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夢見ぬ異端者  作者: ねるこえめ
咎める蜃気楼
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Peace4-1

この屋敷では裕福な家族が暮らしていた。庭に咲き誇るミモザと勿忘草は、ここに住むきょうだい2人が好きな花だった。

「ママとパパ、どこに行くの?」

「パパ達は、戦の手伝いで島を離れないといけないんだ。すぐ帰ってくるから、いい子にして待っていてね。」

「帰ってきたら、また4人でお花見に行きましょうね。」

「うん!行ってらっしゃい!」

2人のきょうだいはメイドと共に、今日も両親の帰りを待っていた。

「ママとパパ、いつ帰ってくるのかな。もしかしたらもう…」

「大丈夫だよ、きっと帰ってくるよ。それに、絵本に書いてあったじゃん。悪いことをした人は地獄に行くって。だから、ママとパパは悪い人なんかに負けないよ。」

「でも、戦ってお互い殺し合うんでしょ?それって、どっちも悪いことをしてるんじゃ…」

「…やっぱり、気づいちゃった?2人が帰ってくるか気になって、色々調べた時、同じこと思った。誰かを殺しても、それが正しいことなら、2人は天国に行けるのかなって。」

そんなある日、島中が火の海に包まれた。裏の森に出かけていたきょうだいは何とか家に帰り、メイド達と逃げようとした。しかしすれ違ったのか、屋敷にはもう誰もいなかった。

家具があちこちに倒れ、逃げ場がなくなる。

逃げ道を探そうとするも、柱が1人の足へ倒れかかり、動けなくなってしまった。

「しっかりして!一緒に逃げるよ!」

「無理だよ。きっとママとパパが悪いことしたから、天罰が下ったんだよ。」

「そんな…違う! 善悪なんて誰かが勝手に決めただけ。天罰なんかじゃない!お願い、柱を持ち上げるから、出てきて…。」

「こんなに重い柱、どかせないよ。でもいいんだ。これで2人のところに行けるから。」

きっと両親は死んでいる。焼け野原となった街を見て、2人はそう思った。

「…じゃあ、一緒に逝くよ。」

「何で!?早く逃げて!」

「もう逃げる場所なんてないよ。それに、置きざりになんてできないから。」

「また…皆で会えるかな…。」

「きっと会えるよ。そしたら、ママとパパにお願いして、また庭中にミモザと勿忘草を植えてもらおう。」

2人は最後まで抱きしめ合って息を引き取った。


次に目を開くと、辺り一面にミモザと勿忘草が咲いていた。どことなく、楽しそうな笑い声が聞こえた気がした。

のえる「ここの家族はとても仲が良かったんだね。悲しいけどちゃんと天寿を全うして、こんな花畑で再開したのかな。…って何で泣いてるの?」

ふらん「あれ…本当だ…。」

のえるはふらんの涙を拭う。

ふらん「のえる、昔のこと話してくれた時、言ってたよね。強制的に天寿を全うさせられてるんじゃないかって。

確かに強制的とも言えるけど、やっぱり最初から全部決まってたんだと思うよ。皆と出会ったのも、ここに来ることも含めて。」

のえる「うん。ずっと何処か自分は死ぬことも生きることもできないんだって思ってた。どちらも怖いけど、もしかしたらそれよりも怖いものがあるのかもって…でもそうだね。ここの2人は不条理な世の中を、精一杯楽しんでた。」

ふらんとのえる、レレとヴェヴェが外へ出ると、6人と6精霊が待っていた。

ふらん「春になったら、またここに来ようよ。」

のえる「え?」

ふらん「それで、ミモザと勿忘草、お供えしよう!」

のえる「…!うん!」


-現実世界 寮-

のえる、ふらん、るか、せれんは寮でゲームをしていた。のえるは時々、あの屋敷のことを思い出すそうだ。

のえる「のえるはお母さんに育ててもらったけど、お母さんも、いなくなったお父さんも大嫌いだから、一時だけでもあんなに幸せに家族といられるなんて、不謹慎だけど少し羨ましい。」

