帰宅
日本上空、基地より真っ直ぐ高度を落としていた時
「そういえばシュウ君、下ろすのはあの公園でいいのか?」
「・・・・・・・・・」
「寝てるか・・・・どうしたものか・・・一旦あの公園まで行くか。」
知らぬ間に疲れていたのか、隊長が後ろを振り返った頃には目を瞑って寝ていた。
(あんなに非現実的なことが多々起きて死にかけもしたんだ、疲れもするよな。)
こういうところも年相応の少年だなと感じながら、シュウにとっての始まりの場所へと向かう。
場所は、神奈川県相模原市、某公園へと目的地を設定。
操縦席のディスプレイを操作し、オート操縦機能をオンにする。
誰にも見られてはいけないので、ステルス機能もすでにオンの状態だ。
(こういう時のオート操縦機能は助かるな。)
そうこうしている間に、公園の上空へと到着。
オート操縦の機能が停止し、その場で止まる。
止まったことを確認した後、ベルトを外し、足早にシュウの座席へと近寄る。
「シュウ君!ついたぞ!おーい!起きろ!」
肩を揺らし、目を覚ますように促す。
「・・・・・・んぁ?な、なんだ?」
「ほら!ついたぞ!君が襲われた公園!」
「・・・マジか、寝てたか・・」
「よし、起きたな。今から公園に降りられるよう高度を下げるからちょっと待っていてくれ。」
「あ、あぁ、わかった。」
シュウが起きたことを確認すると、足早に操縦席へと戻り、高度を下げるよう調整する。
ちょうどそのまま降りられるような高度になると、操縦席から周りを見渡し、誰もいないか確認する。
「よし、今は誰もいないな。降りるぞ!扉開けるからそこから外に出ろ!」
その言葉の後に、シュウから見て左側のドアが開く。
座席のベルトを外し、立ち上がるとドアに向かう。
ドアの前に立つと、公園の景色が見える。
いつも見てきたその景色に何故か少し懐かしさを感じる。
地面との距離もそこまで高くなかったので、そのまま地面に飛び降りた。
難なく着地でき、少し前に歩いた後、小型艦の方を見る。
何もない空間に小型艦のドアから中がみえる。
SFチックな異様な光景だ。
そこから隊長も降りてくる。
「よっっと。」
隊長が下りると、ドアが閉まり完全に見えなくなってしまった。
「さて、君を家まで送ろうかと思っていたが、時間も時間なので飯でも行くか!」
「・・・・・・・おごりか?」
「もちろん。」
隊長が俺を見てニヤけながらそういう。
家族以外での食事なんていつぶりだろう。
そもそも行った記憶も食べた記憶もない。
学校でもいつも教室から逃げるように教室から出ていき、
屋上のさらに上、学校の中で一番高い場所に座って飯を食べていた。
その場所であれば人も来ないし、俺のことを避けるのを見ないで済むからだ。
「何が食いたい?」
「・・・・・なんでもいい。」
「何が好きだ?」
「・・・・・・・寿司。」
「いいね。俺も戦いの後は少し豪勢に食べるんだ。それじゃ、店に行くか。」
そう言われてついていく。
向かっている場所は近くの回転寿司。
家族とは家で食べることがほとんどで、外食もあまりしないからこそ新鮮だ。
寿司屋の看板には「3度の飯より寿司が好き」と描いている。
とんでもない自己表現だ。
階段を登り、自動ドアから中にはいる。
「ひぃ!」
店員さんがこちらを見るなり、恐怖を口にだす。
初めて見る光景ではない。これが日常で生きてきたので慣れっこだ。
「あ!すいません!二人いけますか?」
「あ!はぃ。・・・空いてますのでこの座席にお願いします。」
「ありがとうございます。さあ!食べるぞ!」
定員さんから座席の紙を渡され、歩いて向かう。
シュウは特に返事をすることもなく、隊長についていく。
(やはりこうなるのか・・・早くなんとかしてやらないとな。)
席に到着すると、お互い向かい合う形で座る。
「さて!なんでも頼んでいいぞ!」
そう言いながら注文用のタブレットをこちらに渡してくる。
「あ、あぁ・・・・・」
こういった他人との食事が初めてだったので、少し緊張する。
