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内乱の首謀者はクロクスナーだ、と。
レイジスにでもミーシャにでもなく、全く初対面だったリッシュに。
リッシュの語りかけ方が上手だったのかしら。
それともアルフォンソが反応を示す様な、そんなワードがあるとか……?
……リッシュに、聞いてみれば良かった。
どんなタイミングでアルフォンソは口を開いたのか。
語りかける時に、何か意識した事はあるのかどうか。
悲しい気持ちで、ミーシャは兄の横顔を見つめる。
無論、その悲しさを払拭する事など出来ないのだが……。
ミーシャは無理に口の端に微笑みを作って
「ごめんなさい、おかしな事を聞いたわ」
とアルフォンソへ向けて語りかける。
そうして再び話題を変える事にした。
「そうそう。
こないだね、ゴルドーさんからお電話があったのよ。
三人共、トルスに着いたみたい。
ダルク・カルトさんの納骨も無事済んだらしいわ。
ダルクさんには私もお世話になったから、本当は一緒に行きたかったのだけれど……」
言いかけた、所で。
アルフォンソが──……これまで口を動かすどころか微動だにさえしなかったアルフォンソが、小さく、口を震わす様に動かした。
「カ……ル……」
ミーシャは大きく目を見開き、アルフォンソを見つめる。
「〜兄上……?」
「……ま……ない……」
ミーシャの問いかけをまるきり無視する形で、アルフォンソが何かを口にする。
それは、小さな小さな声だった。
弱々しく、掠れる様な声だ。
何か口にしているが何を言っているのかまるで分からない。
けれどミーシャがここ数日見ていて初めての反応だった。
「〜兄上……兄上?
なぁに?
何を言おうとしているの?」
思わず身を乗り出して、声を大きくしてアルフォンソへ問いかける。
兄はミーシャを見ていない。
だが、いつもとは全く違うこの反応を、この時を、逃したくないと思った。
──なのにここで。
コン、コン、と誰かが部屋の扉をノックする音が響いた。
「〜兄上……兄上?」
ノックを無視し、目の前のアルフォンソに全身全霊で向き合って、その手を取る。
アルフォンソはこちらを見ない。
視線はどこか遠くを見つめるばかりだ。




