勝負!
某遊び場に到着してからというもの、全てのジャンルを遊んだ気がする。
初めはしょーもねえと思いながらも、負け始めてからスイッチが入った。
バスケの3ポイントシュート対決。
サラがうますぎる。
能力使っているんじゃないかと思うくらい成功率が高い。
パンチングマシン。
ヤマトの目が赤くなり、スコア999。
・・・反則じゃね?
ガンシューティング。
防衛戦でサラが銃を扱っているのを見たが、命中制度が異常だ。
実務経験怖えな。
レースゲーム。
ヤマトが1位。
なんでも操縦難易度が高い戦闘用の小型艦の扱いが防衛隊の中でも上位とのこと。
勝てるわけねえ。
カラオケ。
俺は人生初。
恥ずかしくて歌えるわけねえ。
頑なに断り、不参加のため、スコアなし。
その後も、ゲーム含め全てにおいて勝たせてくれない。
というより、目が本気すぎる。
最後にピッチング。球速を図るゲームだ。
ヤマト140km。
サラ80km。
3番手は俺。イライラしており、体のリミッターが外れる。
ボールを持ち、全力投球。
「オラァア!!!」
思いっきり力を込めて、気合の入る言葉を吐きながら投球。
その瞬間、体から少しオーラが溢れ、投球に力がのる。
猛スピードで飛んでいったボールはまさかの壁を貫通。
速度計を見てみると反応がない。
画面が0のままになっている。
「・・・・・・ど、どうゆうことだ?」
「・・・・・・シュウ君、これって・・・・」
本人が一番驚いている。
まさか突発的に”オリジン”が出てくるなんて。
あいつとも練習はしていたが、確かに感情によって突然出てくることがあるといっていた。
ただ、妙に気持ちがいい。
全力で投球したからか、ボールがイライラの全て持って抜けていったようだ。
「流石にシュウの勝ちか?」
「そ、そうですね。あんなのされたら勝てないですよ。」
「お、おう・・・」
「ま、トータルは俺の勝ちだな。今日ねーちゃんに自慢しよ!」
「ヤマトさんずるいです。能力使うの反則ですよ。」
「つ、使ってない使ってない!」
「おい!てめえ!目赤くなってたじゃねえか!」
「な、なんだよ!ちょっとくらいいいじゃねえか!
シュウだって最後使っただろ!?」
「・・・・チッ。ありゃ不可抗力だ!」
「というより能力使えるようになったんですね。」
「あ、ああ。まあ自分からは出せねえが。」
「まあ初めはそんなもんだよな。俺だってどうすりゃいいかわからなかったし。」
「私なんて一回死ぬかと思ったんですから!」
「簡単になんでもこなす天才なんて、人生つまんねえだろーし。
失敗して強くなるのが人間だろ?練習して人を救えるようになれば上等だよ。」
「そうですね!」
「さて、全て終わったところでここから出るか!それでご飯行こう!」
「ヤマトさんの奢りですね!」
「腹いせにめちゃめちゃ食ってやる。」
「え・・・・・・・・・・俺財布大丈夫かな・・・」
スマホから残高を皆に見えないよう確認する。
心なしか、ヤマトの表情が少し落ち込んでるように見えた。
そして、そんな和気藹々と話しながら施設を出る。
時間も夕方の18時と少し遅くなってきたので、そのままレストランを探す。
かなり運動したせいか、かなりお腹が減っていた。
何を食べたいなどの気分もないが、ここは一発言ってやろうと思い口にする。
「ご飯何がいい?」
「う〜ん、どうしましょうか・・・・」
「・・・・・焼肉。」
「・・・・・・・ん?なんか言ったかな?シュウ君」
「肉が食いてえ。」
「あ!いいですね!いきましょ!ヤマトさん!」
「おいおいマジかよ・・・・」
そんなこんなで食べ放題の焼肉へ・・・・・
と思ったが、今日は日曜日。
当然混んでいた。
「すいません!今日満員で・・・・本日の受付終わってしまっているんです・・・」
「あ!そうでしたか!すいません。ありがとうございます。」
1件目アウト。
「今日予約でいっぱいで・・・」
2件目アウト。
「にいちゃん!ごめん!今日うち無理やわ!」
3件目アウト。
4件目・・・・5件目・・・・・
「は、腹へった・・・・・」
「今日忙しいみたいですね、どこも・・・・」
「・・・・かくなるうえは・・・・」
6件目に到着したのは高級焼肉店。
ヤマトとサラの知り合いが働いており、融通を聞いてもらいやすいお店であった。
ただ、財布には優しくないので選択肢から外していたようだが・・・
「あ!山口さんと今宮戎さんじゃないですか!
いらっしゃいませ。ただいまオーナー呼んで参ります。」
「お久しぶりです。すいませんお忙しい時に。」
「いいんです。喜びますから。」
そう言ってスタッフが中へ戻り呼びに行く。
少しした後。
ガタイのいい厳つい男が店の制服を着てやってきた。
「おお!ヤマトじゃねえか!いらっしゃい!サラちゃんも!
こうゆう時のために、1席開けてるぜ!後ろのやつは新人か?」
「はい。後輩です。」
「ハハハ!そうか!いっぱい食えよ!育ち盛りだろ!?」
「フンッ・・・・」
「ええ。お腹いっぱいいただきます。こいつがかなり食べそうですからね。」
「ああ、なんか只者じゃねえ雰囲気纏ってるしな。こりゃ俺が喰われそうだぜ・・・」
「ハハ!何言ってるんですか!
