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残虐兵器撲滅少女ティアドロップ④

「何を食べようかなぁ……。カボチャのスープ美味しそう! あ! でもでも、こっちのお肉も美味しそう……。あの人が食べてるのってなんて言う食べ物かなー?」


 リリアは深夜だからこそ活気に溢れる酒場のメニューを見ながらはしゃいでいた。


「そういえば夕方にこっち着いてから疲れて、すぐ寝てしまったから何も食べてなかったな」


「そうだよー! もうお腹ペコペコ……」


 グルルルルル……


 リリアはお腹が鳴ってしまい、照れながらお腹を押さえていた。


「とりあえず何か頼むか? 俺は肉とパン、あとはスープがあればいいや」


「私もシャルと同じにしよー!」


 あまり手持ちがない……腹いっぱい食べさせてやりたいが、今の手持ちではこのくらいが精一杯だな。


 まあ、目的は別であるわけだし……


「注文する前に……あの子で間違いないか?」


 俺は金髪でポニーテールにした若いウェイトレスを指し、リリアに問いかけた。


「うん、間違いないよ」


 リリアが笑顔で頷く。


 現在、俺とリリアは夕方訪れたばかりの炭鉱で賑わっている街の酒場に来ている。目的は言わずとも知れていると思うが、例のウェイトレスである女性に会うためだ。


 彼女は夜に酒場で仕事をしているらしく、どうやらこの店の看板娘らしい、彼女目当てで毎晩ガタイの良い炭鉱夫たちがこの酒場に集まっている。


「情報通り魔族であるなら俺たちの保護対象になるわけだ」


「そうだね」


 2人はテーブルを挟んで向かい合い、目配せながらコソッと話す。


「まぁ、仮に保護対象にならなかったとしても、この国で暮らす以上は見過ごすことはできないな」


「それは私も同じだよ」


 同じ仲間として見過ごせないのか、はたまた食事が待ちどうしいのか、妙に張り切っている様子のリリア。


「そうだな。さて、とりあえず接触してみるか」


 俺は意を決して彼女に話しかけることにした。


「……私がそれとなく聞いてくる」


「大丈夫か?」


 俺は少し不安を感じながらも、見守ることにした。


「私に任せて」


 そう言って一歩前に出たリリアは、そのまま彼女の元まで歩み寄ると、軽く会釈をし、自然な流れで会話を始めた。


「すいませーん!」


「はい、ご注文ですか?」


 例のウエイトレスが振り向き、リリアと話し始める。


「あなたは魔族の方ですか?」


 シャルはリリアのどストレートな聞き方にヒヤッとした。


「おいッ! リリア聞き方ッ!」


 シャルはかろうじでリリアに聞こえる声で、大きさで制止を図ろうもするも、


「え?」


 ガタっ!


 リリアが振り向くと同時に、周りの炭鉱夫たちが一斉に立ち上がる音が聞こえた。しかしリリアは気にせず話を続けた。


「いえ、私の勘なのですが、あなたは人族ではないような気がするんです」


「おい、嬢ちゃんアンタ奴隷商の人間か?」


 仲間内で飲んでいた炭鉱夫たちの一人が、敵対視するように話しかけてきた。


「ちっ!  余計なことを言いやがって」


 シャルは、この状況をなんとかのおさめる方法はないかと、周りを警戒しながら考えていた。


 周りは殺気立ち、今にもリリアに襲いかかりそうな勢いだった。


 カウンターでグラスを拭いていた女店主が口を開いた。


「この娘ソフィアの両親はね、この町のお医者さんだったの。炭鉱で栄える町だから怪我や病気なんかになる人が多くてね。それでも懸命な処置をしてもらい多くの命を救ってくれた……それなのに10年前、世界各地で残虐兵器が動き出し、それが魔族のみを狙うってわかってから、この娘の両親を奴隷にするため奴隷商は私たちからまだ幼かったこの娘の両親を奪った……だから決めたのさ。この娘だけは何がなんでもみんなで守るって!」


 そう言って店主は怒りに満ちた目でリリアを睨みつけた。


 俺たちは、奴隷商人と間違えられるなんて、本当に予想外だった。酒場での一件は、まるで悪い冗談みたいだった。


 あの時、リリアがウェイトレスに直球すぎる質問を投げかけたとき、俺は内心で頭を抱えた。だが、事態は既に手遅れで、周囲の炭鉱夫たちの目は疑念に満ち、緊張が一気に高まった。


「俺たち、奴隷商人じゃないんだけど…」


 俺が言おうとしたが、言葉は空回り。


 その一言が逆効果で、街の人々の不信感は確信に変わってしまったみたいだ。俺たちは言葉ではどうにもならないと悟り、無駄な抵抗を避けることにした。


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