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308/315

3

そーして潜り込んだノワール城で、ユークはかなり早い段階でノワール宰相に接触する事にも成功したらしい。


で、どーゆー技を使ったのかその宰相殿に気に入られて、王宮の薬草なんかも取り扱ってる例の『特別な菜園』の管理を任される事になったと。


王宮の薬師の仕事をこなしながらアルフォンソに盛られた毒の事やそいつに緋の王が関わっていた証拠を集め……。


そして、


「ノワール宰相殿の裏の顔(・・・)を知りました」


いつも通りさらっと、ユークは言う。


そいつに──。


ゴルドーがヤクザの親玉よろしく片眉をぐいと引き上げ、ジュードが深く眉根を寄せてユークを見つめる。


俺は


「宰相の、裏の顔?」


と思わず問いかける。


ユークがそいつに頷いた。


「ノワール宰相は緋の王の忠実な僕で、彼と同じく──いや、それ以上に冷徹非道。

そうもっぱらの噂でしたが彼の本質はそれとは真逆にあった」


「真逆?

ってこたぁ──」


ゴルドーが言いかけるのにユークはまた一つ頷いてみせる。


「ノワール王の凶行を影で“修正”していました。

色々やっていましたよ。

ノワール王に処刑を命じられた者には彼自らが手を下す──と見せかけて、密かに他国へ亡命させていたり。

火をかけ皆殺しにせよと命じられた街では、こちらも密かに住民を逃し、街に火をかけるという手間をかけている。

あまりどれもこれも、大きく“修正”するとノワール王や周りにバレてしまいますから、可能な限りという所なのでしょうが」


ユークが言うのに……。


俺は思わず目を丸くして、実際にゃあ会った事もねぇノワール宰相の事を思った。


俺ん中のノワール宰相のイメージは、やっぱりユークの言った『噂通り』の人物像だ。


ノワール王と同じくれぇ冷酷非道で、悪の限りを尽くして国を牛耳る男。


つーか、確か前にジュードから人拐い事件での話も聞いてたしな。


頭を殺した犯人──どこにでもいそうな平凡な男、だったか──の所持品から、ノワール宰相の家紋入りの短剣が出た、とかなんとかいう話があっただろ。


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