模擬戦(訓練)③
50話!!!!
ついてきてくださっている皆様。
本当にありがとうございます!!
まだまだ書いていきますのでよろしくお願いします!!
15分程。
休憩兼作戦会議が始まる。
先輩たちとは、距離を置いてそれぞれ円になって話し合う。
「とりあえず先輩たちのオリジンってなんかわかった?」
「柏木先輩は透明、井伊原先輩は火の玉を出してきてた。」
「リーゼントさんは速えぞ。」
「最後に『タキオン』って聞こえた。多分あれだ。」
おおよその能力は掴んでいるようである。
「柏木先輩は光でなんとかなる。
井伊原先輩は障壁があれば防げるし、避けられる。
ただ、神谷先輩は・・・・・。」
「・・・・・・・・・・」
「早すぎて目で追えない。」
「・・・・・・・私やったらなんとかなるんかな?」
「・・・・・・いや、俺がやる。」
「え?」
「というか、次の模擬戦も俺が先陣を切る。」
「いけるのか?」
「ああ。聞いてくれ。」
そして、自分ができることを盛り込んだ作戦を伝える。
2人とも真剣に聞いてくれた。
「いけんの?これ。」
「いや、やってみよう。僕は頑張るよ。」
「頼んだ。」
「自信ないし、無理やったらごめんな。」
「その場合は俺がなんとかするから気にすんな。」
そう言った後、飛騨隊長が15分終了の合図として、呼びにくる。
「作戦会議終了です。休めましたか?」
「はい。問題ありません。」
「よろしい。それでは集まりましょう。」
見上げて先輩たちの方を見ると、すでに休憩を終え、中心に集まっていた。
改めて、その場所に俺たちも移動する。
「さて、皆さん。第一試合、お疲れ様です。
これから第二試合を行います。
ルールは先ほどと同様。
胸の部分についているバッジを3人とも取られたら負けです。
少なくなりますと数的不利になりますので、その点もご注意ください。」
「はい!」
「それでは皆さん、中心に浮いているオービットへ移動してください。」
6人全員移動を開始する。
愁、哲、朔の3人はもう慣れたようで、
スムーズに中心部へと移動できた。
到着し、3人がそれぞれ向き合っている先輩たちの目を見て、対抗心を燃やす。
愁は神谷先輩。
哲は井伊原先輩。
朔は柏木先輩。
『それでは第二試合。3、2、1・・・スタート!』
2回目の模擬戦が始まる。
飛騨隊長の合図とともに、
中心に浮いていたオービットが緑に光る。
「哲、朔。頼んだぞ。」
通信機越しに愁は2人へ伝える。
愁は、飛騨隊長のアドバイスをもとに、自分のできることを考えていた。
自分の中の結論を今、放つ時。
「いくぜ!相棒!『溢れろおお!!!』」
(『よっしゃあ!!俺たちのショータイムだ!!!』)
愁が全力で唱える。
彼の中のオリジンはそれに呼応し、相応の効果を発揮した。
文字通り、オーラを全方向に、
敵味方関係なしに放ったのである。
愁から溢れ出るオーラは凄まじいスピードで周囲を飲み込み、
哲、朔を初めに、先輩たちも一瞬で飲み込む。
ただ、やはり初めて触れた哲と朔は、恐怖していた。
『っ!!』
『ひぃっ!』
恐怖を感じる声を通信機越しに拾った愁は、
少し脳裏にトラウマをフラッシュバックさせるも、
意思で断ち切り、2人に声をかける。
「無理すんな!俺がなんとかする!」
(相棒!あいつらの周りだけどうにかできねえか!?)
(『んなむちゃゆうな!広げてある程度のところまで行ったらいけるかもしれねえが。』)
(チッ!その後頼んだぞ!)
(『相棒使いの荒いやつだな・・・だが、まかせろ!』)
その頃先輩たちは・・・。
「っ!!!!!」
「ひぃ!!」
「うっ!」
文字通り、恐怖で体が動かないようだ。
というより、本能により体を動かすことができない。
オーラに触れた体の部分全てに、ナイフが突きつけられたような緊張感を感じている。
長くこの状況に晒されれば、心が壊れて発狂してもおかしくない程に・・・。
ともはオーラを通してその状況を感じており、
発狂しない程度に止めるため、タイムリミットを愁に伝える。
(『愁!1分だ!それ以上はまずいかもしれねえ!バッジを早く取れ!』)
(んだと!どうした!)
