持たぬもの達
遅れてしまいました!!
3連休、少し油断・・・・。
「作戦開始。」
男は専用の手袋を装着し、右手でハンドルを数回回す。
激しい音と共に、影に隠れていた姿に光が差し込む。
「了解。」と通信装置越しに複数の人から声が聞こえる。
戦闘服に身を包み、宇宙空間を大型バイクで走行する男。
背中には銃を背負い、複数の武器をバイク前方、後方の左右に装着している。
ヘルメットを被り、ティアドロップのメガネをかけた姿は歴戦のバイカーのようだ。
進むは標的である戦艦。
タロスなどという名称で呼ばれたその敵を殲滅すべく行動する。
彼の名は、小林博己。
5番隊隊長にして、オリジンの未覚醒者。
そう。5番隊は特殊能力を持たない人間が属する部隊。
日本が誇る、特殊部隊。
そのエリート達がスカウトされ、集まった部隊である。
敵戦艦へと進み続けると、彼の前の前にタロス軍が集まり、壁となる。
その数は8体。
その数に眉ひとつ動かさず、突き進む隊長。
右ハンドルのブレーキレバー。
その手前にある小さなレバーを人差し指で引く。
前方に装着されている銃が引き金に反応し、銃口から弾が発射された。
銃弾は進行方向直線に放たれ、正面にいたタロスに直撃。
蜂の巣にされたタロスはそのまま空中で機能を停止する。
正面のみ塞いでいたタロスを排除し、他は見向きもせず進む。
アクセルを全開に回し、トップスピードで突き進む隊長。
戦闘不能となったタロスをそのままバイクで押しのけ、壁を突き破った。
理解が追いつかなかったタロスは通り過ぎた後、ことの重要さに気づき、
「破壊しろ!!」と叫ぶ。
180度後方へと振り返り、手に持っていた銃を隊長へと向ける。
が、それすら罠であった。
防衛拠点より6機の宇宙用戦闘機が隊長の後を追うように迫ってきていた。
彼らは戦闘機がステルス機能で迫ってきていることに気づくことができなかった。
バイクのみがこちらに迫ってきていると勘違いされていたのだ。
ステルスを解除することもなく、背中を向けたタロスは格好の的。
副隊長である彼女は戦闘機の射撃レバーを握り、容赦無く残りの7体を撃ち抜く。
「目標、排除。」
『ひ〜、おっかねえ。』
『容赦ねえなぁ』
「そこ。ちゃんとやれよ!」
『へいへい。』
『わかってますよ。』
副隊長の言葉に反応する2人。
背後から戦闘機の窓越しに見ていたのは、5番隊隊員、梅島隆弘と佐々木一郎。
2人して引き攣った顔をしながら、彼女の活躍を目にする。
副隊長の網風椿は35歳という若さながら、その立場を任されており、
5番隊が行う戦闘機を使用した戦闘、ロボットの遠隔操作、狙撃など、
多岐にわたり実力を発揮する、エリートの中のエリートである。
身長は170cmと高身長ながら、すらっとしたスタイルのショートヘア。
キリッとした目つきで、5番隊の男どもを冷え上げさせる。
「後藤!状況は。」
『周りには何もいませんが、敵戦艦から複数体出てきているようです。』
後藤と呼ばれた人物は、アマテラス基地屋上、屋根の上で狙撃銃を備え付け、
双眼鏡で敵戦艦の状況を報告する。
「よし、我々は隊長のフォローに回るぞ!」
『了解!』梅島、和田を含めた戦闘機で、彼女の後ろから同時進行する5人が返事をする。
通信を聞いていた隊長は部隊が問題なく付いてきていることを確信し、敵戦艦へとアクセル全開で進み続ける。
目視でタロスが戦艦から出現するのを確認した隊長は、
バイクハンドルの中心部分に備え付けられているボタンを迷いなく押した。
ボタンを押すことにより、バイクの側面、左右の足元の部分より棒が伸びる。
同様に正面、後方、座席の後ろ、バイクの真下より棒が伸びたと思うと、棒を起点に障壁が展開される。
青白い障壁はバイクを取り囲むように展開され、猛スピードのまま、敵へと突撃する。
「ふっ、バカめ。」と1体のタロスは口に出し、レーザー銃を構え、照準を隊長へと合わせる。
そのまま引き金を引き、銃口からレーザーが発射されると、真っ直ぐ彼の胸めがけて突き進む。
隊長はレーザー弾など見向きもしないまま、突き進み、レーザー弾が障壁に当たる。
「何!?」
タロスはレーザーが青白い障壁によって防がれたことに驚愕していた。
「撃ち続けろ!」と周りのタロスに指示を出し、銃を持っているタロスが狙いを定め、何度も打ち続ける。
それも全て障壁によって阻まれ、彼に届くことはなかった。
突き進み、タロス軍、戦艦を目の前にしても止まることはなかった。
突撃を止めるべく正面に出たタロスは衝突した瞬間、障壁に粒子分解され、触れた部分が消滅する。
止めることができなかったタロス達は、攻撃を続けるも戦艦への突撃を許してしまう。
そのまま突き進む隊長は、戦艦を突き破り、バイクの通った跡は部品の一つも空中に溢すことなく消滅させた。
突き破ると、そのままハンドルを回し、何度も戦艦を食い破るように蜂の巣状態にする。
「あとは頼んだ。」と通信装置越しに、5番隊へ報告。
自分の仕事は終わったかのように、障壁を維持したまま、防衛基地の方面へと撤退。
網風副隊長はその言葉を受け、部隊へ指示を出す。
「これより残りは我々で殲滅を行う!
