2人の戦い
戦闘シーンってやっぱり書くの難しいな・・・・・
ボールが地面を跳ねた。
静かなグラウンドにバウンドする音が響く。
その瞬間、あいつの姿が消えた。
一瞬、背後から気配がした。
振り向く瞬間、すべてがスローモーションに感じる。
瞬間的に危険を察知した俺は、両腕で首から上を守るようにガードをする。
『ふん!!』
「チッ!」
直前で間に合ったガードは何とか腕で防げるものの、
オーラを完全に纏えず、骨に響く。
すぐに反撃に動ける状態とはほど遠い、
まさしく最初の一撃で致命的なダメージを負ってしまう。
(クッソ!!腕が使えねえ・・・。)
『あますぎるぜ・・・相棒。』
愁は攻撃を受けてから後ろに下がり、少し距離を置いていた。
しかしあいつは次の攻撃にかかろうと走り、迫ってくる。
あいつは走ってくる最中、右手にオーラを溜めている。
(やべえ、次食らったらまずいぞ・・・どうする・・・・。)
一瞬の間に思考を巡らせる。
愁はそのままオーラを溜めた手で攻撃すると考えていたが、
まったく思い通りにはいかず、思考を読んでいたかのように別の手段をとった。
あいつはオーラを溜めた手で思いっきり横に薙ぎ払う。
まだ自分との距離があるのに何をしているんだと思うも、
相手の術中にはまってしまう。
腕が空中を薙ぎ払われた瞬間、
愁に向かってオーラの波が勢いよく飛んできた。
少し強い風程度の圧力だったが、嫌な予感がした。
途端、全身にナイフを突きつけられたような感覚になる。
体が動かず、冷や汗、さぶいぼ、脳が機能しない。
(・・・・ッ!!)
『終わり・・・・だな!』
動きが止まったのをあいつが見逃すわけもなく、振りかぶるのは右ストレート。
全身の体重、重心移動を利用した最高の一撃。
どうするも、こうするもない、とにかく対処するしかない。
「ぉらあぁぁぁ!!!」
体よ動け。
瞬間まで迫ってきている。
一瞬の判断で浮かんだ一つの選択肢。
避ける・・・・ではなく、反撃。
何クソ精神でオーラの呪縛から何とか逃れ、反撃。
自分のオーラに立ち向かい、成長する精神力。
自然と右手にオーラが集まり、相手の攻撃に合わせて自分も一撃を入れる。
狙いは拳。
相殺。
何故かできる自信がある。
そして、あいつの拳と俺の拳が激突した。
お互いオーラを纏っているので、激突した衝撃でオーラが周囲に放たれる。
『なにっ!?』
「っ!!」
お互いが衝撃で吹き飛ばされる。
あいつは吹き飛ばされるも、体勢を立て直すものの、
愁はそんな余力が残っておらず、グラウンドを滑るように後退した。
「クソッ!」
『やるじゃねえか、相棒』
愁は何とか起き上がり、どうするか考える。
この状態で持久戦は難しいと思いながら、構える。
『愁、一応アドバイスだが、けが負った部分はオーラで補強すれば何とかなるぞ。』
「は?」
『やってみろって。』
痛みが強い腕と拳をオーラで包む。
「・・・・・・おい!いてえままじゃねえか!」
『バカ。考えろよ!』
「ムカッ!んだとてめえ!」
『痛みのある部分を補強してやるんだ。
イメージしろイメージ。』
「チッ。」
集中する。
痛みが強い腕、拳のポイントにオーラを流し込む。
なんとなくのイメージで痛みを包む。
次第に痛みが引き、問題なく動かせるようになった。
『痛み引いただろ?』
「ああ。」
『やっぱすぐできちまうか。』
「なんだ?」
『いや、なんでもねえよ。』
「んだよ、きもちわりい。」
『ムカッ・・・・・第二ラウンド、はじめ。』
突然襲ってくる。
咄嗟に避けることに成功したが、まだ続けるようだ。
お互いが今日はお互いが疲弊するまで続けるのだろう。
そうなると負けてはいられはい。
フルスロットルで挑むまで。
前回の戦闘でも大丈夫だったはずだ。
じゃじゃ馬を制御しろ!
「溢れろ!」
『!?・・・・・こっちも本気だ!』
あふれ出るオーラを体纏い、爆発的なエネルギーを内包した鎧が完成する。
外見はまったく変わっていないが、周りにうごめくオーラが異質だ。
ただ、あいつも負けてはいないようで、自分と同じく纏っているようだ。
お互いの姿が消え、肘同士がぶつかり合う。
本気となると、ぶつかるたびにオーラの衝撃波が辺りに響き渡る。
何度も練習した機動力を生かすことができ、あいつの攻撃にもついていけた。
お互いが攻撃しては防ぎ、攻撃しては避け。
その繰り返し。
互いが燃料切れになるまで戦う。
今の愁が本気で戦える時間は3分しかない。
以前も練習にてあいつと試したが、それ以上は霧散してしまうようだ。
短いようで、2人にとっては長い攻防。
愁は常にあいつとの模擬戦の中で成長してきた。
防衛隊に入り、2日目にして各拠点のトップたちを見てきた。
あいつも当然愁を通して見ていたのだ。
そこであいつが感じたのは焦り。
各防衛拠点の強さ。雰囲気。まったく違った。
ただ、それだけではない。
これから来る敵の異様さに不安を感じていた。
一番に考えるのは、相棒の平穏。
人並みの生活、人並みの恋愛。
幸せに生きるための処世術。
今までの状況に対してまったくできていない。
俺が自我を持ったことは運命だと思った。
防衛隊に入ると決めたからには、戦闘面でもサポートしてやらないといけない。
(『できることを全力で教え、支える。それが俺にできる唯一の手助けだ。』)
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
そしてお互いが全力を出しつくし、愁は燃料切れに。
あいつは、攻撃をくらった体を休めるように倒れた。
「はぁ、はぁ・・・・」
『・・・・・・・・』
「そ、外は大丈夫だろうな・・・?」
『問題ねえ。漏れてねえぞ。』
「そ、そうか・・・」
グラウンドの中央。
お互い体が動かないのか仰向けの状態で寝転がる。
「・・・・なあ。お前、なんか気遣ってたか?」
『・・・・なんでだ?』
「いや、なんとなく。」
『気なんか使わねーよ。』
「そうか。」
『・・・・早く使いこなしてくれよ。』
「・・・・・・・・・そうだな。」
『お前に死なれちゃ困るぜ、こっちは。』
「フッ。だろうな。」
『そういえば明日学校だろ?ここまでにしようぜ』
そういってあいつが立ち上がる。
こちらを振り返り、中腰で手を差し伸べる。
愁は手につかまり、何とか起き上がる。
『ったく。お互いボロボロじゃねえか。大丈夫か?あした。』
「なあ。」
『なんだ?』
「お前の名前、決めたぞ。」
『・・・・・・・・・・・』
愁が俺を正面から見つめる。
そして・・・・。
「”とも”。これからは”とも”と呼ぶ。たのむぜ。」
『・・・・・・・”とも”・・・か。お前らしい。
その名前。ありがたく頂戴いたします。愁殿。』
「んだよそれ。」
『俺なりの敬いをバカにすんじゃねえよ!』
「ハハ!・・・・・・やっべ。明日学校じゃねえか。」
『だから言ったじゃねか。』
「んだと!」
いつもの雰囲気で今日の修業は終わる。
明日は学校。
防衛隊に入ったことによる少しの変化、
そして、愁自身のオーラ抑制による効果も次第に出てくる・・・・・・かも?




