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まおうが魔王になる物語  作者: キクメン


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第15話

 私は他に仲間がいないかと尋ねると、さらに南下した砦に魔法人以外の魔物も含めた者達がいたが、恐らく全員戦死しているとの事だった。


 そして人間達は殺した魔物達が復活しないように灰になるまで徹底的に燃やし尽くすので、死体は一切残っていないだろうとも言った。


「復活?」


「はい、魔王様と極一部の高位の魔法人だけが使える究極魔法です」


「それを使うと死者が生き返るんですか?」


「はい、生き返ります、ごくまれにそれによって以前よりも大幅に能力が向上する者が出ます、人間達はそれをとても恐れています」


 魔法人達が仲間の死体を大事に守って運んできた理由が分かった。


 その後魔方陣が刻まれた石を他の石があるところに紛れさせて隠してから拠点に戻り、二名の死体は地表近くにある貯蔵庫に置いて冷凍保存する事にした。もちろんいつか私が復活魔法を使える日が来た時に蘇生させるつもりだ。


 獣人達は自分達を逃がしてくれた魔法人が生きている事にとても喜び感謝し、皆とても希望に満ちた表情をしていた。


 仲間が8人増えて私も含めて総勢45人となり、洞窟も大分賑やかになってきた。洞窟内は今の倍の人数になってもまだ余裕はありそうだが、衛生面やプライベート空間という点で、ちゃんとした居住地が欲しいと思った。


 側近達にその事を話すと、魔物達はそうした事はほとんど気にしないようで、特にストレスに感じる事はないそうだった。


「魔王様、よろしいでしょうか?」


「うん? はい、どうぞ」


 魔法人のうちの一人が丁重に頭を下げて何か意見を述べたいようだった。彼女は黒髪で瞳も黒かったが顔は西洋人のようだった。


「私は大地の魔法を扱う事が出来ます、それにより整地をしたり住居を作る事が出来ます」


「えっ!? そんな事が魔法で出来るものなんですか?」


「はい、可能です」


「おお! 大地の魔法使いですか! 魔王様、これはとても心強いですぞ! 大地の魔法使いがいれば住居だけでなく、砦や要塞をも作り出すことが出来ます!」(リザロ)


「申し訳ありません、私はまだ未熟ですので強固な要塞を作り出す程の力はありません」


「そうでしたか、これは失礼しました、しかし魔王様のもとこれから一緒に力を高めていこうではありませんか」


「はい! 是非そうさせていただきたいと思います!」


 その後、新しい仲間達を歓迎するため私は厨房へと向かい、コックと新しく調理メンバーに加わった女ゴブリンと一緒に調理を開始した。


 今回は濃厚トマトソースと中濃ソースも使えるので料理の幅が広がり、私とてしても作っていて実に楽しく、コックや女ゴブリンも私がどんどん新しい料理を作るのを見て感動し、皆でとても楽しく色々な料理を作っていった。


 一通り料理を作り終えたところで洞窟の方に行ってみると、洞窟内の様子がガラリと変わっていて、床はほぼまっ平になっている上に長い石のテーブルと椅子が出来ていて、皆そこに座って食事をしていたようで、さらに中央の水源から水路が出来ていて、その先に洗い場が設けられていて、ゴキブリ人間達はそこで食器を洗っていた。


 それらは先程大地の魔法が使えると言った黒髪の魔法人によって作られたもので、リザロが賞賛していた理由が良く分かった。


 その後二人の魔法人と獣人の代表を新たな側近として拠点に迎え入れ名前を付ける事にした。


 黒髪の魔法人はマジコ、もう一人の赤毛の魔法人はマジエ、獣人代表にはミケという、あまりにも安直過ぎる名前をつけた。


 どうも私にはネーミングセンスというものがないようだ。


 その後前回同様に三人とも光り輝き、三人ともレベルがあがって新たな魔法やスキルが追加されたようだが、三人とも容姿に変化はなかった。皆既に良い容姿だったのでこれ以上良くなる必要がなかったのかも知れない。


 その後私と魔法人の3人で毎日一週間ほど二手に分かれて生き延びた魔物達がいないか各地を探し回ったが一人も見つからず、状況としては絶望的である事が分かった。


 もしも今この状況で人間達に侵攻されたら我々魔物達は絶滅するしかないが、人間達は先代の魔王を倒し、大部分の魔物達を殺して焼き払った事で人類の勝利を確信し、さらにこの地は人類にとって益をもたらす資源が何一つない不毛な大地として認識されているので、人間達がやってくる事は今後長い間ないだろうというのが唯一の救いだった。


 とはいえそれは未来永劫に渡って確約されているわけではないので、今の平穏な状況に安心する事なく、この先我らが長く生き残れるために生存戦略をしっかり打ち立て、実践し続けて力を付けていかなければならなかった。


 幸いな事に食料事情については問題なく、皆ちゃんとした栄養を取る事が出来る上に、狩りをする事によってレベルアップしていき、各々の戦闘能力は向上していた。


 また、仲間達の捜索を兼ねて各地を視察した事で、おおまかではあるがこの世界の果てと呼ばれる不毛な大地も把握する事が出来た。


 それにより例えば北東部の極寒の地域の手前には夏の間は草原の大地になる場所があり、そこには巨大なマンモスのような牙の生えた獣がいて、今はまだ無理だが、いつかレベルがあがった時には皆でレベル上げも兼ねて狩りに行くと意気込んでいた。


 ちなみに私と魔法人3人で力を合わせれば一体であれば倒せそうだとの事だった。


 他にもトウモロコシに似た植物が群生している場所を見つけた時は私はとても喜んだ。そのまま食べても良いし、粉にして焼けばトルティーヤになるので主食としても重宝するからで、穀物不足もこれで補える。


 さらにこの地にはあちこちに温泉があって、中でもとても幻想的な風景を眺める事が出来る場所が凄く気に入ったので、マジコに整地してもらって温泉浴場を作ってもらった。


 しかも実に良い具合に雪解け水も流れてきているのでマジコに水路を作ってもらって丁度良い温度に湯温を調整してもらった。


 当然転移魔方陣を常設していつでも誰でも入れるようにしたが、面白い事にゴキブリ人間達はとても風呂好きでいつも清潔にしていた。


 他にも山ブドウに似た果物があったので、現在ブドウ酒を作るべく色々試しながら醸成している最中だったり、1メートル近い大きな鶏のような鳥が我々を怖がらずに懐いてきたので、飼育して卵を分けてもらったり、強靭な糸の入手が見込まれる巨大なクモにエサを与える事で衣服や防具を縫うための糸を手に入れたした。


 そうしてひと月程が経過すると、私と側近達のレベルは皆大体レベル15程になり、配下の者達もレベル10前後にまでなった。


 また、この頃までに45人全員の名前を付けていたので容姿も大分マシになり、それぞれが何らかのスキルを手に入れていた。


 装備品も良くなっていて、武具や防具も以前より大分良い物になった。マジク達はいまだにボロのマントを身に着けているが、現在クモの糸を編み込んで丈夫な生地を作っている最中なので、それが出来次第その生地で新しいマントを作る予定だそうだ。


 そんなある日の事、私はそろそろ初代魔王の城の様子をコックに偵察しに行ってもらおうかと考えていた。

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