ふらん「ふらんも今はのえるがいるけど、ずっとパパしかいなかったから、ママがいてほしかった時期あったなあ。」

るか「るかは当時、親が離婚する意味が分からなくて、2人とも苦手だったけど、今になって事情は理解できた。それにるかにとっては、いとこのかすむの方が大きな存在。」

せれん「皆の親、身勝手に離婚してるのに情を持ちすぎだよ。せれんは家族なんて信用できないしいらない。1人でいた方が楽。」

るか「せれん…。」

せれん「引き取ってくれたおじさんとおばさんには感謝してるけど、せれんは早く一人暮らししてゲームしてたい。」

のえる「あ、ゲームで思い出したけど、学園祭用の合作ゲームの進捗どう?のえると他の2人は、そろそろ合わせられるんだけど。」

せれん「そんなのもあったね。どこに保存したか覚えてない。」

のえる「ちょっと!合作なんだから期限絶対!曲だってせれんが作るって譲らなかったじゃん!」

せれん「それはできてた気がする。」

のえる「じゃあ次のサークルで持ってきて。」

ふらん「もうそろそろ学園祭だね〜!るかも何かやるの?」

るか「ゼミの発表以外は何もないかな。ふらんは?」

ふらん「ふらんはね、今年みれいととあ、ゆづきと4人で出店することにしたんだ!時間あったら是非遊びに来て!」

るか「楽しそう。犬用のリードとか売ってる?」

ふらん「それは売ってない…。」


-大学-

学園祭に向けてのえるは準備を進めていた。

のえる(せれんが間に合いそうで良かった…。)

さくね「これはこれは、のえるくんじゃないか!」

のえるがふらんの様子を見に行こうと歩いていると、ふらんの友達である、とあのビジネスパートナー、波澄さくねに話しかけられる。

のえる「前に一度会っただけなのに、よく覚えてるね。」

さくね「記憶力には自信があるんだ。のえるくんも、学園祭の準備かい?」

のえる「今はふらんの様子を見に行こうと思ってたとこ。」

さくね「あの時も、2人で我が店に訪れてくれたよね。ここで会ったのも何かの縁だ。良ければ、のえるくんの知恵を貸してくれないかい?」

のえる「それが本題?」

さくね「のえるくんもふらんくんも、服のセンスが飛び抜けていたから、鮮明に覚えていたんだよ。そして今、確信した。そのアレンジされた制服、実に見事だよ。そんなのえるくんの洗練された審美眼で見てほしいものがあるんだ。」

のえる「はあ…。(芸術学部って変わった人が多いな。ふらんに苦労させる訳にもいかないし、さっと見てさっと戻ろ。)」

さくねは芸術学部創造プロデュース学科に所属しており、この時期は毎年芸術学部の他学科が壁に絵を描く為、合同で作業するらしい。しかし、どこか物足りないという意見が多いそうだ。

さくね「学園祭も控えているし、ここは人通りの少ない場所だから、目立つようにしたい生徒が多いのだけれど、なかなか良いアイデアが浮かばなくてね。」

のえる「つまり、映えスポットにしたいってこと?」

さくね「それが理想なのだけれど…なかなか難しいのが現実だろう。」

のえる「現実…。」

現実と夢、その言葉は8人と8精霊がよく口にする言葉だ。

のえる「所々に花を飾るのは?」

さくね「花?」

のえる「ギャザリングとかハンギングバスケットとか、壁を彩る方法なら色々あるし、立体的になるから目に止まりやすいかなって。それじゃ壁画の意味がないのかもしれないけど…」

さくね「ハンギ⋯その魔法の言葉は、一体何なんだい?」

のえる「えっと…これ。」

のえるは携帯で検索し、さくねに画像を見せる。

さくね「素晴らし過ぎるよのえるくうううん!」

さくねはのえるの手を掴み、周りを踊り始めた。

のえる「何やってるの?」

さくね「こんなに素敵な花を飾ることができたら、映えスポットも夢じゃない!これらはどこに注文すればいいのかな!?いや、折角なら自分達で作りたい。まずは花屋さんに寄って…」

のえる「それなら、のえるの知り合いに詳しい人がいるから聞いてみるよ。喜んで教えてくれそうだし。」

さくね「何から何まで、本当にありがとう…!のえるくんが困った時は、僕に相談してくれ!僕にできることなら、必ず助けに行くよ!」

のえる「分かったから手、放してくれない?」

のえるはろわとりおうに協力を仰ぎ、二人は予想通りギャザリングやハンギングバスケットをさくね達に教えてくれた。

それぞれ着々と準備を進め、学園祭が始まる。

小説をあまり読まない為、脚本調になっています。

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