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17

もしアルフォンソ兄上の意識が戻ったら……?


この男は何か行動を起こすだろうか?


ミーシャの考えをよそに、アランはさらりとこんな事を言ってくる。


「私にとってもそう遠くない日に義理の兄となられるお方ですから、気にかけるのは当然です」


──義理の兄。


アランの中ではやはりミーシャとの婚約は今もまだ継続中なのだ。


そうはっきりと察した、瞬間。


ミーシャは


「〜あの!」


と思わず声を上げた。


「〜その事なのですが……」


婚約を、破棄したい。


そう、思わず言いかけそうになったのだが。


不意にアランの恐ろしい眼差しに遭った。


口元は涼やかに微笑みを見せるが、その茶金色の眼は冷酷な刃の様に鋭く、冷たい。


死神の鎌を首元に当てられているかの様な、ゾクリ、ヒヤリとする感覚だった。


アランはその表情のまま


「……何でしょう?」


問いかけてくる。


ミーシャの脳裏に、レイジスの言葉が蘇ってきた。


『お前の心がアラン王(彼)にではなくリッシュくんに向いている事を悟られたら、どんな事が起こると思う?』


「…………」


ミーシャは言いかけた言葉をそのまま飲み込み、


「……いえ、何でもありません」


そう、答えた。


ミーシャの心の内に、気付いているとは思えない。


アランは冷たい瞳をアルフォンソへ向け、


「早く良くなられるといいですね、アルフォンソ王子」


言ってくる。


──嘘ばっかり。


そんな事全く思ってなどいないのが見え見えだ。


思いつつミーシャは心なく


「ええ……」


とだけ返事をしたのだった──。


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