あなたほどの方に勝てる人なんていませんよ。」
「買い被りすぎだって!ついてきてくれ!案内する。」
オーナーと呼ばれた男の後ろをついていく。
エレベーターに乗り、4階まであるボタンを押すのかと思いきや、
操作盤に鍵を挿入すると下へと降りる。
エレベーターが止まり扉が開くと、そこはかなり豪華なVIPルームであった。
超有名建築家が手がけた部屋のように壁、天井、床、テーブルや椅子に関してもこだわりを感じる。
さらになんと奥には丁寧に整えられた盆栽まで飾ってある。
少し薄暗いのも、高級感の演出だろうと感じる。
「何を喋っても大丈夫だ。知ってると思うが注文はそこのタブレットから。
注文の品は壁が開いてそこから出てくるようになっている。
それじゃあ、心ゆくまでごゆっくりどうぞ。」
「ありがとうございます。田宮さん。」
「ありがとうございます!」
田宮と呼ばれた男はエレベーターに乗って戻っていく。
それを見届けた後に、早速注文を開始しようとするが、ふと疑問を先に口にした。
「おい。さっきのあいつ、誰だ?」
「あ〜。そりゃシュウは知らないよな。
あの人はアマテラス防衛隊、元1番隊隊長。
今の3番隊隊長の師匠になる人だよ。」
「!?」
「びっくりしますよね。私たち関係者以外、全く知られていないですから。」
「なんで引退したんだ?」
「もう地球を守れるような体じゃなくなったから引退したみたいだよ。」
「俺たちの入る前の話だから隊長から聞いた話だけどね。」
「いいのか?そんなん俺に言って。」
「・・・・・・秘密ね?」
(・・・・・・いいのかよそれで・・・)
「さあ、話すより食べましょう!私すごいお腹減りました!」
「そうだね!早速頼もうか!なんでも自由に頼んでいいよ!」
「ハッ・・・その言葉、忘れんなよ?」
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
かれこれ2時間。
大量に肉を注文しては焼き、注文しては焼き。
サイドメニューも豊富で冷麺からワカメスープなども注文していた。
しっかり全て食べ切り、ヤマトとシュウはダウン。
サラは8分目と言った様子だ。
「も、もう動けねえ・・・・」
「まじ腹とか押すなよ・・・・押したら殺す・・・」
「二人とも焼肉で張り合ってどうするんですか!
せっかくいいお肉なのに味わって食べないともったいないですよ!」
「さ・・・サラちゃん・・・俺のこと運んでくれない・・・・?」
「だっっっせ・・・・・・一人で・・歩けねえのかよ・・・・」
「そんなこと言って・・・・シュウだって顔紫じゃねえか・・・」
「う、うるs「うぅ」」
「うお!!あぶねえ!てめえ吐くなよ!?」
「落ち着いてください二人とも!ちょっとゆっくりしましょうよ!」
腹12分目。
意地を張りすぎた二人が食べ過ぎで悶えている。
お腹を押されたら瞬時にリバースするほど限界であった。
10分ほどこの状態が続き、少しマシになったところで・・・
「シュウ。防衛隊についてどう思ってる。」
「・・・・・・・まだわかんねえ。」
「・・・・将来の夢とかあるか?」
「いや・・・考えたことねえな。」
「そうか。俺はねーちゃん・・・副隊長のように輝き、勇気のあるヒーローになりたいんだ。」
「副隊長、すごいかっこいいですもんね。」
「ああ。小さい頃からそうだったんだ。いつでも俺の前に立って守ってくれて。
それでいつも輝いてた、俺の絶対的なヒーローだ。
俺もねーちゃんと同じ能力に目覚めて、なりたいヒーローになれるって思って今ここにいる。
人を本当に救ってるのかとか、実際に人に感謝されることなんてあんまりないから実感はないけど、
ずっと背中を追って駆け抜けて、そしていざとなった時に守りたいんだ。大切なものを。」
そう言って語るヤマトの目はいつになく真剣だった。
絶対的な、自分の中での最強の存在。
その人に近づきたいがために、何かあった時のために守れるように。
防衛隊で常に自分と向き合っていたのだ。
「・・・・・・まあ、悪くねえとは思ってる。
今までの自分が、何か変わりそうな気がする。」
「変わってますよ。初めて見た時のシュウ君より今の方が、ずっっと柔らかいですよ。雰囲気。」
「俺は馬鹿だからあんまり言葉にできねえが、どうなりたいか、真剣に悩んでみる。」
「それがいい。」
「なんでも聞いてくだいね。いつでも!」
「・・・・助かる。」
そう言って全員で席を立ち、エレベーターで上に上がる。
会計をしようとレジまで向かい、オーナーが出てくる。
「どうだ!うまかったか?」
「はい。最高すぎて食べすぎましたよ。」
「おいしかったです!」
「君はどうだ?」
「ああ、うまかった。」
「そうか。そりゃよかった・・・・今日はもういいぜ。」
「え、そんな、ちゃんと払いますよ!」
「俺がいいって言ってんだ。もう一度言わせるなよヤマト。」
「ありがとうございます!ご馳走様です!!!」
「田宮さん!ごちそうさまでした!」
「ごちそうさまでした・・・・!」
「いいってことよ。今度はちゃんと自分の金でこいよ、少年。」
「ガキじゃねえ!」
「ハッハッハ!威勢がいいじゃねえか!またこいよ!」
「チッ・・・」
そう言って店から出る。
出ていく3人の背中を見ながら、昔を思い出す。
(いい奴らじゃねえか、ハジメ・・・・)
かつての弟子を思い出しながら厨房へ戻る田宮。
そしてシュウの家近くにある公園へ向かう3人。
そして時は過ぎるのが早く、あっという間に1ヶ月が経とうとしていた。




