地獄の再雷(カラミティサンダー)
それからというもの、2人の行動は早かった。
急ぎ、宇宙空間を駆ける。
彼女たちの撃破目標である残りのタロスたちは、
自分たちに迫ってくる2人を発見し、攻撃を仕掛ける。
彼らは体から複数本手を伸ばし、
手のひらで衝撃波を幾度も発生させる。
伸ばしてきた手を2人は瞬時に上下左右匠に避け、
放つ攻撃を確実に命中させるよう射程圏内へと近づく。
攻撃の起点は王野原美波。
ある程度の距離へ移動し終えると、彼女は自分のオリジンを解放する。
「拓海!いくよ!」
「わかった!」
拓海の返事を受け取った美波は自分の内側へと意識を向け、
彼女のオリジンたる「海」を宇宙空間へと顕現させるべく、言葉を唱える。
『飲み込め!!』
両手を広げ、全体を巻き込むように彼女は告げた。
言葉を唱えたあとは言うまでもない。
彼女の体を起点とし、溢れるのはそのオリジンたる「海」。
宇宙空間であることを忘れるかの如く、
その海水は波をたて、目の前の敵たちを飲み込んでいく。
「おい!!これはなんだ!?」
「わかりまs!」
彼らの言葉は波に飲まれ、発言の意味を無くす。
その光景を見た拓海。
彼女のオリジンが目標たる敵を巻き込み、自分の番が来たことを認識する。
彼のテンションは最高潮。
目がぎらついており、口角の緩みを止めることはしない。
「ふっ、さすがだ・・・・後のことはオレに任せてもらおう!」
「・・・・・・・・まあ、うん。そうだねー」
彼を横目に、棒読みで反応する。
いつもの光景であった。
「今宵。オレの力が日の目を見る!
我が左腕、我が力、神と契約せし能力!!今、解放する!!」
拓海が言葉を綴り、戦闘服で隠されていた左腕を捲る。
彼の左腕には白い包帯が何かを隠すかのように巻かれており、
その包帯を、右手で引っ張り解く。
すると、腕にはいくつもの魔法陣が腕一面に描かれており、
それぞれの魔法陣は模様が全く違う、全て別の模様であった。
「この右手は、天からの罰にして運命!
主よ、今こそこの力を解き放ちます!!」
叫ぶ彼の顔は真剣そのもの。
近くでジト目になっている美波隊員を除き・・・・。
「かの者たちに雷を!!!今こそ解き放て!!我が『魔法陣』よ!!!」
彼の詠唱が終えた次の瞬間、
波に巻き込まれたタロス軍の周囲、波を覆い囲むようにいくつもの魔法陣が空中に出現。
その魔法陣は全て同じ紋様が描かれていた。
魔法陣の中心部分、徐々に丸い玉が出来上がる。
丸い玉がサッカーボールほどの大きさになった時、
波へと雷が落ちる。
雷が落ちるたび、形成された丸い玉が小さくなるのがわかるが、
四方八方に出現した無数の雷が海水を伝ってタロスへと感電せしめた。
その電圧は常人の人であれば、即死に至るほどの威力。
1度でも浴びれば、2度と日の目を浴びることのできない攻撃を幾度となく浴びせる。
波の中にいたタロスたちは、幾度の電撃に耐えられることなく、
気づけばその活動を停止していた。
「フッ・・・これぞ我らが奥義。”地獄の再雷”だ!!」
「・・・・・・・・・・・」
美波隊員はその言葉を聞き流し、足早に奄美隊長の元へと向かう。
波は自分で操作しなくても、自然消滅するので放置しても問題ないのだ。
とにかく、こうなった拓海に関わるのは彼女の性格上
付き合いきれないので(年齢と恥ずかしさもある)、
颯爽とその場から逃げるように元いた場所へと戻る。
当の本人である拓海は、この光景を見て目を輝かせながら高笑いしていた。
周りに美波隊員がいないと気づくのはその後、
彼女が隊長の元へ到着し、隊長から呼び出された時に気づくのであった。
かくして、2番隊目標である敵艦隊の殲滅を確認。
◇
「ここまでとは・・・。流石に攻めごたえがありますね。」
5隻の戦艦を俯瞰し、眺めるのは元凶である杖を持つタロス。
彼の表情には、余裕と笑顔が隠されることなく現れていた。
彼の周りには障壁が貼られており、
破ることができなければ、攻撃を加えることができない状況。
「もっと見せてください。あなたたちの実力を・・・・。
私はまだまだ満ち足りていません。
もっと情報を集めねば。
かの御仁に有益な情報を・・・・。」
彼らが掲げたその旗。
それを見ながら囁くこの状況を作り出したタロス。
彼の囁きは誰にも届かず、
彼の真意は誰にもわからず。
不適な笑顔たるその表情が、唯一のヒントであった。
◇
「皆!!!瞬時にケリを付ける!!
力を残しつつも、一撃で決めるぞ!!!」
そう鼓舞するのは3番隊隊長である金剛元。
シーンは移り変わり、次なる防衛戦は3番隊。
そのメンバーが、愁を救うべく参戦し、
愁と共に戦うべく、この戦場へと現れてくれた。
愁はリーゼント先輩を傷つけた相手への復讐・・・・を考えていたものの、
金剛隊長より「その心意気は捨てたほうがいい」と言葉をかけられる。
表情に出ていたのか、その言葉の真相を聞くことはできず。
自分にできることを、今行動するのみ。
やる気になっているのか、とももサポートしてくれるようだ。
彼曰く(『愁は俺の使い方が下手。手本見せてやるから学べ』)と。
生意気この上ない。
ただ、あいつの言葉にかつてないほどの強さがあった。
実際ともは焦っていた。
本来であれば徐々にオーラの使い方をマスターし、
放出量も徐々に上げていければ、次のステージにいけるはずだと。
しかし、彼に迫る危険はすぐそこまで来ている。
リーゼント先輩がいなければ、当たりどころが悪ければ即死の可能性だってあったのだ。
実際、能力を使いこなせていれば彼は最強になると、ともは自負している。
(『相棒。お前の体、少しばかり借りるぜ。』)
やっと主人公が描けそうです・・・。
思いの外、他の隊員の話が長くなってしまいましたが、
みなさんにどのキャラも好きになってもらえるよう、書いてまいります!!




