↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まおうが魔王になる物語  作者: キクメン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/23

第17話

 その後要塞内に入って隅々まで調査したが、死体も遺留品も武具も一切見つからなかった。


 しかし少し離れた小高い丘の上に無数の木札が地面に刺さっていて、どうやらそれらは人間側の兵士達の墓だという事が分かった。


 それはおびただしい数で、海岸線に沿って何列にも渡って存在していた。その数は数千どころか数万程はありそうだった。


 そうして初めて最南端の地に訪れた私は、肉眼で海の向こう側に人間達がいる大陸を目にする事が出来るという事にとても驚いた。


「あんな近くにあるの!?」


「はい、冬になると強い追い風が吹くので我々は容易に短時間で人間達のいる大陸に進出する事が出来ました」


「そうだったんだ……、これはちょっと考えを改めないといけないな……」


 私はマジクにここに来る前に回収した転移魔方陣を海岸が良く見渡せる高台の丘に設置して、私と同じくらい目の良い獣人達に交代で見張りをしてもらおうと考えた。


 まさかこれ程近いとは思っていなかったので、今後もしも人間達がこちらにやってきた時にいち早く知る必要がある。


 早速拠点に戻ってマジコとミケに来てもらい、遠くから見て目立たないように偽装した監視所を作ってもらい、今後獣人達に交代で人間達がやってこないか見張ってもらうよう依頼した。


 その後側近達を集めて会議を開き、今後もしも人間達がやってきた場合にどう対処するか検討したが、どう対応しても勝てる見込みがないので、いかに人間達に知られずに安全な場所に移動するかという点での議論となった。


 また、私はどうしても対岸の状況を確認したいと皆に訴えて、夜中に密かに上空から人間達のいる大陸を偵察してきたいと説得した。


 皆魔王である私に対して異を唱える事は出来ないので、若干申し訳ない気持ちがあったが、それでも今の安定した生活を守るためにはどうしても対岸の状況を知っておく必要があり、慎重に慎重を重ねて人間達に知られずに戻ってくるのでどうか行かせてくれと頼み込んだ。


 せめて万が一の場合の盾として魔法人を連れて行って欲しいと言われたので、転移魔法が使えるマジクと炎の魔法が使えるマジエを連れて行く事になった。


 早速その日の深夜に転移魔法で最南端に行き、そこから飛行魔法で対岸にある人間達のいる大陸へと向かった。


 マジクに空から侵入する我々を感知出来る魔法はあるかと聞くと、さすがにそこまでの魔法はないだろうという答えが返ってきて、さらに人間達は恐らく先代魔王を含めほとんどの魔物達を倒したことで安心しているので、そこまで厳重に警戒はしていないだろうも付け加えてくれた。


 そうして1時間程飛び続けた結果、あっけなく対岸上空に到着した。私は改めてこの距離の近さの危険度を再認識せざるを得なかった。


 対岸には大きい桟橋が10か所以上あり、見張りの塔も5つ建っていたが、火の灯かりも人の気配も全くなく、遥か遠くを見渡しても火の灯かりは全く見えなかった。


 私達は高度を上げて南方向に伸びる一本の街道に沿って時速100キロ超で2時間程進んだところでようやく遠くに周囲を高い壁で囲った町があるのを確認した。


 その町は最北の町と呼ばれているらしく、およそ千人近い人々が暮らしているそうで、その半数が軍人だったが、今でもそうかは分からないそうだった。


 また、壁の上に薄いカーテンのような膜がおよそ50メートルの高さまで伸びていたので、あれは何かとマジクに聞くと、マジクにもマジエにも見えないようで、私はもしかしたら侵入警報装置ではないかと推測した。


 この世界この時代の人間達の文明水準と技術力と軍事力をなんとしても知りたいところだが、今日のところはここで引き上げる事にした。


 一夜明けてその事を側近達と協議したところ、真夜中に侵入警報装置よりも高い上空から潜入して透明になったコックを潜ませて、深夜に回収するという案が出たが、人間側に透明になったコックを察知出来る者がいるかも知れず、今のところ透明になれるのはコックだけなので、他のゴキブリ人間達の中でレベルアップして透明スキルを得た者が出てくるまでは待つ事にした。


 そのため、皆で狩りをしたり武具を作ったり生活環境向上のための建築などを行う日々を送り、経験値を積み重ねていった。


 レベル15程になっている私達はなかなか上がらなかったが、それ以下の一桁だった者達は上がりが早く概ねレベル10台になった。


 また、毎日獣人に交代で監視してもらっている最南端の監視所からは人間を見たという報告もなく、対岸の様子も全く変化無しとの事だった。


 そうしてさらにひと月が過ぎた頃、いよいよ集団戦でマンモスに挑もうという事になり、そのための訓練と準備に余念がなかった。


 リザロ配下のリザードマン達とミケ配下の獣人達が最も戦闘攻撃力が高く、全員がレベル12まで達していて、ゴブロ配下の男ゴブリン達もレベル12となっており、彼等は弓矢を使用しての遠距離攻撃が得意となっていた。


 リザラ配下のリザードウーマン達とゴブリ配下の女ゴブリン達はクモの糸とクロゲータの腹側の比較的柔らかい皮で作ったシンプルなスリングを用いた投石攻撃を行ったが、これが結構馬鹿に出来ない攻撃力を持ち、マジコが砲弾形状の土の弾丸を作る事で、中程度の大きさのトカゲならばヘッドショットで一撃で殺す事が出来た。


 ゴキブリ人間達は基本的に非戦闘員のため後方支援が中心で、輸送任務や食事の用意やマジコを手伝って土木建築作業支援を行った。


 そして最も戦闘能力が高いのが私とマジエで、マジエの炎の魔法の威力と私の雷撃の威力は今のところ完全にオーバーキルスペックだった。


 マジコの大地の魔法も私とマジエに次いで強力で、地面から突然音もなく出現する鋭利なトゲは突進してくるトカゲ達を簡単に全滅させる事が出来る程だった。


 マジクには攻撃魔法はないが、転移魔法を使える数少ない存在で、人間達からは見つけ次第真っ先に殺害する対象になる程重要視されており、マジクはそれに加えてここ最近回復魔法を使えるようになり、ますます重要度が増した。


 一週間程しっかり戦闘訓練を行い、武具の準備も仕上がったので早速北東部へと移動し、マンモスに挑む事にした。


 まずは上空偵察を行い、集団行動している群れとは別に、群れから離れてこれから求愛活動をするオスメスのつがいを探した。


 10分程でお目当てのカップルが見つかったのでマジコが空に向けて炎の柱を放ち、味方に知らせると皆走ってこちらに向かってきた。


 今回はレベルアップが目的なので、人間達との戦争ならばマジクの転移魔法ですぐに戦闘区域に送り込むのだが、敢えて足腰や持久力を鍛えるために彼等には自らの足で来てもらう事にした。


 また、今回2頭のつがいを選んだ理由はもちろん群れ相手ではまだまだ力不足だからというのが一番の理由だが、それとは別にオスの1頭を私と魔法人だけで倒し、メスの1頭は私達は一切手出ししないで倒してもらうからだった。これには側近達も含まれ、側近達はあくまでも戦闘指示だけを行う事とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。