第8話
各種食材の調達が見込まれる場所を聞き出した私はさらにどの場所にどういう人員で行けば良いか側近達と一緒に検討した。
肉が見込まれる場所にはトカゲ男を中心とした戦闘集団、魚が見込まれる場所には緑色の男達、穀物と地面の中にある野菜の収穫にはゴキブリ人間達、それ以外の女性達は果物や葉野菜などの地上で採れる野菜を収穫する方針に決まった。
現地への移動については転移魔法が使える場所まで移動してから各自徒歩で移動し、良い狩場や収穫場であった場合はそこに転移用の石を新たに設置する事にした。
早速行動開始しようという事で、今話し合った内容を別の洞窟にいる魔物達にも説明してもらおうと側近の二人の女性に頼もうとしたところで、私は昨日考えていた件を思い出した。
「ええと、ここにいる皆に名前を付けたいと思うのですが良いでしょうか?」
「名前……、でございますか?」
「名前というと、人間達が使っている個体識別を現す言葉ですね?」
「魔王様の仰せのままに」
「はい、従います」
「異議ありません」
「私も魔王様に従います」
「まぁ名前と言っても人間達が使っている正式な名前ではなく、呼び名になるんですが……」
「我等はそれで構いません」
側近達は皆頷いて肯定した。
「ありがとう、それではまずあなたの呼び名なんですが……」
そうして私は側近一人一人に呼び名を付けていった。
緑色の男にはゴブロ、女性の方にはゴブリと名付けた、もちろん引用元はゴブリンである。
トカゲ男にはリザロ、女性の方はリザラと名付けた、もちろん引用元はリザードマンである。
巨大ゴキブリにはコックと名付けた、コックローチとコックが元ネタだが、さすがにこれはちょっと酷いと思わないでもない。
全身マントが一番悩んだが、結局かなり安直にマジクと名付けた、まぁマジックが元ネタなのは言うまでもない。
まさにちゃんとした名前というよりは単なる呼び名に過ぎないもので、私としてはアレとかオイお前とかで呼ぶよりは良いという思いつきで付けたに過ぎないのだが、その事が驚く程の効果を引き起こしたのであった。
私に勝手に名を付けられ、その名を呼ばれた側近達は目を大きく開いて驚きの表情をあげた後、数秒の間眩い光に包まれた。
そしてその光が治まった後に現れたのは、それ以前の容姿とはかなりかけ離れた姿に変容していた姿であった。
緑色の肌の男と女は肌の緑色が薄くなり、醜い容姿に加えて体型までもが変化して、大分人間らしい姿になった。尖った耳と鼻と釣りあがった目なども一応面影を残しつつも以前と比べ物にならない程良い見た目の容姿になった。
トカゲ人間達も同様で、大きなトカゲを二足歩行にさせただけの容姿からより人間らしい容姿に変化し、男の方はより格好良くなり、女の方はグラマーで色っぽくなった。
しかし残念ながらゴキブリ人間と全身マントの小人は全く変化がなかった……
しかしゴキブリ人間はとても喜んでいて、理由を尋ねたところ、なんと透明になるスキルが新たに追加されたと言い、早速スキルを使うと言うとまさに徐々に身体が透明になっていき、完全に見えなくなった。
皆とても驚き、これは今後かなり役に立ちそうだと言って喜び合った。
全身マントもとても喜んでいたので、理由を尋ねると飛行スキルが新たに追加されたそうで、これで私以外にも飛行可能な人員が加わり、これもまた今後にかなり有益だった。
新たなスキルが加わったのはコックとマジクの二人だけだが、全員レベルが一つあがったようで喜んでいた。
もしかして自分もあがったかもしれないと思い確認してみた。
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真央 真人
レベル:4⇒5
生命力:40⇒50
魔法力:40⇒50
持久力:40⇒50
攻撃力:40⇒50
防御力:40⇒50
素早さ:40⇒50
幸運度:40⇒50
魅力 :40⇒50
【魔法】
回復 :4⇒5
雷撃 :4⇒5
【スキル】
威圧
飛行
調理
統率⇒士気向上(進化)
