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どうする・・・

ドキッと心臓が跳ねた。

それを俺は知っている。

いや、教えられた近い。

今朝の洗面台で歯磨きをしている時、あいつが教えてくれた。


(クソッ、どうする・・・)


内心焦る。

「そうなんです!僕がやったんです!」なんて冗談めいて言っても確実にいい方向に進むはずがない。

はい、そうですかなんて夢のまた夢だろう。

いわゆる犯罪なのでは?とも思う。

自覚がなかったとはいえ、死者が出なかったが軽重症者が出ているらしい。

俺がオリジンを放たなければこんなことは起きなかったはずだ。


(どうする。誤魔化すか?逃げるか?)


正直に話す選択肢をすでに失っていた。

あの日、送ってくれた時、隊長は警察バッジを持っていた。

バレれば捕まり、家族にも迷惑がかかるかもしれない。

焦りに焦る。


(『相棒。隠してもしんどいだけだぜ。話したほうがいいと思うぞ。』)

(黙れ!元はと言えはお前が俺に言わせたんだろうが!)

(『落ち着け!そりゃ悪かったけど、遅かれ早かれ同じことになってたぜ絶対。』)

(クソッ、もういい。)


考えていた間、俯いていた顔をあげる。

そして真剣な顔で隊長へ告げる。


「ああ、俺がやった。」

「・・・・・・・・本当か?」

「嘘はつかねえ。」

「・・・・・そうか。」


そういうと隊長は腰から細長い棒を取り、報告をする。


「今回の件。けりがついた。また報告に上がる。」

『隊長、早かったですね。』

「まあな。・・・また連絡する。」


そう言って通信を終え、通信機を腰に戻す。


「さて、シュウ君には少しついてきてもらおうか。」

「・・・わかった。」


そう言って小型艦が動き出す。

艦内は静かで移動音だけが響いていた。

どこに向かっているかもわからず席に座りながら今後のことについて考える。


(終わったな。どうなっちまうんだろう・・・家にも帰れねえな・・・)


