あの男
あまりの光景に呆然と立っていると、
「さあ!こっちです!」
言葉がでず、外を見ながらついていく。
ちょうど部屋の半分くらい歩いた先に、座っている男の元へ向かっていった。
よく見ると俺を助けてくれた本人だった。
「隊長!連れてきました!」
「お!起きたか。かれこれ4日くらい寝てたからな。無事でよかった。」
「ちょっと待て・・・今っていつだ?」
「5月13日だな。時間は14時50分」
「・・・・・・・・・終わった・・・学校・・・。
家帰りにくいなここまでくると・・・」
「大丈夫だ。君の家族にも親にも問題ないと説明している。」
何事もないかのようにそう告げる隊長と呼ばれた男。
なぜそう言えるのか状況が飲み込めない。
「・・・お前ら何もんだ?色々訳わかんねえ・・」
「愁くん・・ちょっとまずいですよその言葉遣い・・」
「は?何言ってn「ナイスタイミング!!」」
突然脳天に拳が降りかかる。
ひどい痛みが頭で響く。
殴られたからなのか、頭がやけにスッキリする。
一瞬で理不尽さに怒りが込み上げてきて、
「いっってえ!!何すんだてめぇ!!」
「悪い、ムカついた」
「隊長、生意気な人嫌いですからね・・・」
「こうゆう奴を育てるとなると楽しみだな!」
「ということは仲間が増えるんですか!?」
「おそらく遅かれ早かれこちらに来ることにはなっていたと思うが・・・喜べ!後輩だ!!」
「やっっったああああ!!直属の後輩ですね!」
「ただこれから色々と教えてやらんといかん」
「おい!!さっきからなんの話をしてやがる!」
「君の処遇について話している。気づいていないと思うが、君は我々と同じ覚醒者だ。
詳細はのちに話すが、シンプルに世間にばれてはいけない隠し事が増えたと思ってくれればいい。
我々の仲間になるかどうかは強制ではないが、今の君の処遇を見るにこちら側にいたほうがいいだろう。」
「展開が早すぎてわかんねえよ!!よくわかんねえお前ら信用できねえし!」
「わかっている。ただこの前の出来事は覚えているだろ?あれに関連しているとだけ今は言っておく。」
隊長と呼ばれた男の面持ちが真剣無表情に切り替わり、そう告げた。
その表情であの出来事は現実だったのだと改めて振り返る。
「それでは少し部屋を変えるか。我々のこと、君のこと、全て教えてやる。
紗羅隊員は部屋の準備をしておいてくれ。他のやつは今回はいいだろう。また改めて紹介する。」
「はい!あの部屋ですね!準備します!」
「それじゃあ、秀くん。行こうか」
「・・・・強制か?」
「どちらかと言うと来たほうがいい。確実に君のためになる。
あと君自身についても少しわかるはずだ。
私と普通に話せているだろ?君の生い立ちについてもある程度知っている。
聞いておいて損はない。」
「・・・・・あぁ。いってやるよ」
そういうと隊長がニヤっと笑顔をこちらに向けると、
また脳天に拳が振り下ろされる。
今度も先ほどと同じ場所に衝撃が響き、痛すぎて言葉が出ずに悶える。
両手で殴られた脳天を覆い隠しながら痛みのある場所を押さえる。
「早くいくぞ」
顔を見上げると、大変ご機嫌そうで悪い顔の隊長の顔がそこに。
「クッソ・・・・テメエ覚えてろよ・・」
言葉を吐き捨て、後ろをついていく。
ただ、自分でもなぜか心の高鳴りを感じていた。
今までこんなに自分に接してくれる人がいなかったからなのか。
それとも、真っ暗な中、光が差し込んできたかのように希望が見えたからなのか。
これからの自分が変わりそうで、答えは決まっているのに背中をついてった。