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「あっ! 自分もレベルアップした!」
「オォーーーッ!」
「おめでとう御座います魔王様!」
「さすが我らが魔王様!」
「魔王様万歳!」
皆の名前も決まり全員レベルアップしたということで、残り少ない酒を美味しい雪解け水で割って皆で乾杯して飲んで皆の士気も上がり、意気揚々と食料調達作戦を開始した。
まずはマジクに肉が見込まれそうな場所の近くにある魔方陣の紙を出してもらい、私とマジクだけで様子を見てくる事にした。
その間ゴブロとリザロには待機してもらい、ゴブリとリザラには食料調達作戦の説明のため別の洞窟に向かってもらった。
私とマジクが転移した場所は、大きな岩に開けられた穴の中で、天井までの高さは3メートル程で奥行きは15メートル程で幅は20メートル程もあり簡易居住地として使えそうだった。実際数千年前は住居だったようで、人間達のいる大陸に侵攻する前までは使われていたようだった。
穴から出て外を確認すると、遠くにわずかな緑と背の低い木が生えているのが確認出来た。それよりさらに遠い先に南西部の火山地帯の山々が見えたが、山頂付近は赤く燃えていた。
早速わずかな緑地へと飛行魔法で移動する事にしたが、私もマジクも初めてなのにすぐに飛ぶことが出来た。とはいえ初めての事なのでまずはあまり高度と速度はあげずに地上5メートル付近を時速20キロ位で飛行した。
5分程飛行し続けたところで徐々に高度と速度をあげていき、地上20メートルで速さ50キロ程にまで達した。
「マジクはどう? 私はまだいけそうだ」
「私もまだ大丈夫です」
私とマジクはさらに高度と速度をあげていき、高さ100メートル時速100キロ超まで出した。
まだまだいけそうではあったが、私もマジクもマントがバタバタとすごい音をたててはためいていて、顔面に当たる空気抵抗も煩わしかったので速度を落とした。
「あっ、大きな湖がある」
「あの辺りには水を求めて色々な生き物がやってきます、魚も沢山います、ただ獰猛で危険な生き物もいるので注意が必要です」
「僕等の仲間はいないのですか?」
「分かりません、これまでほとんどの者達は人間達のいる大陸に進出していったので、逃げ戻った者達がここまで戻ってくるにはかなりの日数がかかるかと思います」
「なるほど……、あとこの付近にはガガルのように空を飛ぶ危険な生き物はいますか?」
「空の王者と呼ばれるホーグルという生き物がいます、この付近にはエサとなる生き物が多くいるのでホーグルもいるかも知れませんが今見た限りではいないようです、しかし注意した方が良いと思います」
「分かりました、要注意ですね」
現地近くに達したので私達はさらに高度と速度を落として周辺環境調査を行った。
「以前よりも大分沢山の生き物が増えています、私達が長年人間の大陸に行っていたおかげでここまで回復したのだと思います、これならば食料には困る事はないでしょう」
マジクの言う通り水辺には沢山の生き物がいたが、そのほとんどが巨大な爬虫類のようで、毛皮に覆われた哺乳動物はみかけなかった。
「あの中で要注意な生き物はどれですか?」
「そうですね……、あっアレをご覧ください」
「うん? あっ! アレは危険そうですね」
「はい、アレはクロゲータと言ってとても狂暴な生き物です、水を飲んでいる生き物を水中に引きずり込んで捕食します、強靭なアゴによって噛まれると逃げるのは不可能です」
マジクが教えてくれたのは巨大なワニで、こうして上空から湖を見ると大きな黒い影が見えるので私達はその存在を確認する事が出来た。
「クロゲータは良いエサを食べて育っているいるので、食べるととても美味しいです、それにアレの皮で作った鎧はとても頑丈です、牙も武器に仕えるのでとても有益な存在です」
「それは何としても捕まえたいですね」
その後も周辺状況を確認して、食料になりそうな物を見つけていった。




