起きてくる。
「お兄様、おはようございます」
「おはよう、サリア」
今日の授業など他愛のない会話をして家を出る。最近、サリアは学院近くまでよく腕を絡めてくる。友人たちを見かけるとさすがに恥ずかしいのか解くが学院に行く時と帰る時はだいたいこんな感じだ。
サリアがレンやエルと合流すると今日の予定を考える。授業は正直どうでもいい、どうせたいしたことはやらないだろうと思いいちいち科目を覚えていない。昨日も遅かったし、アルベリクのやつめ、もっと簡潔に報告書をまとめろと言いたい。最近、魔物を倒すよりも書類仕事のほうが楽しいとは言っていたが文章力のほうはまだまだだな。
教室に着きクラスメイトに適当な挨拶をしながら席に着くととりあえず、寝た。
「ゼロ君!ゼロ・レクマイヤー!起きなさい!」
耳元で叫ぶ声がしてゆっくりと起き上がる。目の前には担任のブレンダが立っていた。
「いつまで寝ているの!?みんな修練場に向かったわよ?」
「あー・・・そういえばみんないませんね~」
周りを見渡すと教室は空だ。
「のん気なこと言ってないの!選抜試験はもう始まっているんだから早くして!」
「はぁ?選抜・・・?なんのことです?」
「いいから早く行く!向こうで説明します!」
追い出すようにして教室からでると修練場に連れて行かれる。修練場にはすでに大勢の生徒がおり中央のステージには1人の男子学生がイライラと待っている。手には光る緑の剣を持っていた。
とりあえず、適当なところにでも座ろうとするとステージに連れて行かされた。
疑問そうな顔をしながら男子生徒と対面する。
「やっと来たな、遅刻だぞ!」
「ああ、すまない。ところで何をやるんだ?」
「授業を聞いていただろう?いいから、いくぞ!」
「いや、授業は寝ていて状況がよく・・・」
「問答無用!」
そう男子生徒は叫ぶとゼロとの距離を一気に縮め、手に持っている緑色の剣をゼロに向かって振り下ろした。咄嗟にゼロはその剣を腕でガードして止める。剣から風が吹いてゼロの服や髪をなびかせ地面がえぐられたが気にしない。
「なに!?素手でガードしただと!貴様も風属性か!」
「うーん、そうであってそうでないような感じだなぁ」
「何をよくわからないこと言っている!さっさと沈めええええええ!」
剣を振り回しながら突っ込んでくる男子生徒を避けつつ、状況を考える。
(どういうことだ?魔法実習か・・・、いや、思い出せ。先生は確か選抜試験とか言っていたような・・・?選抜試験・・・?まさか)
「食らうがいい!<我が魔法剣カタールよ、その身に宿す力を解放せよ、エアリアルソード!>」
剣から風が吹き荒れると思うと次第に収束していき巨大な風の刃となってゼロに襲い掛かる。反射的にゼロは風の刃のほうに手を向けると風を押し返すような仕草をする。すると風の刃は周りの風と共に吹き飛ばされて飛んでいった。もちろん、男子生徒も一緒に巻き込まれ壁に激突した。
わぁ!と歓声が上がり
「決まりました!ゼロ選手の魔法干渉!これで三大魔法学院対抗戦の最後の選手が決まりました!」
と、会場内でのアナウンスが流れる。
「ちょ、ちょっと待て!俺は対抗戦には出ないぞ!」
ゼロは対抗して言うが周囲の歓声で担任まで声が届かない。
「ゼロ君おめでとう!」
そんなようなことを言いながら近づいてくる担任にゼロはなるべく大きな声で返す。
「俺は!対抗戦には出ません!棄権します!」
「そうね!よくやったわ!」
どうやら周囲の声が大きすぎてうまく伝わっていないらしい。
ゼロはやれやれと首を振りながら呪文を唱える。
「<我求めるのは静寂、其れは人の言葉に限られし、サイレンス!>」
音がなくなった。みんな一斉に口を動かしているが声が聞こえない、ゼロは彼らの声を一時的に消したのだ。
『無属性魔法サイレンス』
術者の指定した音を消す魔法であり、隠密行動の際足音を消したり、鎧の音、衣擦れの音などを消す時に使う。なお魔道士にも有効だが、術者の魔力が相手より高くなければこの魔法は効果がない。
「先生いいですか?俺は対抗戦にはでません、いいですね?」
ブレンダ先生は首を振りながら否定のジェスチャーをするが、ゼロは無視して続ける。
「事情があるんです、申し訳ありませんが試合をやり直すなりしてくだい。俺は辞退します。それでは」
そう言い切ると、しゃべれない全員を残して修練場を出て行く。ゼロが出て行った後、声が元に戻りゼロの言葉を聞いていたものは叫ぶが当の本人はすでに出て行った後だった。
