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夢見ぬ異端者  作者: ねるこえめ
咎める蜃気楼
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88/129

Peace6-2

-現実世界 寮-

寮から出かけようとするのえるを、ふらんは引き止める。

ふらん「のえる!のえる!」

のえる「⋯。」


のえるはいつも逃げてきた。親が嫌いになった時から、嫌なことがある度逃げてきた。嫌なことが起こらないよう、最初から周りが距離を置きやすく、のえる自身が自分を大事にできる選択をしてきた。ふらんのおかげで低くなった他人との壁は、前よりも高く厚くなる。

今もまた、話しかけようとするふらんに嫌われるために、好きな服を貫くことさえやめていた。


ふらん「避けるくらいなら他人として聞いて!」

のえるは立ち止まる。

ふらん「というか、その服⋯。」

のえる「良い機会だし、あの服からは卒業しようかなって。もうすぐ就活も始まるし。」

ふらん「何で…のえる、自分を大切にしない選択はしないんじゃなかったの!?」

のえる「仕事をするためには、そんな事言ってられないから。島外に行きたいなら尚更。」

ふらん「…ふらん、就職先決まったよ。」

のえるは驚き、ふらんの方を振り返りかけるも、そのまま俯いてしまった。

のえる「おめでとう…本当に…。」

ふらん(こんな形で、伝えたくなかったな…。)

ふらん「でもね、のえるといられなくなってから、全然良いアイデアが浮かんでこなくなっちゃったんだ。」

のえる「…そっか。」

ふらん「…プロになっても好きな服作っていいと思う?」

のえる「そんなの⋯分からない。お金を稼いで生きていくためには、社会に評価されなくちゃいけない。お金を稼ぐことと、好きなことをすることって違うから。」

ふらん「でも自分を幸せにするためには、社会に呑み込まれない方がいいんじゃないの?自分自身が評価しなきゃ、心は豊かにならないから、のえるは自分を大事にしてたんでしょ?」

のえる「⋯話はもう終わり?」

ふらん「あ⋯うん。」

のえる「じゃあ。」

のえるは振り返ることなく、立ち去ってしまった。

ふらん(⋯やっぱりもう元には戻れないんだ。)


レレがのえるの元に現れる。

レレ「のえる!」

のえる「…レレ。」

レレ「このままでいいレ!?ふらんはのえるのおかげで、自分を好きになれたレ!それはのえるも同じじゃないレ!?」

のえる「…。」

レレ「ふらんは、のえると一緒じゃなくなってから、どんどん好きが分からなくなってるレ…。のえるは好きを貫けなくなっても良いレ!?そんなの、ふらんものえるも誰も喜ばないレ!」