大抵のことは緊張しないと思っていたが、人に善意にされることに関して慣れていないのだ。
そう言ってみるみるうちに頼む。
相当お腹が減っていた。
マグロ8皿、サーモン7皿、はまち5皿、、軍艦6皿、合計25皿たのみ、食べ切った。
隊長は気付けばかなり頼んでいたようで35皿ほど食べていた。
「フッ。まだまだ甘いな。」
「チッ」
追加で頼もうとするが、お腹が一杯すぎて指が動かない。
これ以上食べたら吐くかも・・・と思い諦める。
「よし、じゃあいくか」
「・・・・ご馳走様でした。」
「なんだ、ちゃんと言えるじゃねえか。」
「フンッ」
その後、隊長が会計をしてくれるので、先に外に出て階段を下がっておく。
少し待ていると自動ドアから出て、階段を降りてくる。
「うまかったか?」
「ああ、うまかった。」
「そりゃよかった。」
隊長が笑顔で問いかけてくる。
満足したようなすっきりした笑顔だった。
「それじゃ、家まで行こうか。」
「いい。帰り道わかるし。」
「いや、君の家族に少し説明しないといけないからな。」
「おい、あのこと話すのかよ。」
「いや、隠す。シュウ君も話さないでくれよ。おそらく誰も信じないと思うが、これは国家機密だ。私のこと含めて全て。」
「そ、そうか。わかった。」
「素直でよろしい!さあいくか。」
歩いて家まで向かう。
隊長と別れたら現実。
今までの日常に戻るのか。
そう思うとしんどくなる。
思い出したくない。
またあの現実に戻りたくない。
自然とそう思うようになってしまった。
ただ、隊長に伝えられない。
否、言葉にすることができない。
自分が嫌になる。
(クソッ。なんなんだよ。)
暖かかった。
あの場所が暖かかったからこそ、現実が氷点下の極寒に感じる。
進む足取りが重い。
自然と視線がしたを向く。
「シュウ君、今君が何を考えているのかわからないが、したを向くのをやめろ。
人間、いつだって前を向いて歩かないと先には進めない。
どう進むのかは人には決められない。
道を示してやることはできるが、そこのレールにトロッコを乗せるのは君自身だ。
現実をもう一度見て、今自分がどうしたいかを考えるといい。
どのみち君はまだ学生で、まだまだ時間もある。
1ヶ月、じっくり考えてみてくれ。
どんな決断でも、君を支持する。」
「・・・・・・・ありがとう。」
「フッ、私はその言葉、大好きだ。」
そうしているうちに家の前に到着する。
隊長が玄関の前にあるインターホンのボタンに手を伸ばす。
(ピンポーン)
「・・・・はい!」
「すみません夜分に、警視庁の金剛と申します。粟生屋愁君の容態、事情聴取が終わり、帰宅してもいいと医師から報告を受けましたのでこちらに参りました。」
警察手帳をカメラへ向けながら説明する。
「あ!はい!すぐ向かいます!」
(バタバタバタバタ・・・ガチャ!)
「あの!シュウは!」
隊長がそっと体を横にずらし、見えるように移動する。
「あ!シュウ!!!!よかった!!!!よかったよ〜!どこも問題ない!?」
「ああ、なんともないよ母さん。」
「シュウ!!お前大丈夫か!!馬鹿野郎!心配させやがってよ!」
「にい!!大丈夫なの!?」
「ああ、心配ない。」
「金剛さん!ありがとうございます!あの話を聞いた時はどうしようかと・・・」
「いえ、彼が無事に戻って来れてよかったです。こんなに大事にされていれば安心ですね。」
「シュウ。さあ、中へ入ろう。」
「ちょっと待って。」
そう言って隊長に向き直る。
「・・・・・・・・ありがとうございました!!」
深々と頭を下げてお礼を言う。
「なんだ、言えるじゃねえか・・・・またな。」
そう言ってシュウの両肩を持ち、180度回転させる。
その後、背中を押し、隊長はその場を後にする。
(あの家族がいたから、完全には道を間違えなかったんだろうな・・・)
隊長は思いを馳せながら公園に戻り、小型戦艦に乗り、基地へ戻っていった。
なんか終わりそうな雰囲気出してますが、まだまだ終わりません。
序盤の序盤なので安心してください。
まだまだ描いていきますよ!




