初デート
「シュウくん!待ってましたよ!」
「ちょっ、なんでいんだよ!」
「まあまあそんなことは気にせず!さあさあこっちに!」
咄嗟に周りを見ると皆驚き、周りの会話が止まる。
校内でも近寄れない恐ろしいやつとして知れ渡っている。
そんな自分に気兼ねなく話女子がいたら周りもびっくりするだろう。
しかもテレビでも有名な如月女学院の制服を纏った綺麗な子だったら尚更だ。
そんな俺を駅の方にパタパタ歩きながら手招きする。
(ゴンッ)「あいた!!」
こっちを見て手招きしながら歩いていたので、前にある電柱に気付かずぶつかる。
(やっぱどっか抜けてんなこいつ)
「イテテテテ」
「・・・・・・・・・・」
「・・・気遣い言葉は無しですか?」
「・・・・知るかそんなん」
「まあいいでしょう。今後に期待です!さあ行きましょう!
とりあえず電車に乗って渋谷へ!」
「俺行くって言ってねえぞ」
「大丈夫!強制です!この後も予定ないでしょう?さあ!」
「・・・・・・・・・・」
予定ないなんて言われてしまったら行くしかなくなってしまう。
(『行け、多分そんな変なことはねえよ』)
(・・・・チッ、しゃあねえな)
断る理由もないし、こいつにも言われたら行くしかなくなってしまう。
放課後だけだと思いながら駅へと歩き進める。
駅のホームへと着くと、券売機でカードにお金をチャージする。
「あ、私払いますよ。今日の電車代。」
「いや、いい」
淡々となれた手つきでお金を入れ、チャージをする。
チャージ完了の音がなり、入ったことを確認すると颯爽と改札口へ進み、タッチで駅のホームへと入る。
サラもシュウについていくかのように改札口を通り、ホームへと進む。
「どのホームかわかるんですか?」
「俺だって1度や2度行ったこともある。」
歩き進め、記憶を頼りにどのホームに入っていいか見る。
強気で言ったものの、実はわからない。
神奈川を一人で出る必要性を感じなかったので、数回しか行ったことがなかったのだ。
そうこうしていると声をかけられ。
「やっぱりわからないんですね・・・・ププ」
「ムカッ・・・・・言っとけ!こっちだ!」
そう言って鎌倉方面のホームに出る。
「あの・・・これ鎌倉の方に向かいますよ?」
「こっちであってる。」
言った手前、変なプライドが邪魔をして変えれない。
そうしているうちに電車がきて乗り込む。
サラも乗り込む姿にびっくりしていたがついてくる。
「まあいっか。たまにはこういうのも悪くないですね。」
「なんで俺の学校に来た。」
「・・・まあそうなりますよね。別に隠すつもりもないのですが、私たち心配だったんです。
シュウくんの立場とか色々聞いていたら私含めて居ても立っても居られなくて。
あとこれは隊長からの言葉ですが、『防衛隊に入るかどうかの結果を聞くのは1ヶ月後と言っていたが、それまで会わないとは言ってない』ということです。少ない時間でしたけど、会いたいみたいですよ。」
「・・・・そうか」
それ以上の言葉は出なかった。
なんて返答したらいいか、言われた手前何を話せばいいのかもわからず黙る。
電車の椅子横ではなく、正面に向かい合って座っており、
ふとサラの顔を見ると、外の景色を見ている横顔が綺麗に見えてドキッとする。
恋愛漫画のようなシチュエーション、今まさに遭遇していることを実感し、少しばかり緊張してくる。
かれこれたわいも無い会話の声かけをサラからしてもらっていたが、うまく返せず非常に恥ずかしい思いで早く電車から降りたい気分になった。
『次は鎌倉、鎌倉です。右手のドアが開きます。ご注意ください』
「降りる。」
「ここですね!シュウくんもいい趣味してますね〜。」
電車内でアナウンスが鳴り、鎌倉の駅に到着する。
扉が開き、足早に電車から降りる。
学校終わりそのまま来たので、時間は夕方5時。
太陽が少し傾いてきている時間だ。
心地いい風が体全体を透き通り、日中の終わりを感じさせる。
駅のホームへ向かい、改札口から出ると、
「悪い。俺実は、ここ知らねえんだ。」
「そうなんですか?・・・・・・よし!
それじゃあ任せてください!私についてきて!」
なんと頼もしい。
恋愛漫画では男がリードする話が多く、こんな弱気な奴はモブがいいとこだと思っていたが、
こんな女子もいるんだなと、少し驚く。
今まで家族以外の人間は自分の想像か漫画の中、テレビの中でしか見てこなかったので、
こんなにも新鮮な気分は初めてだ。
そこから小町通で食べ歩き。
鎌倉揚げをサラが奢ってくれたのでそれを食べたり。
近くの神社でお参りをしに行ったり。
少し日が落ちてきたら海沿いを散歩してみたり。
「やっぱりいいとこですね、ここは。」
「・・・・・ああ、そうだな。」
「ちょっとリフレッシュできましたか?」
「まあな」
「・・・・・よかったです。あんまり色々思い詰めないでくださいね。」
「・・・・・・ああ、努力する。」
「あ!連絡先交換しましょうよ!何かあったらいつでも言ってくださいね。」
お互いのスマホを見せ合いながら友達登録を済ませる。
やり方もその際に教えてくれたのでスムーズに登録できた。
「私は何か思い詰めた時とか、どうしようもない時はこうやって外に出て、何も目的もないまま散歩するんです。
今日はこうやって海の景色が見れて、少しでも君の力になれたらと思って。
困っている人を見るとほっとけないんですよね私。
全部を救えなくても、関わった人だけはどうゆう形になるかわかりませんが、サポートできたらって思ってるんです。」
「・・・・・・・・・・・」
「なのでいつでも言ってください。迷惑だったら迷惑でもいいです。
でも、人は支えあってこその人生ですから。」
「・・・・・・まあ、ありがと」
「いいんです。私もそうされて今があるので。
・・・・さて、帰りましょうか!送っていきますよ!」
「家は?」
「私は東京ですがご存知の通り、隊長が乗っていた乗り物私も持ってるのでそれで帰れるんですよ。」
「・・・なんだよ、先言えよ。」
「そういえば知らなかったんでしたっけ」
笑いながら返される。
それで送ってくれればいいのにといえばよかったが、
今更いえなかった。
きた道を戻り、駅へと向かう。
平日もあってか、あまり人は多くない。
それから電車を待ち、電車に乗り込み、
たわいも無い話をしながら家の最寄駅へと到着する。
「あとは帰れるからここでいい。」
「そうですか?それじゃあお気をつけて。」
「またな。」
「はい!辛くなったら呼んでください!」
そうして別れる。
俺は帰路、今日のデートを思い出し、噛み締めながら家へと帰る。
(初デート、思いの外よかった・・・)
(『あの子のおかげってこと、忘れんなよ』)
(わかってる。大事にしないとな)
そう考えながら歩き、家へ到着。
玄関を開けて、今日の1日が終了する。