教室に戻ると色々と聞かされてめんどうだと思ったゼロは図書館で寝ていた。事前に選抜のことを知っていればあのような事態にはならなかっただろう。ふと、目を覚ます、誰かに呼ばれた気がしたからだ。気のせいか?もう一度寝なおそうとした時校内放送が流れた。
「ゼロ・レクマイヤーは至急教員棟2階の会議室まで来なさい、繰り返します」
やれやれ、選抜のことで今度は呼び出しか。ゆっくりと起き上がると教員棟を目指して歩いた。会議室には他クラスの担任や自分のところの担任、おまけに教頭までそろっている。教室に入り、一同の前まで来たゼロに対して初めに教頭が口を開いた。
「ゼロ・レクマイヤー、君はなぜ三大魔法学院対抗戦の出場を辞退するのかね?」
「事情により出場はできないので」
「事情とは?」
「自分は・・・ギルドに所属しているからです。魔道師ギルド規定第1条、ギルドに所属する者は常に中立であり他国に干渉してはならないと明記されております。よって自分は対抗戦に出られません」
出れない理由も添えてゼロが話した。
「魔道師ギルドか、しかしたかが魔法対抗戦如きで他国への干渉には当たらないのではないのかね?」
この発言にゼロは眉をひそめた。まさか、こいつらは三大魔法学院対抗戦の真の意味を知らないのかと。
『三大魔法学院対抗戦』
創世記0895年、フィクナーレ皇国ビクルナ三世が各国にある学校同士を戦わせる大会をやろうという提案を出した。自国の魔道士がいかに優れているかを競い合い技術や知識の交換をして年に一度他校との交流を深めようと考えたのだ。
カルパニア王国、ギルナミア帝国、フィクナーレ皇国、これらはこの大陸ガイアに存在する国々である。この世界においてもっとも強く恐ろしいものといえば魔法である。よって各国の軍事力は兵の数や装備の充実さで決まるのではなく、魔法の強さで決まるのだ。
魔法が強い、強力な魔道士がいる国ほど強い立場となり、戦争を起こしかねない。そのため強力な魔道師(特に実戦慣れしている)などを大会に出場させては国の軍事バランスが崩壊し戦争が起きてしまうだろう。
長年務めてきた教頭ならこの程度のことは知っているはずにも関わらずこのハゲときたらそんなことも知らずゼロに向かって対抗戦に出ることはこの大陸にとって非常に栄誉なことだとか、大会に出られることですら名誉なことだとか言ってくる。
「なんと言われようとギルドに所属している以上大会に出場することはできないのは変わりませんし、なにより大会規則にも書かれていることでしょう?まさか規則を破る気なのですか?」
「別に規則を破れとは言っておらんよ、君が魔道師ギルドを辞めればいいだけの話だ」
と、とんでもないことを言い出す。
さすがにこの発言にゼロも怒りが溢れるがなんとか抑えた。
「あなたにそこまで自分に干渉する権利はないと思いますが?」
「ふん、辞める気がないのなら学院を去ることだな」
「なるほど、わかりました。では、『大会を辞退しようとしたら学院から退学命令を出された』と大会委員会に報告しましょう」
「いち学生がそんな戯言を言ったところで委員会が取り合ってくれるものか」
「おや、お忘れですか?自分は学生ですが魔道師ギルドの一員でもあるんですよ?」
「ギルドの一員といってもランクはしれているだろう?とっとと教室からでていきたまえ!」
「失礼します」
これ以上議論しても無駄そうなので引き下がるゼロ。とりあえず家に帰ったら大会委員会にでも連絡を入れて圧力をかけてもらおう、と考えながら歩いていると前からサリア、エル、レンが来た。
「お兄様~」
サリアが走って胸に飛び込んでくる。
「おおっと、嬉しそうだな、サリア」
「はい、お兄様、私三大魔法学院対抗戦の代表に選ばれました!」
「え?」
「おいおい、あたしとレンもだろ?」
「そうなのか?」
「はい!」
「それは・・・すごいじゃないか!よくやったな!」
「「ありがとうございます」」
「お兄様ももちろん選ばれたのでしょう?」
「いや、俺は辞退した」
「「えー!!」」 「なぜですか、お兄様!」
「ほら、俺だと・・・実力が違いすぎるからつまらないだろ?だからな、な?」
「まぁ、確かに・・・」 「魔人を倒しましたしね・・・」 「SS級の魔法撃つもんな~」
なんとか思いついた言い訳で3人をなだめる。
「それより、なんか俺に用事か?」
「ええ、先輩に頼み事がありまして・・・」
「なんだ?」
「お兄様!私たちを鍛えてください!」
「はい?」
更新ペースをもう少し上げたいですがこれがどうやら限界のようです




