2人が手をくんだ
――ピンポーン。
インターホンの音が屋敷に鳴り響き、カルネが玄関の扉を開く。
「わぁ~。凄い」
「まぁ。普通の人からしたら驚きますね」
「ふぅ~ん」
優孝の屋敷に訪れたのは、海沙、華怜、夏織の三人。
そして今日は、クリスマスイヴ。
さかのぼること一ヶ月前。
夏織の足骨折が治ったころの事。
「優孝」
ある日の昼休みの時だった。優孝は、海沙と教室で弁当を食べていた時、華怜が訪ねてきた。
「華怜。どうした?」
優孝の元に駆け寄ると。
「今年のクリスマス一緒に過ごしません?去年は私の事情でできませんでしたので」
クリスマスを一緒に過ごさないかと誘いだった。
「いや、俺たち別れたんだし、華怜。お前は忙しいだろう?」
「別れたとしても関係ありません。部活も休みですし、生徒会の仕事は、ほとんど終わっていますし問題ありません」
「だがな」
「ちょっと待った」
この話に夏織が食らいついた。
「何でしょうか。鹿野さん」
いつか見た同じような光景に優孝、海沙は、もちろん周りにいる生徒たちの視線が集まる。
お互い睨み合い重苦しい空気が漂う。何を言い出すのかと思った時だった。
「こうしよう。優孝の屋敷に2人で泊まりに行こう。一泊二日。24日25日。どう?」
その場にいた誰もが予想していない発言。捉え方としたら華怜に共闘、停戦の申し立て。
静まり返る教室に不敵にフンッと鼻で笑う華怜。さすがに断るだろうと誰もが思う。
「……いいでしょう。また、鹿野さんと言い争うのも面倒ですし」
「分かってるじゃん」
お互いガッチリ握手をした。
「そいうことですので優孝。イヴとクリスマスお泊りに参りますので」
「こっちも部活は、休みだから問題ない」
2人の圧倒的、強引、圧力に優孝は、負けてしまい。
「わ、分かった。……ん~。神山さん。良かったらウチに来る?」
「えっ!えっ私?」
華怜と夏織が同時に海沙の方を見て。
「私は構いませんよ」
「まぁ、面白くなりそう」
優孝の顔を見ると、なんだかとてもお願いされているような表情だった。
「じゃあ、私も行きます」




