潜入・・・成功!
戦艦へ侵入に成功した3人。
それぞれが緊張感を持ち、作戦を再開した。
倒したタロスは見つかりにくいよう、通路の脇に隠した。
(見つからないでくれよ・・・)
心の中で俊平隊員は祈る。
表情はタロスの外見であるがゆえに変化しないが、
本人の心中には不安と焦りが出ている。
桐子隊員は腕に抱えられながらも横目で彼の表情を見ていた。
表情こそ変化はせず、タロスの見た目だが、
彼女に触れる腕が少し震えているのがわかる。
彼女はそんな彼のことを心配し、少しでも安心してもらえるよう、
「大丈夫」と、真剣なまなざしを彼に向け、小さな声で声をかけた。
その声を聴いた俊平隊員は、心なしか少し正気を取り戻す。
(俺がこんな状態でどうするんだ!しっかりしろ!!)と自分に言い聞かせる。
桐子隊員を抱えたまま、通路を進み指令室なる場所へと向かう。
途中、すれ違うタロスはおらず、先ほどの一体のみであった。
戦艦内にいるタロスの少なさに若干の不安を感じるも、
すぐに自分に問題ないと言い聞かせる。
しばらく歩き続けると、大きな扉が姿を現す。
(おそらくこれだろうな・・・)
入る前に作戦を考える。
彼は擬態する以外に戦闘手段を持っていない。
一歩間違えると命すら危ういのだ。
もちろん、擬態しているのでタロスの基本防御性能や技は使えるが、
それだけでは良くて1~2体始末するのがやっとという計算をしていた。
一応武器と盾障壁を忍ばせているが、乗り切れるかは不明。
打開策として、秀蔵隊員、桐子隊員がいるのだが、
指令室にいる敵の戦力を見誤るわけにはいかない。
となれば、とりあえず自分は化け続け、
艦内にいる敵の戦力を把握する役割に徹すると考えた。
この作戦を実行へ移す。
しゃべると危険が増すので、メッセージで作戦を2人へ送る。
目線のみを桐子隊員へと送り、2人してうなずく。
秀蔵は分かっていると信じて扉を開ける。
中では司令官らしきタロスが椅子へと座っており、
計6体程のタロスがそれぞれの役割を全うしている。
司令官らしき人物へと近寄り、報告する。
「敵人間、1体連れてきました!」
「・・・・・・・なるほど。」
少しの沈黙、汗は流れないが心臓が悲鳴を上げている。
どんな言葉が返ってくるのかは不明だが、指示を待つしかない。
「いいだろう。そいつを後ろの奴に預けろ。」
(・・・んだと!?ま、まずい・・・だが、しかたがねえか・・・)
「はっ!」
振り返り、桐子を後ろに来ていたタロスに手渡す。
(秀蔵・・・桐子をたのんだぜ・・・。)
桐子隊員を抱えたタロスは、そのまま指令室から通路へと出ていく。
こちらを一切振り返ることなく・・・・。
そして、司令官らしきタロスへと振り返る。
驚いたことに、彼は自分のことをまじまじと観察していた。
(・・・・まずい予感がする。)
「貴様、どこの隊だ。」
(まずい・・・!)
「少し離れた場所から援護に参りました!」
「・・・・・・・・そうか。」
未だタロスが自分から視線を逸らそうとしない。
その生きた心地がしない緊張感が、彼を襲う。
「我々は何のためにこの星を攻める。」
「・・・し、侵略のためであります!」
「・・・・・・ふっ・・・・ふはははははははは!!!」
感情の読めないタロスが口を大きく開け、笑う。
不気味だった。
無表情の機械の顔に付く口が突然開き、大声を出すのだから。
笑いは突然止まる。
「やれ。」
殺気を感じ、後ろを振り返ると別のタロスが棍棒をその手に持ち、
上から頭を狙い、振り下ろす。
咄嗟のことだが、俊平隊員はそれでやられる存在ではない。
咄嗟に腰に隠し持っていた障壁盾を展開し、攻撃を防ぐ。
障壁盾に触れた武器は分子へと分解され、触れた部分が消滅した。
「っぶね!」
「なに!?」
棍棒を振り下ろしたタロスが攻撃を止められたわけではなく、
棍棒の先端部分を消滅させられたことに驚いていた。
驚いている隙を見逃すわけはなく、
そのまま盾障壁を利用し、タロスを消滅させるべく攻撃する。
正面から盾を持ったまま、突撃。
触れた部分から消滅、分解。
突き抜けたころには、彼の頭と足の部分しか残らず、
他は消失していた。
(よし。とりあえず・・・・・・・逃げるか!)
奴を倒したことにより、退路を確保することができた。
通路をふさいでいたのは奴一人だけ。
他はこちらを見守る以外、特に何をするわけでもなかった。
一目散に走り、扉を抜ける。
抜けた先で桐子隊員と秀蔵隊員が待っていた。
「ばれたみたいね。」
「雑なんだよ。」
「うっ。そんなこと言うなよ・・・。」
2人に指摘され、少し傷つく俊平隊員。
2人の足元には先ほど連れて行こうとしたタロスが横たわっていた。
タロスは胸を一刺し。
その傷しか見当たらず、一撃で仕留めたようだ。
さすが秀蔵隊員である。
「どうする?敵はそこまで多くねえぞ。」
「正直戦艦を占領したいところだけど、秀蔵できる?」
「敵を闇討ちするなら余裕だな。」
「じゃあ俺は敵を錯乱させる。」
「私は・・・・・・どうしようかな。」
「・・・・・・・・」と、
俊平隊員と秀蔵隊員は彼女の言葉に、ポカンと口を開けることしかできなかった。
「それじゃあ錯乱している間に退路を確保しておいてくれ。」
「そうだね。わかった。」と彼女はうなずき、手から鍵を生成した。
「たのむぜ二人とも。」
俊平が声をかけるとうなずく二人。
秀蔵は自分の役割をこなすため『雲隠れ』と口にすると、
気配もなく彼の姿が消えた。
俊平はタロスの姿のままなので、
そのまま指令室へと逆戻り。
今度は銃を片手に、見つけ次第始末していくようだ。
「よしっ!」
俊平隊員は銃を両手に持ち直し扉を開ける。
視界に入った敵を次々と打ち抜いていった。
以外にも彼の命中率は高い。
次々と4体の頭へ打ち抜いた。
次を狙おうとした時には、すべてのタロスが地面に倒れ伏していた。
秀蔵が”雲隠れ”を解除し、姿を現す。
「これですべてだな。」
「ああ。」
先ほどの司令官も彼の一撃によって首を飛ばされていた。
断面は電気がほとばしり、動くことはなさそうだ。
「・・・・・・・まてよ。」
「なんだ。なんかあるのか?」
「研究材料・・・・・・」
「あ。」
目の前に広がるのは無残にも機能を停止したロボットたち。
どう考えても情報を引き出すことはできそうにもなかった。
2人とも、自分たちの行動を見返し、
隊長への報告をどうするか悩んだ。
2人近づき、顔を見合わせて語ったのは、
「戦艦が無事だから大丈夫か。」とのこと。
2人とも、考えは同じであった。
指令室から2人で扉から出る。
桐子隊員が笑顔でこちらに手を振っていた。
が、影に隠れていたタロスが背後から彼女に迫った。




