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城での生活


 新しい部屋は——

広い、という言葉では足りなかった。

部屋が、いくつもある。

寝室。

居間。

書斎。

衣装部屋。

浴室。

そして——

側付きのための部屋。

(……ひとつの家では?)

生活空間だけで、前世の家を軽く超えている。

そして。

そこは、休むための場所ではなかった。

修行場だった。

朝。

目を覚ますと、すでに音がある。

楽士。

部屋の隅で、静かに音楽を奏でている。

(……常に?)

止まない。

いつでも、どこでも。

視界には、美術品。

絵画。

彫刻。

工芸品。

(……落ち着かないな)

慣れるしかない。

そして。

一日が始まる。

授業。

授業。

また授業。

言語。

歴史。

地理。

礼法。

音楽。

舞踊。

(……多い)

最初に行われたのは、テストのようなものだった。

結果は。

(……ほぼ全滅)

合格したのは、算術だけ。

(……まあ、これはな)

数字は裏切らない。

だが、それ以外は。

(無理だろ)

言語が違う。

歴史が違う。

地理が違う。

前提が、すべて崩れている。

(……むしろよく一つ通ったな)

しかも。

ようやく、この国の言葉を覚えたばかりだというのに。

帝国。

聖国。

商業国。

三か国分の言語を、追加で学ぶことになった。

(……詰んでるな)

淡々と、そう判断する。

さらに。

体術。

剣術。

これは——

祖母が、直接教える。

無駄がない動き。

正確な指示。

そして。

一切の手加減がない。

「もう一度」

短い言葉。

逆らう余地はない。

(……容赦ないな)

だが。

(……合理的ではある)

領主として、民を守るため。

臣下として、王を守るため。

戦う力は、必要。

理屈は通っている。

だから。

やるしかない。

貴族は、六歳前後で社交界に出る。

お茶会。

それが、最初の試験。

(……そこまでに、全部)

国内情勢。

家格。

関係性。

理解していなければ——

終わる。

(……無理では?)

思う。

だが。

許されない。

ルクスとして。

古参貴族として。

失敗は、許されない。

(……なら)

やるだけだ。

石板を取る。

文字を書く。

一つ。

また一つ。

積み重ねる。

止まらない音楽の中で。

終わらない修行は、続いていく。

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