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もしアルフォンソ兄上の意識が戻ったら……?
この男は何か行動を起こすだろうか?
ミーシャの考えをよそに、アランはさらりとこんな事を言ってくる。
「私にとってもそう遠くない日に義理の兄となられるお方ですから、気にかけるのは当然です」
──義理の兄。
アランの中ではやはりミーシャとの婚約は今もまだ継続中なのだ。
そうはっきりと察した、瞬間。
ミーシャは
「〜あの!」
と思わず声を上げた。
「〜その事なのですが……」
婚約を、破棄したい。
そう、思わず言いかけそうになったのだが。
不意にアランの恐ろしい眼差しに遭った。
口元は涼やかに微笑みを見せるが、その茶金色の眼は冷酷な刃の様に鋭く、冷たい。
死神の鎌を首元に当てられているかの様な、ゾクリ、ヒヤリとする感覚だった。
アランはその表情のまま
「……何でしょう?」
問いかけてくる。
ミーシャの脳裏に、レイジスの言葉が蘇ってきた。
『お前の心がアラン王にではなくリッシュくんに向いている事を悟られたら、どんな事が起こると思う?』
「…………」
ミーシャは言いかけた言葉をそのまま飲み込み、
「……いえ、何でもありません」
そう、答えた。
ミーシャの心の内に、気付いているとは思えない。
アランは冷たい瞳をアルフォンソへ向け、
「早く良くなられるといいですね、アルフォンソ王子」
言ってくる。
──嘘ばっかり。
そんな事全く思ってなどいないのが見え見えだ。
思いつつミーシャは心なく
「ええ……」
とだけ返事をしたのだった──。




