熟考の末・・・
意識の中。
学校のとある教室。
俺は座り、あいつは机に腰かけていた。
「なまえ・・・・・か。」
『お前気づいてなかったのかよ・・・・』
「別にいいじゃねえかお前で。」
『よくねえよ!さみしいわ!!』
不満があるようで、机を両手で叩き意見を主張する。
目を見つめるも、こちらを見るのは真剣な表情と何を言っても折れなさそうな目線だった。
やれやれと思い、とりあえず意見を飲むことにする。
「じゃあ何がいいんだ?」
『お、お前がつけろよ。』
「は?」
『せめてお前がつけてくれっつってんだ!』
「な、何言ってんだてめえ!んな大役できっかよ!」
『きょ、拒否すんなよ!お前の一部でもあるんだぞ!』
「んなこと言われても・・・」
突然の要望で、何も頭から出てこない。
人に名前を付けるなんてしたことがない。
てか、この年齢で人に名前を付ける人はまれだよな・・・。
少し目を閉じて悩む。
何か出てこないかと探るも、何一つ浮かばない。
「やっぱお前じゃダメか?」
『お前まじやられてえのか?』
「んな怒んなって。冗談だって。」
やはり今のままはだめらしい。
何か言葉をもじるか、そのまま日本人のなまえでいくべきなのか・・・。
「相棒、あいぼう、あいぼう、アイ、ボウ、愛?」
『俺のこと男だって忘れてんじゃねえよな?」
「相棒、バディ、オーラ、溢れる、男、メンズ・・・・」
とりあえずひたすらに頭に出てくる言葉を口に出す。
『ほらよ』
そういってあいつは紙と鉛筆を机に置いてきた。
「助かる。」
素直に礼を口にする。
頭の中を整理するために、アイデアを引き出すように紙に書き始める。
相棒、バディ、オーラ、オリジン、あいつ、相棒、男、愛、王、恐怖、
友、フレンド、名前、ネーム、ノーネーム、相方、友達、親友、ライバル、
好敵手、恋、デート、女子、ドキドキ、逆上がり、恋心・・・・
『ちょっと待て、ちょっと待て。』
「は?邪魔すんなよ。」
『お前途中から恋愛漫画に影響されすぎだって。
なんだよドキドキとか恋心とか。
逆上がりってお前、持ってる漫画のタイトルパクってんじゃねえか。』
「・・・・・・お、お前、み、みんなよ!」
自然と出てきた言葉を書き留めていたつもりが、
いつの間にか好きな恋愛漫画を想像していたようだ。
想定外の言葉に少し恥ずかしくなり、強めに言葉を投げた。
だが、あまり強い言葉が出ずに、ただの恥ずかしいやつになってしまった。
『ハハハハハ!!んなもん隠しても全部知ってるっての!』
「・・・・・・・・・・っ!」
恥ずかしさが何故か限界突破し、椅子から立ち上がる。
そしてそのまま教室から抜け出し、階段を駆け上がる。
一番上まで駆け上がり、屋上の扉を開けると、
そのままジャンプしていつも学校で休憩しているポジションへ。
本来の場所ではないが、ここに来ると何故か心が落ち着く。
そのまま仰向けに寝転がり、無心で上を眺める。
ここは意識の世界のはずなのに、やけに現実のような空が広がっている。
以前はこんなに外の景色が見えることなどなかったはずだと思いながら。
『やっぱりここかよ。』
「チッ。早すぎだろくんの。」
『なんでもお見通しだって言ってんだろ?』
そういってあいつは仰向けになっている俺の近くで地面に座る。
「なあ、なんで空があるんだ?」
『・・・・・俺の努力。』
「・・・なんだそれ。」
『俺のできること。お前の可能性。』
「?どうゆうことだ?」
『言葉のまんまだ。』
いまいちピンと来ないのでとりあえず話題を変える。
「やっぱむずいわ。名前考えんの。」
『悲しいこと言うなよ・・・・と言いたいとこだが、そうゆうわけじゃなさそうだしな。』
「・・・・・・・・・・」
『真剣に考えてくれてるだけでうれしいもんよ。』
「・・・・フン」
『愁。俺ら・・・・これからどんな奴とやりあうんだろうな。』
「・・・・わかんねえが、あいつとの縁は、まだありそうだな・・・」
『俺の存在がうごめきだしたのがあのタイミングだからな。』
「生みの親・・・ってか?」
『おい、複雑だな。それ。』
2人して当時のことを思う。
やはり常に頭に引っ付いているのはあの時の出来事だ。
これからも、間違いなく忘れることはないだろう。
それはこいつにとっても一緒だと確信していた。
『なあ、ちょっと体動かさねえか?』
「は?いきなりだな。」
『そのほうが頭すっきりするだろ?』
「・・・・何すんだよ。」
『喧嘩(模擬戦)』
「・・・・・・・・・この雰囲気で?」
『いいじゃねえか。最近できてねえし。』
「しゃーねえな。」
『愁の実力を伸ばす意味でも、このやり方が手っ取り早いだろ?』
そう言って立ち上がり、屋上から広いグラウンドを見つめる。
どうするのかと思うと、そのまま走ってジャンプし、地面に着地する。
『階段禁止な!!!!走って飛び降りろ!!!!!
おまえだったらこれくらいできるだろ!!!!!!』
下から大声でこちらに向かって命令している。
「クソッ・・・」
見るからに15mはありそうな高さ。
一度小型艦から落とされた高さ程だが、あの時とは状況が違う。
自分からジャンプしなくてはいけない。
ただ、あいつに負けてもいられないので、全体にオーラを巡らせる。
「ふぅ・・・・いくぞ・・・・・!」
オーラが自分包み、守ってくれるイメージで動かし、
何かあっても大丈夫と信じながら・・・・・・
いや、信じるしかなかった。
そしてついに歩き出し、助走をはじめ、勢いで飛び越えるつもりで駆ける。
飛び越えた瞬間、時間がゆっくりになっていく感覚があった。
周りの景色が何故か鮮明に見え、音が止まる。
視覚のみが機能し、他の五感は遠ざかったような。
そのような感覚は、落下が始まると同時に消えてなくなった。
急に時が進んだような、景色が目で追えないようになる。
地面を見ると、急激に迫ってくる自分との間隔。
何とかオーラを張り巡らせた状態で着地に専念する。
着地の瞬間。
勢いを逃がすように回転。
何回か回転した後勢いが止まり、片膝をつき、跪いたような体制となる。
『お~』パチパチ
「・・・・・・・・・・」ドキドキ
『やるじゃえか。見せつけてくれるねこの野郎。』
「・・・・・・・・・・・」
『おい、大丈夫か?』
「・・・・・・っぶねえ~!耐えた・・・」
やり切った感に清々しさを覚える。
「・・・・・・よし。やるぞ。」
『・・・・・・・・そう来なくっちゃな』
二人でグラウンド中央に向かって歩く。
一言もしゃべらず横並びで進み、中央へ到着。
お互い、顔を向き合い見つめる。
『相棒。ぶっ倒れんなよ?』
「顔面、覚悟しろよ。」
『それじゃあ、俺がボールを上に投げるから、それが落ちたら始まりな。』
「ああ。」
そして、あいつの手のひらにオーラが集まり、ボールが現れる。
それを上に放り投げる。
5mほどあがったボールには目もくれず、相手の目を見つめる。
そして、ボールが地面に付いて跳ねた。
『少しでも気を抜くと・・・・・・・・死ぬぜ?』
やはりアイデアに詰まったときは、とりあえず体を動かすか一旦忘れる!
これに限りますな~。




