嫌われ巫女様の婚約者は４人もいる。

　時は大正時代。国全体が、時代の波に揉まれる中で、とある小さな田舎の町には、昔からの信じられないような仕来りが存在していた。

　ーーー強大な巫女の力を持った女は、２０の歳になったら跡継ぎの為に子を成さなければならない。

　そこには、巫女本人の意思など無い。巫女の血を絶やしてはならないと考えた人々が、２０になった巫女の女を幽閉し、選ばれた若い男を差し出して共に過ごさせ、ほぼ強制的に同衾させるというものだ。

　そうして、今代の巫女の前に現れた、４人の男たち。威圧感漂う軍服に身を包み、軍帽を目深にかぶったその若い軍人たちを、巫女はただじっと、そこに正座をしながら静かに出迎えた。男たちの、帽子の奥から覗く、射抜くような鋭い眼を見つめながら。



　………そう。今日この日から、町の嫌われ者の巫女は、見知らぬ４人の男たちと共に、奇妙な同棲生活を余儀無くされたのだ。









※実際の歴史や史実とは異なります。
※リアル合間の執筆の為、更新のんびりですごめんなさい。
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