模擬戦(訓練)②
お盆は終わり!
仕事が始まり、すごい憂鬱です・・・。
更新スケジュール、週3日に戻ります!
「どうする・・・。」
哲は頭を悩ませていた。
愁、朔共に脱落し、残されたのは僕1人。
それに相手はまさかの3人残っている。
自分に残された手は、
まだ使っていない”改変”を施したアイテムたち。
これを駆使して倒さなくてはいけなくなった。
幸い、朔が豆電球を使用して場所を見破れることはわかった。
あとは、どうやって相手のバッジを奪うか。
「・・・・・・・・!?」
突如、どこからともなく魔法陣が現れ、火球が飛んでくる。
火球を避けようと空中を思い切り蹴る。
体全体を移動させ、なんとか避けることに成功した。
(なんだ!?魔法陣・・・?1人魔法使いでもいるってゆうのか?)
避けたと思うと、次々と上に魔法陣が現れ、火球が降り注いでくる。
(ッ!)
ポケットからプレパラートを出し、火球の方向へと投げる。
事前に準備していたシールドだ。
空中で大きくなり、透明なバリアが展開する。
”改変”の内容は大きくなること、何層にも重なった障壁に分身すること。
そして、その素材はダイヤモンドと同じく、モース高度10にすること。
何も通さないことを前提に書き換えた、簡易的最強の盾である。
(考えろ・・・。どうする。)
今のままの手札では勝つことすら難しい。
であれば、オリジンで物質を再度変換するしかない。
しかし、まだ実力が乏しく、2つ以上を一瞬で改変することはできない。
プログラミングの要領で、追加コードを書き上げるか、
部分的に書き換えるなど、かなりの集中力が必要となる。
(こういう時に、2人がいれば・・・。)
こんな時に嘆いても仕方がない。
とりあえず、時間が必要だ。
書き換え慣れているプレパラートを用意。
これであれば、一部を書き換えるだけなので、一瞬でできる。
『改変』
ガラスに触り、集中する。
頭の中に物質の情報が文字で流れてくる。
その中の情報を1つ取り上げ、書き換える。
その間、0.8秒。
慣れているので、3枚とも一気に改変。
「よし。」
その間も相手は待ってくれなかった。
火球を一定の間隔でひたすらに打ち続けてくる。
空中を駆けながらなんとか、対応。
「頼んだぞ・・・!」
完成した3枚を頭上、右斜め下、左斜め下にそれぞれ投げる。
すると途中で、大きくなり、先ほどとは違う形に変化する。
なんと、哲を覆うように3枚の障壁がくっついたのだ。
「よし!頑張れ・・・自分!」
無敵時間を得た哲は、この時間を最大限活用し、
豆電球、棒、針、紐、等様々なアイテムを取り出し、
これでもかというほど、集中。”改変”していく。
「絶対的な、相手の隙が欲しい。
考えろ・・・・考えろ・・・・・。」
思考を巡らす。
作戦を考える。
隙をつき、バッジを取れればいい。
(そうか!)
思いつく。
一瞬だけ隙をつくり、相手の懐に飛び込む方法。
早速改変にかかる。
今あるリソースに加え、追加で効果を足す。
そして、今もなお衝撃がくる火球の攻撃。
いつまで経っても止まる気配がない。
が、哲の準備は完了していた。
「成功してくれよ・・・。『改変!』」
自分の周りにある障壁に手を添え、口にする。
第1段階は障壁を小さな無数の障壁へ。
火球はなんとかよけ、障壁をあらゆる場所へ飛ばす。
模擬戦の会場全体に広がるよう調整。
そして次に、豆電球。
自分の真正面に腕を伸ばし、唱える。
『オーバーライド!!!!』
突如、閃光手榴弾より激しい光が宇宙を照らす。
豆電球は、懐中電灯のように、正面を照らし、哲は片手で瞬時にサングラスを装着。
しかし、それでは見つけようがないかと思うのも作戦のうち。
突如、無数の光が反射し、訓練場全体を照らす。
そう、哲が小さく放った障壁は、鏡に改変していたのだ。
全体を眩しく照らす。
眩しい光に、全員が目を細め、手で目を覆い隠す。
哲はその隙を狙った。
改変していた丸ボタンを背中部分で爆発させ、一気に加速。
勢いを利用して、空中を踏み込む。
さらに加速し、方向も調整。
眩しがっていた隠れた2人を発見。
ただ、予想外だったのは柏木先輩だった。
「眩しい!このままじゃ取られちゃう・・・『隠して!』」
かろうじて聞こえた声の主は、光が照らしているにもかかわらず、姿が消えた。
真っ先に柏木先輩を見つけたので、向かっていたのだが、突然見失う。
(まずい!)
