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初めてのお茶会


六歳になり。

ようやく、及第点をもらった。

初めての、お茶会。

(……最終試験、か)

気を引き締める。

用意されたのは、柔らかな緑のドレス。

ガーデンパーティ仕様で、丈はミモレ。

動きやすさも考えられている。

(……ありがたい)

会場には、すでに人が集まっている。

傘下の家。

派閥の近い貴族たち。

令息、令嬢。

(……多いな)

そして。

(……視線も)

柔らかい笑顔の裏にある、値踏み。

無理もない。

この家は、古参貴族。

王家にも並ぶ血筋。

それでいて。

現在は、子爵。

(……落差が大きすぎる)

さらに。

父は未婚。

貴族令嬢からの人気も高い。

そこに現れた、実子。

(……庶子、確定だな)

知られていないはずがない。

(……上等)

やることは、変わらない。

ルクスとして。

役割を果たすだけ。

パーティが始まる。

花の香り。

柔らかな音楽。

穏やかな会話。

その中に、紛れる。

探り。

試し。

引っかけ。

(……来るな)

一つ一つ、返す。

曖昧に。

だが、外さず。

失礼にならない範囲で。

(……大丈夫)

崩れない。

傘下の者たちとも、顔を繋ぐ。

名前。

家。

関係性。

覚えたことを、使う。

(……なんとか、なったか)

そして。

パーティは、終わった。

呼び出される。

祖母の前へ。

「よくやりました」

短い言葉。

「これであれば、他の場でも問題ないでしょう」

(……)

「まだ至らぬところもあります。研鑽は続けなさい」

(……合格)

胸の奥で、小さく息を吐く。

(……やっとだ)

だが。

気は緩めない。

(……ここからだな)

祖母が、続ける。

「そろそろ陞爵の式典が開かれます」

(……陞爵?)

「それに伴い、我が家は代替わりを行います」

(……)

「我が息子——其方の父を紹介しましょう」

(……父)

連れられる。

そこにいたのは——

一人の青年。

二十歳前後。

整った顔立ち。

(……似てる)

違和感。

既視感。

何かが、引っかかる。

「ルドルフ・ルクス・ラピスラズリだ」

名前を聞いた瞬間。

思考が、止まる。

「私の邪魔はしないように」

冷たい声音。

それでも。

そんなことは、どうでもよかった。

(……ルドルフ?)

(……ルクス?)

(……ラピスラズリ?)

記憶が、繋がる。

前世。

ゲーム。

王宮シンデレラ。

シークレット・ガーデン。

(……うそでしょ)

隠しキャラ。

イケおじ農務大臣。

ルドルフ。

(……いや待って)

(なんで若いの)

(いやそれより)

(なんで父親???)

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