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戦闘の報酬は

遅れました!!

 2人は咄嗟に「危ない!!!」と叫ぶ。


 桐子は2人の言葉に危険を感じたのか、

 体を180度回転させながら横にずれた。


 その最中に敵の存在を確認した彼女は、

 自分が生成した鍵を避けざまに、敵の胸へと突き立てる。


 鍵は抵抗なく胸に突き刺さった。


 鍵が抵抗なく差し込めたことを確認した桐子隊員は、

 そのまま鍵をねじりながら『施錠!』と唱える。


 彼女の術中にはまったタロスは、動くことなくその場で固まった。

 まるで体全体に鍵をかけられ、動けなくなってしまったかのように。


 桐子隊員は無事のようだ。

 ただ、顔は驚愕の表情を浮かべている。


「さすがだな!」と笑顔で彼女に声をかける俊平隊員。

 秀蔵隊員は無表情ながらも、額に汗が見える。

 余程焦ったのだろう。


「あ!そいつ、持って帰れるな。」


「・・・・さすが私だわ。」


 桐子隊員が自画自賛をした時、

 いつの間にか背後にいた秀蔵隊員。


 その言葉をきっかけに、背後から彼女に地獄突きをお見舞いする。

 目を細めた表情をした彼は少しばかり怒っていたようだ。


「いだっ!」突然の痛みに反応する。

 突かれた場所を片手で抑えるように覆い隠し、少し飛び上がった。


「何すんのよ!」


「・・・・・・・・」秀蔵隊員はキレ顔のまま、無言を貫き、

「怒っていらっしゃる・・・。」と小声だが、声が漏れる俊平隊員。


「ごめんって。私の注意不足。次から気をつけるから許して?」


「・・・いつでも守れるわけじゃ無いからな。」


「は、はい。気をつけます。」


 秀蔵隊員の表情が元に戻った。

 納得したらしい。

 彼なりに彼女のことを気を遣っているようだ。


 俊平隊員は現実に戻ってもらえるよう、手を叩く。

 2人がその音に反応し、こちらを向くと声をかける。


「よし!とりあえずここから出よう!桐子。頼んだ。」


「へい。元々それが役割だったからね。」


 彼女は持っていた鍵を戦艦の壁に突き刺す。

 そのまま鍵を開錠するように回すと、ただの壁面だった壁が扉へと変化。

 扉を押すと、宇宙空間が広がり、外に出られるようだ。


「さて、私はまだやることがあるので船のそこに行くね。」


「俺もついていこう。」俊平隊員が言うと、秀蔵隊員も頷く。

 結局3人で行くこととなった。


 2人の心境は、(1人にするとあぶねえからな・・・)だった。

 先ほどの、周りに気づかない本人の嗅覚は、こと防衛戦では心配なのである。


 しかし彼女のオリジンである「鍵」は、いかなる状況でも役立つことが多かった。

 こと、防衛戦に関して。


 先ほどの研究対象を行動不能にさせ、傷付けずに回収できた功績、

 これから行う戦艦の回収作業にも、彼女の力は必要であった。


 船の底、中央部。

 敵兵が潜んでいることもなかったので、問題なく3人は目的の場所へと到着した。


 侵入しているとわからないが、底から見るとかなりのサイズがあるこの戦艦。

 これがもし地上であれば、3人は何の抵抗もなく潰されていたであろう質量。

 桐子隊員は新たに両手を組み、新たな鍵を生成する。


 両手を組んでいる指の隙間から光が漏れ出し、

 程なくして離すと、中央に先ほど使用した鍵と形状が似ている鍵が出現。

 蔵の鍵に似ている形状をしているが、先ほどの鍵より少し大きい。

 大人の手のひら程はありそうな大きさをしている。


 中に浮かんだ鍵を、彼女は手に取る。

 迷いもなく戦艦へと突き刺した。

 鍵をかけるよう、鍵を回しながら『施錠!!』と唱える。


 鍵をかけられた戦艦はその場で機能を停止。

 戦艦の窓から漏れていた光も消え、幽霊船のように暗くなる。


「ミッションコンプリート!ウシシシシ!早く中見てみたいですな・・・!」


「キモオヤジみたいにになってるぞ・・・。」


