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3.縁組3

「大丈夫だろうか……」

「心配なのは分かりますが、一応、帝国側にはユリアの能力は説明済みです」

「……我が国にクレームを入れてくることはないだろうが……」

「エウニア王国は、責任を果たしましたわ」

「ああ」


 ユリアを嫁がせてすぐに、エウニア王国は世代交代をしました。

 要は、お父様を国王の座から追い落とす形で、お兄様は即位なさったのです。

 それは帝国に不出来な王女を嫁がしてしまった国王の責任に対しての退位でもありました。

 

「すまない……カロリーネ」

「お兄様、何を謝られるのです」

「王妹として嫁がせることになってしまった」


 あのお見合いから暫くして、私の縁組が成立し、婚約をしました。

 お相手は、ソル王国のクロヴィス国王。半年後には、私も結婚をするのですが、お兄様は私を〝王女〟として嫁がせたかったようです。


「そんなに気になさらないでください。王妹でも良いではありませんか」

「だがな……」


 お兄様は、難しい顔のまま言葉を濁していました。

 私は気にしていませんのに。

 恐らく、王妹だと、王女よりも下に見られがちになってしまうことを懸念しているのでしょう。


「ソル王国は気にしていません。もちろん、クロヴィス様も」

「……ああ。そうだな」

「妹たちもですよ」

「……ああ」


 私の嫁ぎ先のソル王国は東方の大国。

 エウニア王国より、かなり遠方にありますから、下の妹たちの縁組は恐らく、周辺国の王族となるはずです。

 私とユリアが大国の王妃・皇后になるため、妹たちは王妹として嫁いでも侮られることはないでしょう。まあ、だからこそ、お兄様は私を気にかけてくださるのですが……。


「私は大丈夫ですわ」

「カロリーネ……」

「ですから、私の時もユリア同様に盛大に送ってください」

「ああ! ユリアよりも盛大にする!」


 閃いたとばかりに顔を上げ、宣言するお兄様に少し呆れますが、私を思ってのこと。


「……ほどほどでお願いしますわ」


 一応、釘は刺しておきますが、無駄でしょうね。

 半年後、私はユリア以上の装飾をまとい、ソル王国へ嫁ぎました。

 西の大国に嫁いだユリア。

 東の大国に嫁いだ私。

 図らずもエウニア王国は二つの大国と縁続きになったというわけです。

 その分、周辺国との力関係のバランスを崩してしまいましたが、お兄様が上手くやってくださるでしょう。

「私の妻は、北か南の国から娶ろうか」と、冗談交じりに仰っていたお兄様ですが、数年後、それは本当になりました。

 南の大国の王女がお兄様に一目惚れしたとかで、とんとん拍子に縁組が整ったのです。

「冗談のような話だ」と、手紙に書いていたお兄様に、東方では「言霊」があることを教えてさしあげましたわ。

 妹に続いて兄まで一目惚れされるだなんて……。産まれた時から見ているせいか、私は二人の容貌には無頓着だったのですが、世間では「傾国の美貌」と囁かれているようです。

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