第14話 誰よりも知っている
「《ファイアー・ジャベリン》―――」
―――ボッ………!
右手を掲げたマリティアの頭上に―――『炎の槍』が生まれる。
更に―――
「《アクア・ジャベリン》、《サンダー・ジャベリン》、《アイス・ジャベリン》、《ウィンド・ジャベリン》―――」
―――ボッ、ボッ、ボッ、ボッ……!!
『水の槍』が、『雷の槍』が、『氷の槍』が、『風の槍』が―――次々に現れ出す。
そして―――
「《エレメンタル・シャワー》!!」
―――ヒュッ……バァッッッッ!!!!
その全ての槍が同時にステラフィアを―――そしてその背に乗るリィドを狙い、凄まじい速度で放たれる。
全方位から襲い来る、その『魔法の雨』を―――
「―――《ライジングブレード》!」
ステラフィアは―――否、ステラフィアと『一心同体』となったリィドは『大剣』を握り締め―――
「はぁあッッ!!!」
―――ガガガガガガガッッッッ!!!
避ける、逸らす、叩き落す―――!!
「―――っ!」
その光景を見たマリティアは思わず歯を噛みしめる。
いくら『大剣』によって『ステータス』が強化されているとはいえ、それだけであれほど完璧に避け切ることは出来ないだろう。
やはり相手は、こちらの動きを―――!
「―――《フェイタル・ディレクティビティ・バースト》!!」
―――ボァッッッッッッッッ!!!
続けて、先程ステラフィアを飲み込んだ『黒い爆発』が再び放たれる。
それを見たステラフィア、そしてリィドは即座に―――
「《ライトニングスピア》!」
―――バッッッッ!!!
『武器』を『長槍』へと持ち替え、超強化された『敏捷力』で素早くその場を脱した。
だが、その直後―――!
「そこッ―――《ロック・エッジ》!!」
―――ズオッッッ!!!
「――――――!」
ステラフィアとリィドが超スピードで脱したその先の地面から―――『岩の刃』が突き出す。
(完全に捉えた―――!)
そうマリティアが思考したのも束の間。
「ふッ―――!」
―――ダンッッッッ!!!
ステラフィアは後ろ足で地面を蹴り出し―――突き出した『刃』よりも更に高く飛び上がった。
「っ―――!
これも―――読まれていた!?」
マリティアは愕然とした声をあげた。
そんな彼女へ―――
「派手で単純な攻撃一辺倒かと思いきや、相手の移動先を予測して『罠』を設置する狡猾さ。
ホント、相変わらずですね」
「っ!!」
ステラフィアの背に乗る瞳を閉じたリィドから、声がかけられる。
「僕がどれだけ貴女との『遊び』に付き合わされて来たと思っているんですか。
ダンジョン攻略の度に魔法を浴びせられて……
何度も何度も酷い目に逢わされて……
そりゃ、嫌でも貴女の動きを覚えざるを得ませんよ」
そう―――今まで幾度となくリィドと行ってきた『遊び』の数々。
その経験の積み重ねこそが、マリティアの動きが完璧に読まれてしまう原因であった。
「マリティアさん―――」
確信をもって、彼は告げた。
「僕は―――誰よりも、貴女のことを知っている」
「―――――!」
マリティアの目が、見開かれる。
それはこの『戦い』に置いて、間違いなく自身の不利となる要因。
なのに―――
(なのに―――どうして―――?)
マリティアは、自身の胸の内に宿る原因不明の『モヤモヤ』が―――少しだけ晴れたような気がしたのだった。
だが―――
「だから貴女は―――僕達には勝てない!」
「―――っ!!」
次のリィドの言葉に、マリティアは再び歯嚙みをする。
(負けたくない―――)
そして自身の心に―――初めての『感情』が生まれる。
(今のリィドには―――絶対に負けたくない!!)
そんなマリティアを見つめながら―――リィドは静かに呟いた。
「ステラ―――終わらせるよ。
僕達『2人』で」




