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23.事件は終わりを迎える

黒幕の正体が明らかに...!

私が目を開けた時には知らない部屋にいた。

窓が一つもない閉鎖的な部屋、あらかじめこの誘拐を目論んでいたかのような完璧な造り。

私が今寝ていたところは天蓋付きのベッドの上で、近くにいたはずのルナの姿はない。


まるで、貴族用の牢のようね...いや、本当の貴族用の牢なのでしょうね。


普通に誘拐されたとすれば2つのどちらかの理由で誘拐された可能性が高い。

一つ目は私達の能力を欲するもの、二つ目は私が目障りだから。

国の中でも多大な魔力を持っている私をよしとしない人は大勢いるだろう。

私の魔力は使い方を間違えると一つの国の歴史をいい意味でも、悪い意味でも変えてしまえるからだ。


しかし、ここから出る方法はなさそうね。


いつか誘拐されるのではないかとは思っていた。

お父様が私の周りの警備を強めていたのも知っていた。


私の警備まで倒してまでして誘拐した犯人は何を考えているのだろうか。

きっと私を誘拐できるとしたら上流貴族の人間だ。


だいたいの検討はついていた、でもそれを肯定したくはなかった。


この部屋にあるたった一つの扉が開く。

私の検討が本当に合っていたことがその場でわかってしまった。


「アレルトーラ公爵夫人、貴方だったのですね。」

一年生の時に魔法を教わりに王城に行っていたときに出会った公爵の妻、それがメティー・アレルトーラ夫人だ。

何となく公爵が私に対して後ろめたいことがあるのは知っていた...本当は知りたくなかった。

でも、長年培ってきた人を見極める能力でわかってしまった。


この人は嘘をついている、と。


あの頃から私を誘拐しようとしていたのだろうか。

理由はわからない、私の魔法属性について公に公開されたのは公爵に会った後だ。

きっと元々なにか私が邪魔だったのだろう。


夫人は黒髪をなびかせながら深い笑みを作ってこう言った。

「そうよ、わかっていたのね。私にとって貴方はいらない存在、邪魔な存在なのよ。」


笑いながらそういう彼女が恐ろしい、彼女が今何を考えているのかさえ分からない。

ただ一つ言えるのは、彼女は狂っているということだ。


人を誘拐した挙句、その人に向かって笑顔で邪魔だと言えるのは正気の沙汰ではないだろう。


私は震える手を握りしめながら言った。

「ルナは、どこにいるのですか。ルナは何も悪くないですよね、貴方が求めているのは私の命ですよね?」


彼女はきょとんとした顔になりながら言う。

「ルナちゃんなら今さっきまで私がお話をしていたところよ。そうね、ルナちゃんはこの後返すけれど貴方は数日後にここで死んでもらうわ。」

いとも簡単に殺害予告を本人にする彼女は本当に恐ろしい存在だ。


私は平常心を保っているように見せかけて言う。

「わかりました。ルナは無事なんですね。それではなぜ私が死ぬ必要があるか聞いても?」


「貴方がその理由を知って何になるのかしら。私、意味のないことは言いたくないわ。理由はさっき言ったとおり、邪魔だからよ。」


「教えていただきありがとうございます。分かりました。」


「まあ、死ぬまであと数日をこの部屋で過ごすといいわ。」

と彼女は言って扉を閉めた。

ガチャリと音がしたので中から開けられないように外から鍵をかけたのだろう。

この部屋の中で魔法が使えなくなる装置があるのか私の魔力でも魔法が使うことができない。


その日はいつもと変りない日だった。

違うことと言えば閉じ込められていることだろうか。


普通に食事が運ばれてくるし、世話をする人もついている。

世話をする人たちは皆仮面をかぶっているのかと思うほど無表情だ。


私はその時にいつも私が幸せな環境にいたことを思い知った。

私の周りはいつも笑いかけてくれる、悲しいことがあれば慰めてくれる。

いつもそばに誰かがいてくれて、私に感情を教えてくれた。



そんな当たり前だと思っていたことは当たり前ではなかったのだ。



声をかけても表情一つ変えない世話係を見ていて思ったのはまるで人形のようにも思えた。

寝る時間になったので世話係の人もすぐに部屋を出ていく。


数日後には殺される。

そう思って目を閉じればロストワール様の姿が浮かんだ。


「約束を守ることができませんでした。ロストワール様、最後にもう一度だけでも会えたならどれほどよかったでしょう。」

私は誰もいない部屋でつぶやいた。

自然と頬に涙が伝った。


その時急に扉が開いた。


そこにはもう解放されて帰っているはずのルナの姿があった。

彼女はこう言った。

「アリシナ、迎えに来ました。一緒に帰りましょう、みんなが待っています。」


彼女は私の手を少し強引につかむと走り出した。

私も必死に走る。


どこにこんな体力があったのだろうか。

ルナはいつもおしとやかで元平民だと思わないほど貴族の中に紛れていたから気づかなかったのかもしれない。


ルナは隠していたのだ。

いや、隠せざる負えなかったのかもしれない。

急に貴族に上がった彼女はそれは混乱しただろう。

上手くいかないこともあっただろう。


私は彼女に何をしてあげた?


よく考えると私は彼女になにもしてあげられていない。

いつも、もらってばっかだ。


思わず口に疑問が出てしまった。

「なぜ、そこまでして私を助ける必要があるのですか?」


「アリシナ、アリシナは私にいろんなものをくれたんです。私はそれがただ嬉しかった。そして、救われたんです。決められた未来を歩む必要はないと。」


私は息を呑んだ。


私はそこまで彼女にできたことはない、そう思っていた。

それなのに、彼女は私がいろんなものをくれたと言う。

私はまとめられない頭を必死に動かして言葉を発した。


「ありがとう。」


ただ、その一言が言いたかった。


私たちは裏の出口から屋敷を出る。

それから誰にも見つからないように魔法で体を浮かして外に出た。


私たちは王城に向かってひたすら走る。

だいぶ走ったところで後ろを一瞬見るとすごい勢いでやってくる追手がいた。


もうだめかもしれない。


とそう思った時に目の前に見知った顔の人が見えた。

「っはぁ、はぁ...フィバルブ...っ公爵!」

ありったけの声で私は叫んだ。


かれが気づく頃には後ろから多大な魔力が放出されようとしていた。

私は必死の思いでその魔力を止めようと無属性魔法を使う。


私はそこで一気に魔力を使ったためその場に倒れた。

「アリシナ様!アリシナ様ぁぁ!」

ルナが叫んでいる。


無事に魔力を無効化できたらしい。

近くに大勢の人の足音が近づいてくるのが分かる。

私は安心して朦朧とした薄れる意識を手放す。


何か声が聞こえた気がしたが、もう無理みたいだ。




満月の夜に誘拐事件は勇敢な少女たちにより解決した。



ある塔のの上から見下ろす影はつぶやく。

「ほらね、なんとかなったでしょ...。サシャ、君が選んだ子は選んで正解だったみたいだね。」


影はそうつぶやくと羽を広げて消えた。

舞台は整いました、あとは役者を揃えるだけです。次回の投稿は明日の20時です。

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