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本当に人間ってあさはかな生き物だよね  作者: KEI
第26話 巣立ちびな合流

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(四)目の前でやられると違う

◆ できるのに、まずねだる


朝食軍団のスズメは、しばらく耐えた。


だが、子スズメがさらに近づき、開けた口を目の前へ出す。


「飯!」


「……一回だけだからな」


結局、食事を子の口へ入れた。


子スズメは飲み込む。


すぐに、また口を開けた。


「次!」


「ない!」


「さっき持ってた」


「今やっただろ!」


「もっと!」


「自分で取れ!」


朝食軍団のスズメは、逃げるように別の場所へ移った。


子スズメは少し追いかけた。


だが、地面に別の食事を見つけ、そちらをつついた。


もらえないなら自分でも食べられるらしい。


できるのに、まずねだる。


人間の子と似ている。


自分で取れる。


自分で運べる。


自分でできる。


それでも、誰かがしてくれる可能性があれば、先に頼む。


頼んで駄目なら自分でする。


効率的とも言える。


◆ 根負けする


別の子スズメも、近くにいた朝食軍団の一羽へ同じ仕草をした。


羽を震わせる。


口を開ける。


「飯!」


そのスズメは、まだ何もくわえていなかった。


「持ってない」


「飯!」


「見れば分かるだろ」


「飯!」


「ない!」


子スズメは、開けた口をさらに近づけた。


朝食軍団のスズメは、地面から一粒拾った。


自分で食べる。


子スズメが激しく羽を震わせる。


「それ!」


「オレのだ」


「飯!」


「自分で拾え」


「飯!」


「親はどこだ!」


やはり、しばらくすると根負けした。


拾った一粒を、子スズメの口へ入れる。


「これで終わり」


子スズメは食べる。


「もっと!」


「終わりと言っただろ!」


他人の子である。


それでも、あの仕草を目の前でされると、食事を与えてしまうらしい。


親としての反応ではないはずだ。


朝食軍団のスズメは子を育てていない。


だが、小さな子が羽を震わせ、口を開けて食事を求める。


その動きに何かが刺激されるのだろう。


与えるつもりはない。


自分で食べたい。


親ではない。


そう言いながら、最後には渡す。


嫌々である。


親スズメのように優しく与えるわけではない。


口へ押し込むように渡し、すぐに離れる。


それでも、子スズメには食事が入る。


子スズメは、自分の行動が成功したことだけを覚える。


親ではない相手へも、ねだればもらえる。


次から、さらに区別しなくなるかもしれない。


◆ 目の前でやられると違う


庭のあちこちで、同じことが起き始めた。


「飯!」


「オレは親じゃない!」


「飯!」


「自分で食え!」


「飯!」


「一回だけだぞ!」


子スズメは少し混乱している。


親を探しているのか。


食事を持っている者を親だと思っているのか。


それとも、親かどうかなど関係なく、ねだればもらえると理解したのか。


シジミにも分からない。


ただ、朝食軍団のスズメたちが困っていることだけは分かる。


自分たちの食事を確保したい。


だが、子スズメが口を開けて迫ってくる。


断る。


さらに迫られる。


仕方なく与える。


そのあいだに、別のスズメが目の前の食事を取る。


「おい! それはオレが見つけた!」


「子にやってたから、いらないのかと思った」


「知らない子だ!」


「じゃあ、何でやったんだ」


「ずっと口を開けてくるからだ!」


「無視すればいいだろ」


「お前もやられてみろ!」


その直後、別の子スズメが、今言ったスズメの前へ来た。


羽を震わせる。


口を開ける。


「飯!」


そのスズメは少し後ろへ下がった。


「オレは親じゃない」


「飯!」


「自分で取れ」


「飯!」


「……本当にしつこいな」


地面から一粒拾う。


子の口へ入れる。


周囲のスズメが鳴いた。


「やってるじゃないか!」


「仕方ないだろ!」


「無視すればいいって言っただろ!」


「目の前でやられると違う!」


人間も似たようなことを言う。


自分が体験する前は、


「断ればいい」


「気にしなければいい」


「放っておけばいい」


と簡単に言う。


実際に目の前で頼まれる。


困った顔をされる。


何度も言われる。


すると、仕方ないと言って引き受ける。


外から見ていると簡単なことも、自分がその場に立つと難しくなる。



※第26話「巣立ちびな合流」は全六回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/humans-foolish-top

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