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本当に人間ってあさはかな生き物だよね  作者: KEI
第25話 今度はスズメの巣

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(四)原因はうちの人間

◆ 仲間だから安全とは限らない


親スズメは正しい。


同じ種類なら、すべて信用できるわけではない。


ほかの巣へ近づく。


食事を奪う。


子を攻撃する。


そのようなことが絶対にないとは限らない。


子育て中は、念のため警戒する。


仲間だから安全だろうと決めつけるより、そのほうがよい。


大きな欠片を持ったスズメは、追われて別の木へ移った。


「神経質だな!」


親スズメが言い返す。


「子育て中なんだ!」


以前、うちの人間がカラスへ言ったことと似ている。


気性が荒い。


神経質だ。


相手が何かを守っていることを考えず、警戒される側は相手の性格の問題にする。


自分が巣へ近づいた。


自分が大声で騒いだ。


それでも、


「相手が神経質」


で終わらせる。


鳥も人間と、それほど変わらないところがあるらしい。


◆ 仲間が増えてうれしい?


うちの人間は、庭で食事をついばむスズメを眺めていた。


「仲間が増えて、うれしいのかな」


違う。


むしろ減ってほしいと思っている。


巣の親からすれば、朝食のスズメ軍団は仲間ではなく、毎朝家の前へ集まる騒がしい集団である。


同じ種類が近くにいれば安心することもあるだろう。


危険に気づきやすい。


敵が来れば一斉に逃げられる。


だが、巣の場所が知られる。


鳴き声で目立つ。


食事を奪い合う。


子育て中には、邪魔になる面も多い。


人間は、同じ種類の動物が一緒にいれば喜んでいると思う。


猫同士なら友達。


犬同士なら遊び相手。


鳥が集まれば仲間。


だが、人間同士だって、近くにいれば全員仲良くなるわけではない。


同じ家の近くに住む。


同じ場所で食事をする。


同じ時間に外へ出る。


それだけで、相手へ不満を持つこともある。


自分たちはそうなのに、鳥は同じ種類なら仲良しだと思う。


ずいぶん単純である。


うちの人間は、屋根の入口から顔を出す親スズメへ気づいた。


「あ、巣の子も見てる」


見ているのは親である。


そして、楽しそうに眺めているのではない。


早く帰れと思っている。


◆ もうないだろ


庭の食事が減ってくると、スズメ軍団は少しずつ飛び去った。


最後まで残った二羽が、小さな粒を探して地面を跳ねる。


親スズメが屋根から鳴く。


「もうないだろ!」


一羽が答える。


「まだあるかもしれない!」


「ない!」


「探してるんだ!」


「ほかで探せ!」


ようやく最後の二羽も飛んでいった。


庭が静かになる。


親スズメは、しばらく周囲を見た。


それから巣の中へ戻る。


ひなたちの声が聞こえる。


「飯!」


「遅い!」


「腹減った!」


親スズメは、休む間もなく再び外へ飛び出した。


今度は自分の子の食事を探しに行く。


先ほどまで朝食を食べていたスズメ軍団とは違い、庭へは降りなかった。


別の方向へ飛んでいく。


ひなに適した食事を探すのだろう。


うちの人間が、飛んでいく親スズメを見送った。


「みんな朝から元気だねえ」


元気だから騒いでいたのではない。


腹が減っていた。


子を守っていた。


巣の前から追い払おうとしていた。


それぞれの事情が重なった結果である。


◆ 翌朝も同じ


翌朝も、同じことが起きた。


スズメ軍団が来る。


「飯!」


親スズメが怒る。


「騒ぐな!」


スズメ軍団が言い返す。


「人間を起こしてる!」


「別の場所でやれ!」


「ここが一番早い!」


うちの人間が起きる。


食事をまく。


スズメ軍団が降りる。


親スズメが警戒する。


そして、うちの人間だけが笑う。


「今日も平和だなあ」


人間には言葉の意味が分からない。


だから、どれほど激しく言い争っていても、かわいらしい鳥の声にしか聞こえない。


小さな鳥が集まっている。


朝日が当たっている。


庭で食事をしている。


屋根では子育てをしている。


その表面だけを見れば、たしかに平和に見える。


だが、朝食のスズメ軍団は、巣の夫婦を神経質だと思っている。


巣の夫婦は、スズメ軍団を騒がしい邪魔者だと思っている。


互いに同じ種類だからといって、譲る気はない。


それでも翌朝には、また同じ場所へ集まる。


庭に食事が出るからである。


◆ 原因はうちの人間


原因は、うちの人間だった。


うちの人間が毎朝食事をまく。


だからスズメ軍団が来る。


巣の前で騒ぐ。


親スズメが怒る。


その争いを作っている本人が、温かい飲み物を手に眺めながら、


「平和だなあ」


と言っている。


カラスがいなくなった。


ムクドリもいなくなった。


次はスズメが巣を作った。


そして、スズメ同士で争い始めた。


平和にならない原因は、鳥が次々に来ることだけではない。


うちの人間が食事を出し続けていることにもある。


だが、本人は少しも気づいていない。


シジミは猫語でつぶやく。


「本当に人間ってあさはかな生き物だよね」



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/humans-foolish-top

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