16.季節を感じる花
アリシナ視点に戻ります。
今日は月の月の41日、四週目の水の日だ。
今は、お泊り会2日目の朝です。
昨日の夜はみんなはというよりミラが長旅で疲れているだろうということで早めのお開きになった。
私は早く目覚めたので庭のバラ園のバラの世話をしに行くことにした。
私はバラ園へと続く道を歩く。
完全に春になったためか吹いてくる風も少し暖かい。
まだ朝だからか空に月が見えた。
今日は7つある月の一つが満月らしい。
ふと庭に植えてある桜に目を向ける。
この桜はイヨ王国から輸入した桜の苗から育てた樹だ。
イヨ王国には行ったことがないが、この時期にはメジロが桜の枝にとまりに来るのだとか。
メジロは椿という花の蜜が好物でよく人間の前に現れるらしい。
メジロはウグイスと間違われやすいがウグイスはやぶの中にいてあまり姿を見せないらしいので大体人が目にしているのはメジロだそうだ。
本で読んで学んだ知識なのでちゃんとしたことは分からないがいつかイヨ王国に行って見てみたいとは思っている。
イヨ王国は和の国と言われていて普段着として浴衣という着物を着ていると聞いたことがある。
自然が多い国なので自然の研究がさかんに行われている、とミラから聞いた。
きっと植物関連のことを調べに行こうとしているのだろう。
昨日ルナも行ってみたいと言っていた。
イヨ王国の食文化は他国より力を入れているらしい。
私も他国の食文化に興味があるのでミラがイヨ王国に行くときについて行かせてもらいたいところだ。
そう考えているうちにバラ園の入り口へと着いた。
いつもどおり私はバラに水をあげる。
ふっ、と後ろから笑い声が聞こえたので私は思わず振り返る。
すると見知らぬ人がそこに立っていた。
見た感じは人間だとは思えないほど人間離れした雰囲気をまとっている
この前の誕生日パーティーの時とは違う、たぶん男の人が笑っている。
「君がアリシナだね。彼が気に入るのも納得かな。」
彼は意味不明なことをしゃべりだす。
私は彼を知らない、けれど、彼は私を知っている...?
「あなたは、誰ですか....?」
私は少し後ずさりながら聞く。
「私かい?私は神だよ。」
....は?
思わず口に出かかった言葉を飲み込んで聞く。
「えっと、神って神様ということでしょうか?」
彼は微笑みながら頷く。
「そう、君に天啓を与えた神の友人だよ。」
ゆったりとした口調で彼は答える。
「私の天啓...あの、魔法測定の?」
「彼は気まぐれで天啓を与えるんだよね。あ、一応選んでるらしいけどね。」
彼は、ははっ、と笑いながら言う。
キマグレ?...気まぐれ、そうなんですね。
「まあ、私は君を見に来ただけだから、それじゃあね。」
と彼は手を振った。
「え?あっあの。」
私は何を聞こうか迷っていたところ、もう彼は帰ると言い出した。
「アリシナ、気を付けてね。なんとかなるだろうけど。」
とまた意味不明なことを言った後に彼は一瞬で翼を出して飛び立ったかと思ったらその場で姿を消した。
その場に残ったのは聞きたいことを聞けなかった私といつも通りの庭だけだった。
最近になってから不思議な人に会うようになったのはなぜかしら...夢、ではないはず...それじゃあ彼は何だったの...?
とりあえず解決しそうにないので、私は諦めることにした。
屋敷に戻るとみんな起きていて朝食の時間となった。
そのころ、アリシナの机に一通の手紙が何もない空間から現れて机の上に落ちた。
ーーー親愛なるアリシナへ
私がアル―ナス学園に旅立ってから約1か月になりますね。
アリシナは元気にお過ごしでしょうか。
一か月に一度だけ手紙を出すことが許されているようなのでアリシナに手紙を送ることにしました。
私は寮分けでトゥークカールト寮に配属されました。
話す友人ができました。
次会える時に紹介しますね。
そちらはもうそろそろ完全に春になるころでしょうか。
お風邪を引かないように気を付けてくださいね。
ロストワール・イグニアより
桜の花言葉は「精神の美、優美な女性」なんだそうです。次回の投稿は明日の20時です。




