第7話
腹を空かした魔物達が待つ洞窟に行くと、皆とても喜んでいる表情をしているのが分かり、皆醜い姿の異形の魔物達ではあるが、私にとっては私の作った料理を食べて満足してくれるお客さんである事には変わらず、そんな皆を見て私も嬉しくなった。
そんな魔物達はさらにまだ食べ物があるという事に目を輝かせて喜び、もちろん全員の分はしっかりあると言うと、小さなゴキブリ人間達も含めて泣いて喜んでいる者もいた。
皆ちゃんと整列して並び、私は自ら器にガガラ肉の鳥雑炊をたっぷり盛って皆に配った。
一応人数分のスプーンも持っていったが、皆指ですくって食べた。その姿はとても喜びに満ちていて魔物同士互いに喜び合っていた。
私達も一緒に食べる事にして、私は米粒一つ残さず綺麗にかき集めて器に入れて食べた。
少ない調味料と短い煮込み時間の割には、まぁまぁ美味しい物が出来た事に満足しながらも、とてもじゃないがこれは人前に出せる料理ではないなと苦笑しながら食べた。
しかし周りにいた者達は皆、こんなにも美味しい物を食べるのは初めてだと言って大いに感激している様子だった。
そして小さい魔物達はほぼ全員がレベルアップしたと言って驚いて喜んでいた。
私もまたレベルアップしたようなので、早速確認してみた。
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真央 真人
レベル:3⇒4
生命力:30⇒40
魔法力:30⇒40
持久力:30⇒40
攻撃力:30⇒40
防御力:30⇒40
素早さ:30⇒40
幸運度:30⇒40
魅力 :30⇒40
【魔法】
回復 :3⇒4
雷撃 :3⇒4
【スキル】
威圧
飛行
調理
統率(新)
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「あっ、私もレベルアップした」
「オォーーーッ!」
「おめでとう御座います魔王様!」
「おめでとう御座います!」
周りの皆から盛大にお祝いの言葉をもらって、私は皆と一緒にレベルアップを喜んだ。
その後皆お腹いっぱいになって安心したのかウトウトし始めたので、私達も拠点に戻って休む事にした。
どうやら私専用の寝室があるらしく、案内してくれたのは緑色の肌の女性の魔物だった。
案内された部屋はおよそ10畳程の部屋で、ちゃんとしたベッドと掛け布団があり、衣服を掛けるハンガーと机と椅子もあり、床には絨毯も敷かれていて、壁には漆喰のようなものが塗布されていて洞窟の岩がむき出しという事もなかった。
「どうぞ、ごゆっくりなさいませ、何かありましたらお申し付け下さい」
「ありがとう……、えっと……」
「?」
「あなたのお名前は何と言いますか?」
「名前……、ですか?」
「はい」
「私達には名前はありません、名前は人間達が使うもので私達は使っていません」
「えっ? それでどうやって相手を認識するんですか?」
「お前とかアレなどで通じます」
「それで通じるんですか?」
「はい、どの個体か想像して話すと相手にも伝わります」
「本当ですか? 凄いですね、私でも伝わるでしょうか?」
「伝わると思います」
「ちょっとやってみてもいいですか?」
「はい」
私は炊き出しの時を思い出して、腕を一本失っているゴキブリ人間が思い浮かんだ。
「アレは大丈夫だろうか?」
「腕が一本ない個体ですね、はい大丈夫です、今日魔王様から栄養たっぷりの食事を頂いたので、数日後には新しい腕が生えているでしょう」
「凄い! 本当に通じるんですね! ではあなたの方からも誰かの話しをしてくれますか?」
「分かりました……、アレは見込みがあります、将来有望だと思います」
「あ! アレですね! 確かに私もそう思いました、アレは頭も良さそうです」
アレとはまだ身体の小さいトカゲ人間の事で、ガガルの肉の運搬を依頼した時に、増援を呼んできても良いかと進言してきた者で、その後の動きも素早かった。
どうやらこれは魔物達だけが持つ特殊能力のようだと私は考えた。
確かにこれはかなり便利だが、アレとかオイお前だけで呼び合うのは何とも寂しいというか親しみを感じないので、せめて側近達や身近な者達には名前というか愛称のようなものを付けて呼びたいと思った。
その後緑色の女性は退室し、私はベッドに横になりながら側近達の顔を思い出して一人一人の名前を考えた。
翌朝、食べ物が入った箱の中から小麦粉を取り出して簡易的なパン生地を作り、新鮮野菜をスライスして、干し肉を軽く炒めて、残った油の上で薄く伸ばしたパン生地でクレープを作り、スライスした新鮮野菜と軽く傷めた干し肉を乗せてくるくる巻いた。
また、昨日ガガラの鳥ガラスープを作った際、本当はもっと煮込みたかったと思ったが、その時残った鳥ガラとまだ完全に煮込み切っていない具材に水を足して煮込んで一晩寝かしていて、それを水で薄めてスープを作った。
本当は別の洞窟にいる30人の魔物達にも作って届けてあげたいところだが、食べ物入れの箱の中の食材は潤沢にあるわけではないので、毎回気前よく提供するわけにはいかなかった。
「まずは早急に食料調達を考えないと……」
横で私の料理の手さばきをガン見していた巨大ゴキブリもウンウンと頷いていた。
巨大ゴキブリと一緒に出来上がった料理を食卓に運び皆の分を並べていると、皆自分達の分もある事にとても驚いた。
限られた食材と調味料で料即席で作った割にはまぁまぁの物が出来たが、それでも私はなんとかしてより多種多様なな調味料を手に入れたいと思った。
「これは美味い! 朝からこのように美味しい物をいただけるとは!」
「然り! 実に独創的で美味しくそれでいて沢山の食材を一度にとれる便利さ! 魔王様の明晰な頭脳と御業は歴代最高です!」
「大変美味しゅう御座います! 魔王様!」
「美味しいです! 魔王様!」
「有難う御座います! 魔王様!」
「魔王様万歳!」
残念ながら具入りクレープは一人一個で、他にサラダなどもなければ食後のお茶もないので、あっという間に朝食の時間は終了し、美味しい雪解け水だけは豊富にあるので、皆で水を飲みながら今後の行動について話し合った。
「喫緊の課題は食料調達だと思うのですが、皆はどう思いますか?」
「賛成です」
「私もそう思います」
「魔王様の仰せの通りでございます」
「飢えていては戦えないですからな」
「賛成いたします」
「私も賛成です」
「人間達がいる大陸に侵攻する前、ここに住んでいた魔物達はこれまでどんな食料を調達していたのでしょうか?」
「そうですね……」
その後皆から話しを聞き、途中から地図を取り出してどの地域でどんな食料が調達出来るのか確認していった。
私はおおまかに肉、魚、穀物、野菜、果物で区分けしてそれぞれの食材が調達出来そうな場所を別の紙に書き込んでいった。
その様子を見守っていた側近達はまるで人間のように聡明だと言って大いに感心していた。
まぁ元が人間ですから……




