↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
304/315

16

でも、まだ何か話をしてくれそう。


そんな気がした。


「〜お願い、兄上。

何か言いたい事があるのなら言って」


今を逃せば、次にいつアルフォンソが口を開いてくれるか分からない。


もしかしたら今が突破口になるかもしれない。


そう思い必死に語りかけるミーシャをよそに──。


「──失礼します」


淡々とした、凍てつく様に冷たい声が扉の外からかかった。


その、途端──。


アルフォンソの“何か話してくれそうな気配”がすっと消え去った。


──消え去って、しまった。


“どうぞ”と言った訳でもないのに、部屋の扉が勝手に開く。


コツ、コツ、と冷たく重い靴音と共に入ってきたのは、血の様に赤い髪と茶金色の瞳の男──。


緋の王アランだった。


ちら、と閉まりゆく扉の向こう側で見張りの兵がアランを制止しようと手を伸ばしかけるのが見えたが、結局何の役にも立たなかった。


パタン、と扉が閉まり──……。


アランがこちらへやってくる。


「〜……ノワール王……」


思わず硬い表情でミーシャはアランの顔を見る。


端正だが、どこか冷酷そうな、鋭い刃を思わせる顔。


実際ノワール国ではこの男によって焼き払われた村や街が数多く存在し、彼に意見する者は悉(ことごと)く処刑されていると聞く。


サランディールではもちろんその様な振る舞いはしないが……。


──ノックの返事も待たず、兵の制止も聞かずに入ってくるだなんて。


まるで我が物顔だ。


心に苦い思いを持ちつつ呟いた言葉に、アランは特に気にした様子を見せなかった。


ミーシャに対し表面的には恭しく声をかける。


「──ミーシャ姫。

こちらにおられましたか。

殿下のお加減はいかがですか?」


「──変わりありません。

いつも気にかけて頂きありがとうございます」


今先程の事を──……アルフォンソが何かを語りそうであった事を言う必要はない。


それによってアルフォンソの身に危険が及ぶ可能性だって、ないとは言い切れないのだから。


それに──……。


本当にアルフォンソ兄上の事を気にかけてくれている様には、思えない。


こうしてここに来ているのはお見舞いに、というより見張りの為にという気がしてならなかった。


アルフォンソが以前の様に戻ったりしないかどうかの、見張り。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。