93/186
93
「それでは私の気がおさまらないよ。私は国の頂点に立つ君主なのだからね」
「じゃあ、今夜の祝勝会がご褒美です。皆で飲みましょう!」
オウ!……と右の拳を振り上げた瞬間、怒涛の歓声が沸き起こった。
「勇者様、ばんざーい!」
「国王陛下、ばんざーい!」
「アルファング王国、ばんざーい!」
近衛騎士の皆が歓喜の雄叫びを上げる。
「ヒャッホー!」
ガキンッ
金属の共鳴が轟く。甲冑の拳と拳を付き合わせてお祭りモードだ。
ザッ
お兄様が右手を水平にかざした瞬間、水を打ったかのような静寂が広間を支配した。
「承知した。今宵は無礼講である」
ウオオォォオオー!!
拳を突き上げ歓喜する近衛騎士達。
「国王陛下、万歳!!」
「国王陛下、万歳!!」
拳に敬意を込めて頭上に掲げる。
ザッ
お兄様の右手が敬意を受け取る。
再び水を打ったかのような静謐。
「サプライズにしようと思っていたのだが、飲み過ぎてサプライズどころでなくなるといけない。この場を借りて発表しようと思う」