「おっと失礼失礼。俊平もそうは思わないかな??」


「いや・・・そこまでは・・・。」


「秀蔵は?」


「・・・・・・・・・・」


 俊平隊員は研究者でもあるが、彼女のような涎が出そうな程欲しているわけではなく、

 秀蔵隊員はあくまでも、彼女たち4番隊のボディーガード兼、研究材料収集係だったのだ。


 全ての作業が終わり、彼女たちは4番隊の集まる場所へと合流。

 到着すると、隊長が彼女たちを1番に迎えた。


「お疲れ様です3人とも。」


「お疲れ様です!」と3人が同時に返答する。


「流石ですね。無事敵の情報を収集すべく、研究材料をここまで綺麗に残してくれるなんて。」


「2人のおかげです!」と反応する桐子隊員。

 その回答に、「うんうん」と深く首を縦に振る2人。


「今回は私の出番はなかったようですね。」


「美豆隊長が能力使う羽目になれば、もう終わりですね。研究は諦めです。」


「ふふ。そうですね。『分解』してしまえば全て終わりですからね。」


 隊長の言葉に頷く3人。

 美豆隊長も4番隊に属する覚醒者。

 彼の能力は『分解』。

 あらゆるものを分解してしまう、恐ろしい能力。

 触れられたが最後、生命体は身をバラバラにされ、絶命してしまい、

 研究対象だった相手を、調査する間もなく破壊してしまうのである。


 4番隊向きではないが、教授と言われるほどに優秀な人物。

 各防衛拠点や重要な研究機関に顔がきく有名人。

 流石は防衛基地4番隊の隊長を任されている人物だ。


「そういえば・・・・あれ、どうしましょう。」と、桐子隊員が戦艦を指差しながら、隊長へと指示を仰ぐ。


「そうですね・・・あれは防衛戦が終わり次第、基地の近くに寄せておきましょう。

 まず初めにあの戦艦から調べます。皆さんも手伝ってくださいね。」


「はい!」と頷く3人。

 他の4番隊も隊長の背後に到着した。


 防衛戦に参加していた他4番隊メンバーは、彼女たちに自分の成果を自慢。

 その結果を被せるように、戦艦を指差し自分たちの功績を誇示する桐子隊員。


 他のメンバーは、その規模に驚愕。

 驚いた表情に、桐子隊員は満足した表情。

 他の俊平隊員と、秀蔵隊員は苦笑いであった・・・。



 ◇


 戦艦5基。

 その背後に立つ杖を持つタロス。

 この大規模戦闘を引き起こした発端にして、先導者。


 彼は冷静であった。

 戦闘を俯瞰する姿は何を目的としているのか。


 その見下すような視線。

 戦闘に参加しようとしない態度。

 自分は障壁の中。攻撃の届かないエリアを形成しているからなのか・・・。


「まだまだですねぇ・・・」


 誰に向けた言葉なのか。


 防衛隊はタロス達と戦艦の防衛に注力しており、彼のことは一旦放置していた。

 行動を見張っていたのは、総司令、金剛隊長、愁+トモの3+1人である。


 考えていると、彼の杖がピコピコと光る。

 その光に応えるよう、彼は杖に触れた。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「はい。順調です。」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「ええ・・・・・後ほど」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「まだ不明です。まだ情報が欲しい。」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「わかりました。必ずや。」


 通信が切れる。

 終えたタロスは視線を防衛隊へと向ける。

 表情は動かないが神妙な面持ちとなる。


「・・・・・・・・チッ」


 その舌打ちを向けるのは防衛隊、はたまた通信先の相手なのか。

 彼は杖を強く握り締め、足元へ杖を突いた。

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