気づけば小型艦はどんどん高度を上げる。

そう。目的地は防衛基地「アマテラス」。

到着までそう時間は掛からなかった。


景色が真っ暗になり、少し時間が経つと、機体が静かに止まる。

目的地についたようだ。


「よし、シュウ君、先出ていてくれ。」

「・・・ああ」


そう言われて先に扉から防衛基地へと入る。

以前ここから出て行く時に入った部屋だった。

搭乗口なのだろう。


「よし、お待たせ。それじゃあついてきてくれ。」


言われるがままについていく。

手錠も何もされていない状態だが体全身が縛られた気分だった。

元々明るい未来なんて想像していなかったが、お先真っ暗とはこのことだな、と思う。


通路を歩き、目的の部屋へ到着したようだ。

自動扉が開き、ちょっとしたオフィスのような空間が広がっていたが、一番目に入ったのは。


「あ!!!きた!!」

「おい!シュウ!大丈夫か!?」


そう言って笑顔で出迎えてくれたサラとヤマト。

体を労るようにこちらへ近寄ってくる。


「ん。・・これ舐めろ。」


そういって棒付きキャンディーを手渡してくるミオ。

3番隊のメンバーである。

飴を受け取ると、


「さあ!早く入れ!」


背中をぐいっと隊長に押され、部屋に入れられる。

そこは3番隊のカジュアルなオフィスルームだった。


「な、なんだ?どうゆうことだ?」

「悪いな。俺がもっとオリジンについて説明するべきだった。

我々の仲間になってもらおうと勧誘に優先的になりすぎて他が疎かだった。

すまない。これは私の責任だ。」


そう言ってシュウに頭を下げる隊長。


「オリジンに目覚めてその人がどんな能力を持っているか、本人にも他の人にもわからないんだ。

だから使いこなせる、目覚めても発現できる人が少ない。

覚醒者を見つける手段はあるにはあるが、能力まではわからないんだ。

どんな危険なものであれ。

だから我々がそういった際にも動けるように、

覚醒者を見つけて見守るんだが親近感が出ていたのかかなり油断していたよ。」

「すいません隊長。私もシュウ君とのお出かけに夢中になってしまい・・・」

「いいんだ。今回の件で人が亡くなるような大ごとにならなくて。

今回の責任は我々がとるので、シュウ君は気に病むことはない。

重症者、軽傷者含めて病院の対応を手厚くしてもらえるよう手は回してある。

少なくとも、この件で人生が滅茶苦茶になる人はいないだろう。」

「・・・・・そうか。」

「そして聞くが、シュウ君は自分の力についてどこまで知っている?」


空いている席に座るように促しながら隊長がきく。

流されるように椅子に座り、リラックスした状態になりながら会話を続ける。


「オーラ・・・のようなものだな。多分。

俺には触れねえし、感じねえけど纏って鎧にもできるらしい。」

「・・・らしい?」

「まあ、なんとなくだ。」


あいつのことは隠すことにした。

どう説明すればいいかわからないのと、明らかに異様なことのような気がしたからだ。


「あとはこのオーラが他のやつをビビらせてるってこと。」

「ほう。まあそれについてはわかる。

ここにいる人はみんなおそらく大丈夫だろうな。

そんな程度でどうこうなるやつはいない。

少し警戒する奴もいるだろうが、近寄りたくないとかそう言ったことはないだろう。」

「・・・なんで言い切れる。」

「簡単な話だ。君よりよっぽど怖い、命の危険が身近にある、いわゆる戦争の最前線だからな。

その程度の威圧、そよ風みたいなもんだ。」

「そうか。」


少し安堵した。

同時に少し救われた。

今までも、これからも他人と話せることなどないと思っていたからだ。

ここなら話し相手もいる。


「おそらくだがそのオーラ、体から常に発している出力を弱めたりもできるんじゃないのか?

完全に消えることは難しくても、抑えることはできそうだが・・・」

「・・・・・・・・・」


同時に希望も見えてくる。

そんなにいいことが目の前にあっていいのだろうか。

甘い汁に飲み込まれそうになる。

だが、一瞬で過去を思い出し、感情に流されそうになるのを抑え込む。

そんなことありえないと。


(今まで阻害してきた奴らにどう思われようと知ったこっちゃねえ。

歯向かってきたら潰すだけだ。)


「あと、トリガーとなる言葉、唱えただろ?

1ヶ月後、シュウ君には3番隊に強制的に入ってもらうことにしたから、それまでは何があっても口にしないでくれよ。」

「ちょっっっ!!!聞いてねえよ!!!」

「今言ったからな!もう君に関してはなりふり構ってやれないことにした!」

「ちょっと!!ダメですよ隊長!規則違反になっちゃいます!!」

「そうですよ!姉ちゃんに怒られても知りませんよ!

ちょっと待てよ、俺が言ったことにすれば姉ちゃんに怒ってもらえるんじゃ・・・」

「ゴスッ「イタッ!!」・・・・次は刺すぞ?」

「ヒィ!ごめんミオさん!そんな睨まないでくれよ〜。」

「シュウ君!安心してください!自分で考えて、自分でちゃんと選んでね!

私たちはもちろん歓迎するし、自分の道を選んでも応援するから!」

「お・・・おう。」


個人的にはもう入ろうかとこの場で思っていたが、サラが言ってくれた言葉で思いとどまる。

真剣に考えてみて、それから決めても良さそうだ。


「それじゃあ伝えたいことも伝えたし送るぞ!」

「わかった。」

「あ!ちょっと待て!!

今回の件、しっっっっっっっっかり反省文を書くように!

受け取れ!名誉ある原稿用紙だ!」


隊長がそういい、いたって普通の原稿用紙3枚を手渡してくる。


「ちょっと待て!ふざけんじゃねえぞ!なんで俺がこんなんかなきゃいけねえんだ!」

「俺たちのこれからの苦労を考えろ!事件を穏便に済ませるんだ!

気を遣わなきゃいない人たちに会いに行かなきゃならん!

なんならもう犯人として捕まえてやってもいいぞ?」

「グッ・・・・・・・わかったよ!かきゃいいんだろ!」

「それでよし!送っていく!」

「「「いってらっしゃい!!」」」


そして部屋から出て小型艦へ乗り込み、家の近くの公園まで到着する。

割と時間も経っていたのか夜の8時だ。


「それじゃあ1ヶ月後、結果とともに反省文を受け取りにくる。

それまでに描き終わらせとけよ!早ければ早いほどいい!

あと、オリジンについてだが・・・・

こればっかりはどうにもできん。

使うなとは言わんが、トリガーとなる言葉は言うなよ。

発現してから日が浅かったからあの程度だった可能性もある。

なるべく人に迷惑のかからないよう、言葉を発せずに自力でなんとかしてみろ。

もし、やるんだったらな?」

「ああ、わかった。」

「重ねて言うが、おおごとは起こすなよ?

俺じゃどうにもならない時も出てくる。

今回は事故みたいなものだったからよかったが、次回はわからん。

ちゃんと教えたからな。

まずは反省文と、今後どうするか。

それをまた聞きにくる。

じゃあまた!他の隊員たちが遊びにくることもあるかもしれんが、そんときは相手してやってくれ!」


そう言って隊長は小型艦へ乗り込み帰っていく。

今後、自分にもこの能力を操作して、自由に、人から恐れられずに生きていけるよう、

早速能力についてあいつに徹底的に聞いてやろうと思いながら家へと歩いていく。

反省文用の原稿用紙を片手に持ちながら・・・。

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