光の持続時間は5秒。
元いた場所へと豆電球は置いてきていた。
なんとか周りを見渡し、井伊原先輩を見つける。
未だかなりのスピードで移動していたので、
なんとか方向転換を行い、目を閉じている先輩の元へ。
「これで!!!!」
あと少し、あと少し・・・・・・だが、時間が過ぎるのは早い。
豆電球の光が、突如消え失せる。
あと少しの距離、手を伸ばせば届く。
井伊原先輩も光が収まったと同時に目の前に迫っているのを確認し、驚愕の表情。
取った。誰もがそう思った。
しかし・・・・。
『タキオン』
一瞬の出来事。
哲はもう少しで届こうかというところで、
防衛基地へと体を引っ張られ、バッジから遠のいていく。
理解ができず、表情を変えることが無いまま2人の元へ。
基地へたどり着いた時には魂が抜けているように表情が固まっていた。
「ちょ!哲!大丈夫かいな!」
「おい!しっかりしろ!」
2人は哲をこれでもかと言うほど体をゆする。
放心状態のまま、反応がない。
しまいに、愁は頭を平手打ち。割と強く。
「いった!」
「あ、戻ってきた。」
「何するんだ!」
「いや、どっか行ってから。」
「そうやで!ほんま大丈夫かいな。」
「ごめん。やられた。」
「何ゆーてんの。こいつなんか真っ先にやられてんで?なあ?」
「うるせえ!」
「・・・・・・・・フフ。」
哲がそのやりとりを見て、不意に笑う。
「お、笑ったな?」
「い、いや。」
「誤魔化すんじゃねえよ。笑っただろ。」
「先にやられたやつに言われたくない。」
「んだと!?」
「フフ・・・ハハハ!!」
哲の表情が戻る。
いつもの言葉数が少ないような、
彼の人に対する壁がなくなったような気がする。
哲の心境は2人のおかげか、清々しい気持ちとなっていた。
最後のピンチ。
1人だけ残った時の状況打破には神経を注いでいた。
彼の中では最善の答え。
今できる最高の手段を持って挑んだにもかかわらず、
最後の最後に打ち砕かれた。
心底絶望する。
今まで、自分の能力は最強だと自負していたのもあるだろう。
それゆえに、絶対的な自信があったのだ。
破られ、自暴自棄に陥っている時、2人のサポート。
小さなきっかけだとしても、彼の中で今後、
大きな支えとなるであろう居場所を見つけた。
(ありがとう。もう、立ち直れそうだ・・・。)
「次は負けない!」
「ええやん!その意気や!」
「たぎるねえ・・・。」
(『お前が人を立ち直らせるようになるたぁな。成長したもんだぜ!相棒!』)泣顔
「うるせえ!」
「は?」
「え?」
「あ・・・・・・やべ。」
こんな時に、何故かともが話しかけてくる。
咄嗟のことに、声に出して反応してしまった。
「い、いや。なんでもねえよ!」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
(てめえ!何してくれてんだ!)
(『悪い悪い。つい・・・。』)
突然気まずくなってしまった。
どうにかして逃げたいと思ったところで、先輩たちが戻ってくる。
「やるなあ、新人。」
「私やられちゃうかと思ったよ〜。」
「俺の火炎弾を華麗に防ぐなど・・・・さすがだな。メガネ。」
それぞれ、3人に対する評価を口にする。
そこに飛騨隊長も入り。
「皆さん、お疲れ様です。素晴らしい模擬戦でした。
まさか、1戦目でそれぞれに収穫があったように思えます。
今回の3人も優秀ですね!」
飛騨隊長が柄にもなく、少し興奮したような表情だ。
「宮城さん!」
「は、はい。」
「私からの助言ですが、挫折は早いに越したことはありません。
人間、何もかもがうまくいくなどありえません。
失敗や経験から次に繋げ、日々成長していくのが人なのです。
新田さん、粟生屋さんも。
決して忘れないように。
挫折は最高のチャンスですよ。」
「「「・・・はい!!」」」
全員その言葉に耳を傾け、真剣に話を聞く。
飛騨隊長がもつ生き方指南、その一つである。
「・・・・ちょっと待ってください。1戦目?」
「あ、そういえば宮城さんには言ってませんでしたか。
あと2試合。今日の模擬戦は3試合予定ですよ?」
「・・・・・・・・・終わった。」
力尽きたかのように倒れる哲。
それをいち早く受け止める朔。
何かよく考えていないのが愁。
「次の模擬戦の前に、しっかり皆さん情報交換してくださいね!
作戦を練って、次こそはバッジを取れるようにしてください!」




