24.君の大切さを知った日に
※ロストワール視点です。
私はアリシナが倒れたと聞いてすぐにアリシナがいるところへと向かう。
王城にある貴賓室の一室で横たわる彼女を見た。
息はしているが彼女は倒れた日からずっと眠りについている。
魔力の使い過ぎによる魔力切れだそうだ。
アリシナのことをよくないと思い誘拐した犯人がアレルトーラ公爵夫妻だったのはすぐ貴族中に知れ渡った。
あの、優秀なアレルトーラ公爵がなぜアリシナを誘拐したかはわからない。
彼はただ「私がこの誘拐事件の犯人です。」と事情聴取したときに言ったらしい。
ああ、なぜこういう時に限って私は無力なのだろうか。
目を閉ざして眠る彼女を見ながら昔のことを思い出す。
初めて彼女に出会ったのは3歳の時だった。
バラが咲き誇る園庭に彼女は立っていた。
そこにいた彼女は女神のように美しく、妖精のように儚い存在に見えた。
最初に抱いた思いは「綺麗」だった。
その時、私は恋に落ちていた。
彼女はきっと覚えていないだうがその時に話しかけた時にもバラが好きだと言っていた。
それから私はバラが好きになった。
庭に青バラを植えたのもまた彼女と話す口実を作りたかったのだ。
そして5歳の時に開いたお茶会で2年ぶりの再会を果たした。
絶対に離さない。
そう心に誓っていたのでその日にすぐに父上にアリシナと婚約させてほしいと頼み込んだ。
それが私、息子の初めての願いだった。
父上は「わかった。」と言った後に間を開けて「手放してはいけないよ。」と言われた。
それから婚約者としてよく会うようになった。
彼女と会えると知ると不思議と心が踊って、彼女が笑うたびに愛しいと思うようになった。
そしてアル―ナス学園から入学しないかと通達がきた。
私はすごく迷っていた。
できればアリシナと一緒の学園生活を送りたいが、アル―ナス学園に入学できるのは今しかないだろう。
アリシナに意見を聞いた時に彼女がこう言ったのを覚えている。
「そうですね...、ロストワール様の行きたいほうに行かれるのがいいと思います。」
その時私は勘違いした。
アリシナにとってはこの話はどうでもいい話なのだと、だからすこしそれに反発したかったのかもしれない。
私はアル―ナス学園に行くことに決めた。
その時私は後から後悔した。
しかし、その勘違いは別れの日になって違ったのだとわかる。
分かれるときに「私を待っていてほしい」という思いをこめて伝えると彼女は悲しさをにじませた顔で言ったのだ。
「わかりました、待ってます。いつまでも。」
その返事に驚いた彼女は一ミリたりとも私に対する思いがないのかと思っていた。
しかしそれは違った。
彼女は隠していたのだ。
一気に感情がこみ上げてきたがもう後戻りはできなかった。
こんなにも過去に戻りたいと思ったことはないというほどの衝撃だった。
ここにいたいという思いを隠して私は答えた。
「ありがとう、また会おう。」
そして私は鏡の中に入った。
学園で過ごす日々は楽しかった。
でも何か物足りなさを感じた。
その時気づいた自分にとって彼女の存在は大きいものだということに。
私は月に一度許される手紙を必ず彼女に書いた。
彼女はその手紙のお返しで毎回手紙を送ってくれた。
友達と彼女の領地の店で見つけたミサンガは今でも聞き手の右手に着けている。
願ったのは彼女と本当の両想いになることだ。
彼女に危険が迫っていたのに自分は何もできなかった。
今目を覚まさない彼女だって自分では助けられない。
私は無力だな...眠るアリシナを前にして何もできないなんて。
君が倒れたと聞いて私は気づいた、君の大切さを。
私はアリシナの左手を握りながら願う。
「アリシナ、どうか目を覚ましてくれ。貴方に伝えたいことがあるんだ。」
次は誘拐犯視点の話です。次回の投稿は明日の20時です。




