表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
執着王子から逃げた令嬢は、秘密だらけの天才魔導師に拾われました――愛だと思っていたものは、執着でした。  作者: ゆにみ
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/49

28、話が噛み合わない

 ギルドにクロード殿下が来ている。


 (なんで……!?)


 それに、さっき確かにはっきりと目が合った。その瞬間、クロード殿下はこちらへ向かって走り出したのだ。


 (気付かれたの……!?)


 でも、どうして?

 ユーリの認識魔法がかかっているはずじゃないの?

 それに以前、街で鉢合わせた時には気付かれなかった。


 それなのに、今回はどうして……!


 先ほどは、クロード殿下の姿を見た瞬間に身体が強張り、その場から動けなくなった。けれどユアンと目が合った途端、はっと我に返る。そして、無我夢中で走り出した。


 (私はもうあの部屋には閉じ籠りたくない……!)


 やっと見つけた気がするの。自分の居場所を……!


 けれど背後から迫る足音はどんどん近づいてきた。


 その時。


 「リゼリア……っ」


 ぐいっと腕を引かれ、身体ごと抱き寄せられた。その瞬間、リゼリアは血の気が一気に引いた。


 「……よかった」


 耳元で安堵したような声が落ちる。

 よかった……? どういう意味なの。


 だけどそれよりも――。


 (どうしよう……!)


 なんて言ってこの場を切り抜けようかと思考を巡らせていた時、再びクロード殿下が口を開いた。


 「リゼリア……無事だったんだな」


 ますます意味がわからなかった。だけどその声には迷いがない。まるで最初から私がリゼリアだと確信しているようだった。


 それに――あまりにも優しい声音だった。


 けれど、なぜだろう。それが妙に恐ろしかった。


 それに、さっきまで走っていたせいだろうか。息苦しさが増していく。


 「ど、どなたかと間違えているのではないでしょうか」


 震えそうになる声を必死に押し殺しながら答える。

 するとクロード殿下は静かに首を振った。


 「もう君を二度と間違えないさ……あの時の事はすまなかった。姿が変わっていたんだな。見つけられなくてすまなかった」


 宥める様に頭をそっと撫でられる。

 なんだろう……本当に話が噛み合わない。


 「えっと……私は――」


 「いいんだ」


 クロード殿下は遮るように言った。


 「分かっている」


 全然分かっていない。そう言いたかったのに言葉が出ない。


 「君を連れ去った男に脅されでもしたか? もう大丈夫だ。一緒に帰ろう」


 低く穏やかな声が落ちるとともに、抱き寄せられていた腕に力がこもる。


 そこでようやく理解した。

 クロード殿下は私が自らの意思で逃げたのだと思っていない。連れ去られたと思っているのだわ……!


 その瞬間、急に足の力が抜けて膝折れしそうになる。けれどクロード殿下がさらに強く抱き留めた。気付けば、その胸に体重を預ける形になっていた。


 「やっぱり……リゼリアだろう」


 その声はどこか確信に満ちていた。


 「大丈夫だ。今、魔力補充をするから――」


 その時だった。


 「――おい」


 低い声が空気を裂いた。


 はっと顔を上げる。そこに立っていたのは――。


 いつも隣にいるのが当たり前になっていた人。認識魔法で姿を変えたユーリだった。


 (ユーリ……!)


 その姿を見た瞬間、胸の奥に安堵が広がる。


 怖かった。本当にどうしていいのか分からなかった。

 けれど、ユーリが来てくれた。それだけで大丈夫だと思えてしまう。


 「戻ってくるのが遅ぇなと思って来てみたら」


 ユーリは冷え切った視線をクロードへ向けた。


 「おいお前、こいつを離せよ」


 その瞬間、クロード殿下の表情が初めて大きく変わった。


 「お前は…………!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