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「どれもセルジオ・クロクスナーとノワール王との密約の書かれた書簡です。
直筆で、印もきちんと押されています。
読んでみると二人がこの件に深く関わってきた──……と言うより主導して事を運んできた事がよく分かりますよ」
言う。
俺はもちろん、怒りにカッとなりすぎちまってたジュードまでもがそいつに毒気を抜かれた様に目を瞬き、ユークと、ユークの出した書簡を見た。
「どーやって んなもん……」
思わず口をついて声が出る。
ユークはふっと笑って見せた。
「もちろん簡単にとは行きませんでしたよ。
こういう事には“やり方”というものがあるんです」
簡単に、言ってくるが……。
……“やり方”って、なんだよ?
思うんだが、何だかこれ以上の事を聞くのが、どーもちょっと怖ぇ様な気が……。
なぁんて思ってる俺の足元で、犬カバが何故かこちらもブルルルッと体を震わせる。
……どーやら俺と同じ事を思ったらしい。
ユークはそんな俺らの思いに気づいてんのかいねぇのか……。
何でもねぇ事の様にごく自然に口を開く。
「これがあればノワール王をサランディールから退かせ、セルジオを“反逆罪”にかける事は出来るでしょう」
言って──ユークが俺へ、続いてジュードへと視線を向ける。
その視線に──俺は改まって、姿勢を正してユークを見た。
ユークは言う。
「──リッシュくん、ジュードくん。
これをあなた方二人に託します。
サランディールのレイジス王子の元まで届けてもらえますか?」
言う。
まるで正式な依頼をするかの様なその問いに──俺はしっかりとユークの目を見て
「〜ああ、分かった!
任せてくれ」
と威勢良くそう返事する。
ジュードも口にこそ出さなかったが、真っ直ぐにユークを見つめ、小さく一つ頷いて承知する。
「キューキュー!」
犬カバも『俺を忘れんなよ!』とばかりに声を上げてくる。
ゴルドーが拳をもう片手の平でパンッと打つ。
その音の大きさに──。
一瞬前までやる気と強気に満ち溢れてた犬カバがビビってその場でびょ〜ん!と跳ね上がり、俺の後ろに隠れちまってたりしたが。
ゴルドーの目にゃあ犬カバなんかこれっぽっちも映ってねぇのに違いねぇ。
いつもどーりに手前勝手な事を言い始める。