(『オーラに触れた奴ら、心がすり減ってやがる!皆壊れちまうぞ!』)
(!?)
愁はその言葉を受け止め、急いでバッジ回収に切り替える。
本来はオーラを放ち、愁が哲、朔に影響がないようにコントロールするつもりだったが、
その作戦は無理そうである。
自分の弱さに思いをむけ、今回は全力でバッジを取りに向かう。
愁は全力でオーラを周りに飛ばし、
その環境下で動くのは初めてだ。
しかし、この環境が愁にとってメリットしかないのか、
相手の場所、全て把握を今できる状態にある。
しかも体の調子がいい。
今ならなんでもできるような全能感がある。
「急ぐぞ!」
(『あいよ!』)
全力で駆ける。
先輩たちとの距離は然程遠くないので、一瞬で到着。
愁は、相手の顔に見向きもせずに、
3人のバッジを回収。
取った後に見上げると、1人、にやけている人物がいた。
そう、リーゼント先輩である。
恐怖を感じながらも、声を出せずにいるにも関わらず、
冷や汗を出しながら少し口角が上がっていた。
それに驚いていた愁だが、ともの言葉により冷静さを取り戻す。
(『愁!オーラを解け!!早いに越したことはねえぞ!』)
(!?・・・わかった!)
そう言われ、我に戻りオーラの放出を止める。
さらに、オーラを体へと吸収。
体全体から吸収するように吸い込む。
少しすると、オーラを吸収し終わるも、
体のキャパを超えそうになり、誰もいない場所へと放出した。
もちろん地球方面には放っていない。
そして、先輩たちは基地へと自動的に体が戻ってゆく。
それを横目に哲、朔へと目をむけるが、2人とも、まだ動けずにいた。
急ぎ2人の元へと近寄ると、少し震えているのがわかった。
その光景に、胸に刺さる何かを感じるも、声をかける。
「大丈夫か?」
「・・・・・・・・ちょっと震えが・・・・。」
「・・・・・・すまん・・・不甲斐ない・・・。」
この状況に対し、よりいっそ制御に力を入れないと・・・・と、
自分の力の強大さに自分も恐怖する。
「手をかせ、俺が引っ張る。」
2人が手を伸ばし、愁がつかむ。
体に負担がかからぬよう、移動速度を調整しながら飛騨隊長の元へ。
(危なすぎんだろ・・・・まじで。)
(『俺もここまでとは思わなかった。すまん。』)
(とも、頼むから全てを教えてくれよ。お前を制御するために)
(『頼むぜ・・・相棒』)
そして少しして基地へ到着。
2人を丁寧に誘導する。
そして、飛騨隊長が近づいてきて一言。
「粟生屋さん、やりすぎです。」
「すいません・・・。」
「次の模擬戦は放っても数秒にしてくださいね。」
「・・・はい。」
「強大すぎる力に飲まれないでくださいね。」
「はい。」
反省。
本来の敵に放つ分には強大な力を発揮するが、
味方を巻き込むのは御法度だ。
それを本人も理解しているので、なおのことあいつと訓練を強化すべきだと感じている。
「粟生屋!」
振り返るとリーゼントさんがこちらを見ていた。
「お前やるな。次は負けねえ。」
「・・・・・・・」
ホッとした。
心が洗われる気分である。
その一言でも、愁の心の棘が抜かれたようだった。
「そうですね。まさかの一対一。今までに前例がありません。
基本は、先輩たちに取られてそこから学んでもらうんですがね・・・。
ただ、この3人。優秀のようです。
先が楽しみですね!
今回は30分の休憩にします!
少し心を落ち着かせてください。」
オーラの影響を配慮してくれた。
俺も2人に向き直り、ケアをするつもりだったのでよかった。
自分語りをしながら、時間を過ごそうと決めた愁であった。
そう思う愁は、人に対する心の心境が変化していくのを、
本人は気づいていない。