のえる「でも…!それ以外、執着しない方法がないんだから、仕方ないじゃん!ふらんと双子だと分かった以上、もう家族愛探しなんて、する必要ないんだし…。」

レレ「のえるは今、ふらんを双子としか見てないレ!ふらんのこと、ちゃんと一人の人間として見てないレ!」

のえる「…!」

のえるが振り向く頃には、レレは飛んでいってしまった。


-夢の中-

いつも通り、のえるとヴェヴェは霧の中へと行ってしまった。ふらんとレレはのえるとヴェヴェを追いかけるも、途中で見失ってしまう。

今日はろわに頼んでいた、各々が好きな花を植える日だった。

ろわのところへ、ふらんは花を取りに行く。

ふらん「のえるが来なくなったのふらんの所為だし、ふらんが植えるよ。」

ろわ「そっか⋯それぞれが選んだ好きな花だから、のえるにも植えてほしかったな。」

レレ「そう言えば、ふらんとのえるって一緒に植える花を決めたレ〜?」

ふらん「ううん。咲いてからのお楽しみにする予定だったよ。」

レレ「合わせてないのならすごいレ〜!」

りおう「それ、言ってしまっていいんですか?」

レレ「何でりおうが知ってるレ?」

リュリュ「りおうはろわの家で園芸手伝ってるリュから、皆が何の花を選んだのか知ってるリュ。」

レレ「なるほどレ〜。でもふらんが植えるからバレちゃうレ…。」

ふらん「え?どういう…」

ろわ「はい、ふらんが頼んでたミモザの苗。それと…」

シュシュ「多分のえるは植えにこないシュから、渡しておくシュ。」

そう言って、シュシュはふらんに勿忘草の苗を渡した。

ふらん「これは…」

レレ「勿忘草レ。ふらんは、何でミモザを選んだレ?」

ふらん「それはあのお屋敷に、春になったらお供えしに行こうねって言ってたから…。」

レレ「きっとのえるも、同じこと考えてたと思うレ。」

ふらん「…!」

どこかで、ふらんはのえるが勿忘草を選んでくれるのではないか、そう思っていた。

逆にのえるなら、ふらんがミモザを選ぶことも見通すだろうと。

ふらん(こんなの、2人で咲いてから喜びたかったじゃん…!)

ふらん「ふらんはやっぱり、もう一度のえると話す。元の関係に戻れなくても、新しい関係になればいいだけだから!」

レレ「レ…!分かったレ!」


-現実世界 大学-

ふらんはのえるのいる棟へと向かう。すると、ヴェヴェがやって来た。

ヴェヴェ「ふらん、そっちにのえるはいないヴェ。」

ふらん「ヴェヴェ!」

ヴェヴェ「ついてくるヴェ。案内するヴェ。」

ふらん「え?」

ヴェヴェ「レレから聞いたヴェ。ふらんは急ぎすぎヴェ。」

ふらん「でも、のえるにちゃんと話そうと…」

ヴェヴェ「知ってるヴェ。時は来たヴェ。」

ヴェヴェが案内したのは、いつもの寮の屋上だった。ふらんとヴェヴェが到着した時には、のえるとレレが話をしていた。

ふらん「のえる!」

のえる「…ふらん。」

のえるはふらんの横を通り過ぎ、寮の中へと戻ろうとする。しかし、扉の前にヴェヴェが立ち塞がる。

のえる「…ヴェヴェまで…」

ヴェヴェ「のえる許すヴェ。ふらんの話を聞いてほしいヴェ。」

ふらん「のえる!最後まで話聞いて。のえる、一緒にお供えに行くために、勿忘草を植えようとしてくれてたんだよね?」

のえる「…その頃は双子だったこと知らなかったし。でもごめん、一緒には行けない。現に今、ふらんに忘れられようとしてるんだから。」

ふらん「それは無理だよ!誰かの記憶に残ってる限り、のえるは独りになんてなれない!」

のえる「じゃあどうしろって!?誰かを嫌いになるのが怖くて、周りから逃げて、親から逃げて、いつも好きなものだけと向き合って…今もまた目の前のふらんからも逃げてる。…こんなのえるを、嫌いになって当然じゃん。」

ふらん「それって自分を大切にしてるってことでしょ?いいじゃん。それに、人を好きと嫌いの両極端になんて分けられないよ。好きなとこもあるし嫌いなところもある。どんなに好きな人でも完璧はないでしょ?」

のえる「じゃあ今、のえるが周りの目を気にしてファッションを変えてるの見て、幻滅した?」

ふらん「…ううん、悲しくなった。それに…ごめんね。」

のえる「え?」

ふらん「ふらん…ふらんはのえると双子なこと、ずっと前から知ってたから。 」

のえる「え…どういうこと…」


まだ父方の祖母が生きていた頃、ふらんは魔法戦士のアニメを見ることも、可愛い服を着ることも禁止されていた。祖母は体裁を気にする人だった。

ふらんはずっと、母と双子であるのえるに会いたかった。のえるの写真はなかったが、母の写真は父の書斎の棚から見つけることができた。

魔法戦士のアニメもテレビでは見られなかったが、父から借りたパソコンでこっそり見ていた。

小説をあまり読まない為、脚本調になっています。

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