後藤はサポート!水島と和田は情報を引き出せ!
他は私とともに戦艦へと向かい、雑魚を殲滅する!」
『了解!』と隊長を除く、ほか隊員より返事が返ってくる。
副隊長はその返事に「フッ」と笑みを浮かべ、真っ直ぐ敵戦艦を見つめ、
操縦している戦闘機のスピードを上げる。
早々に到着した副隊長は戦艦の周りに集うタロスを発見し、
スピードに乗ったまま、照準を合わせ、発射。
飛びゆく鉛玉は最高スピードのまま敵へと吸い込まれ、頭に命中。
次々と敵を一発で撃破していく。
彼女同様、戦闘機を操縦する隊員は佐々木、梅島、長原、大島、東の5人。
それぞれが四方八方へと回り込み、宙に浮かんでいる敵を各個撃破。
戦艦より、離れた位置。
回り込もうとしていた敵を、後藤が発見。
「水島、和田。回り込もうとしている奴がいる。座標を共有する。」
『了解』と2人が返事をする。
水島隊員と和田隊員は人型ロボットを遠隔操作しており、
戦場には白い滑らかな流線が特徴のロボットで、
愁との戦闘訓練の際に、出撃させていたロボットと同一の個体である。
彼らは、アマテラス基地にある遠隔操作用のポットに入り、
1人1体のみではあるが、遠隔で操縦しているのだ。
壊された場合、新たに基地から出撃させる準備も整っているため、人的リスクはない。
しかし、異様に操作が難しく、宇宙空間で使いこなせる人材が極端に少ないため、
彼らエリート達にしか操縦することができない。
彼ら以外の隊員が使用すると、体を動かすことが困難で、
敵からすると魔都にしかならないだろう。
機体の機動力を駆使し、回り込もうとしている敵の目の前に移動。
この機体も、ステルス機能を搭載しているので、目の前で解除し、敵の動きを止める。
2人の息のあった連携で、5体のタロスが1体を残し、光を失った。
彼らは機体に搭載されている銃撃や、拳などを駆使した攻撃、腕がシャープに変わり、
敵の首を切り落とす、胸を突き刺すなどをすることにより撃破。
残りの1体は、和田隊員が手足を切り落とし、首を掴んで情報を聞き出す。
「お前達の目的はなんだ。」
「それは言えませんねっ。」
「お前の首が消し飛ぶぞ?」
「喋ると思いますか?」
「なぜ地球を攻める。」
「さあ。」
「死ぬのが怖くないのか。」
「我々は量産されています。意思などありません。」
「どこで作ってる。」
「ハハ!我らが母艦。その内部にて、至高なる存在より形を与えられているのです!!」
「んだと・・・」
「我々は機械に過ぎず、貴様ら繁殖を必要とする生命とは異なる存在!
単なる下等生物である貴様達に何がわかるというのです!」
「・・・・・・」
「しかし腹立たしいですね。我々をも利用するとは・・・。」
「何?」
表情など動かないタロスだが、嘲笑うかのようにこちらの目をのぞいている。
「次期にわかるでしょう。」と言い残し、彼の体が光り出す。
「くそっ!!」
和田隊員はロボットを仲介しているものの、即座に危険を察知し、タロスを投げた。
「水島!」と叫び、その場から遠ざかる。
「ふっ」と笑いかけるタロス。
間に合わないとでも言いたげな発言に、更に肝を冷やす和田隊員。
ただそれを見ていたのは彼ら2人だけではなかった。




