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5

頭を“ぼんやり”させてってのは、確かに今のアルフォンソの姿にしっくりくる。


だが『洗脳されてる』のイメージとはちょっと違う。


俺の疑問に答える様にユークは一つ頷いて先を語った。


「アルフォンソ王子に関して言えば、事は上手く運ばなかった様です。

ただし毒は回っていたから“ぼんやり”だけが残る形となった」


それが、今のアルフォンソの状態って訳だ。


ユークは続ける。


「……ずっと以前からノワール王と通じていたセルジオ・クロクスナーは、長い時間をかけ少しずつサランディール王にその毒を飲ませていた。

もちろん誰にも気づかれぬ様食事にその毒を仕込んでね。

そうしてようやく洗脳も上手くいきそうだと踏んだセルジオは、今度は王位継承権第一位であるアルフォンソ王子にも同じ様に毒を盛っていく事にした。

ですが王子は自身にその毒が回りきるより先に、サランディール王の様子がおかしい事に気が付いた。

そしてそこにセルジオが関わっているという事や、その背後にノワール王が絡んでいる事にも、薄々勘付いたのでしょう。

単身、密かに色々と調べていた様ですが、そこに辿り着く前には自身に毒が回ってしまっていた。

機を見たセルジオ・クロクスナーはあの内乱を引き起こしサランディール国を乗っ取った──という訳です。

その頃には同じ方法でサランディール兵の半数程度はセルジオの操り人形になっていた様ですから、事を起こすのは容易だった事でしょう」


言う。


俺はそれを──ただただゾッとしながら聞いていた。


ちら、とジュードの横顔を見てみると、こいつも中々ゾッとする様な、怖ぇ顔をしてユークを睨みつけている。


もちろん実際にゃあユークを睨むってぇよりかは、その話の向こうにいるセルジオ・クロクスナーや緋の王を睨んでるっつった方が正しそうだが。


って、あれ?


ちょっと待てよ、っつー事は……。


「なぁ、待った。

っつー事はアレじゃねぇのか?

アルフォンソが親父さんとお袋さんを手にかけたっていうあれ……。

あれはアルフォンソの意志じゃなく、セルジオに操られてやったって事なんじゃねぇのか?」


だってそうだろ。


それなら『内乱を起こしたのはクロクスナーだ』ってぇアルフォンソの言葉にも納得がいく。


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