赤髪のあの子
4月。町のいたるところに桜が咲き誇り、本格的の春の到来。そして学生は新学期を迎えて、新たな学園生活が始まる。
最上級生になった優孝。慣れ親しんだ学園までの道。周りには新たに学園に入学してきた新入生たちが歩いている。昨日入学式だったが彼らはこれから始まる高校生活に、胸を躍らせていることだろう。
一方優孝は、大事な一年になる。勉強もそうだが高校生でいられる最後の年だ。だから、楽しむことを忘れずにやっていきたい。
3年2組。それが優孝の新しい教室。クラス替えはあったがそこまで大きく変わったことはない。
ちなみに今日は午前中のホームルームだけで学校が終わる。
「おはよう。川中君」
「おはよう。神山さん。あれ、今日は早いんだな夏織」
「……たまたまだ」
海沙と同じだし、夏織も一緒。だけど一番変わったといえば。
「みなさんおはようございます」
今年から華怜も一緒ってことだ。
「おはよう。華怜」
「優孝。おはようございます。1日経ちましたけどやっぱりあなたと一緒のクラスになれて私嬉しいですわ」
「……こっちは嬉しくないんだが」
「ん?何か言いましたか鹿野さん?」
「別に」
これからの一年間この2人は、大丈夫だろうか。
「え~。3年生になったばかりの諸君だが、早くもこのクラスに転入生がやってきた」
去年と同じ担任が一時間目始まって早々にぶっ飛んだ話を上げた。一斉に慌しくなるクラス内。
「はい!静かに!」
黒板を二回叩き静かにさせる。そして、教室のドアを開くと一人の女子生徒が入ってきた。
クラス内の男子全員が見惚れた。その女子生徒は赤毛のロングヘアーで、黒板の前に立って正面を向くと誰も一級品と思うほどの容姿だった。
担任が黒板に彼女の名前を書いて。
「では、自己紹介を」
「……はじめまして。この学園に転入してきた。水上 明紀です。よろしくおねがいします」
彼女の声は、とても透き通っていてなんだか優しさが伝わってくるようだ。
「ちなみに水上には転入試験やってもらったんだが、5教科全て満点を取るほどだ」
それを聞いた途端クラス内が再びざわめき周りの視線は、華怜と夏織に向けられる。それも当然だ、学年1位と2位がいるクラスに新たな実力者が現れたのだ。
「フフッ。中間テストが楽しみだな~。さて、それじゃ水上の席は、川中の後ろに座ってくれ」
歩きはじめ優孝の隣まで来るとそこで突然止まった。ジッと優孝の目を見つめて。
「……やっと会えたね。ゆーちゃん」
その言葉を聞いて忘れていた記憶が音速の速さで、蘇った。
「ひょ、ひょっとして……あーちゃん?」




