Peace6-3
りおうは人と深い繋がりを求めないため、みれいが奇異な存在であった。
りおう「お父さんって前に言ってた医者の⋯。」
みれい「はい。医者至上主義です。そんな人の言葉で傷ついちゃうんだから、完璧な英才教育ですよね、はは。」
りおう「⋯。」
みれい「りおう、ごめんなさい。やっぱりみれいと一緒に死ぬか、殺してください…。」
りおう「⋯今死んだら、きっと後悔しますよ。」
みれい「死んだら後悔も何もないです。」
りおう「ですが、今お父さんに負けたと少なからず思っているでしょう?」
みれい「⋯。」
りおう「それに向こうはみれいのこと、駒だとしか思っていないんじゃなかったんですか?」
みれい「じゃあみれいが死んだら悲しむくらい、パパの理想でいれば良かったですか!?それでパパみたいに慢心して、他人を駒だと思ってればいいのですか!?
そうしたら、りおうは一緒に死んでくれるんですよね!?」
りおう「話が脱線しています、落ち着いてください。それに、死んだらもう美術も園芸もできなくなります。」
みれい「それは⋯でも、結局パパの言う通りで。持ち込みは上手くいかないし、美術だけじゃ生きていけない。それにお金の為の美術になったら、また全部嫌になる。」
りおう「⋯りおうは傷つきたくないから極力他人と関わろうと思いませんでした。法的伴侶制度も、どうせお互い利用し合う為に使うものだろうと。でも、みれいはりおうの為だけに、みれいのお母様と一緒に来てくれて、家族からりおうを自由にしてくれました。あれも、『一緒に死んでほしいから』が理由なんですか?」
みれい「それは、りおうのためもありますけど、りおうと法的伴侶制度を解消されたくなかったですから⋯。一緒に死にたいのも勿論あるけど、特別だから。」
りおう「りおうもみれいは特別だって思っています。それだけじゃ駄目なんですか?」
みれい「お互い特別って思ってるなら一緒に死んではくれないのです⋯?」
りおうは初め、傷つきたくないなら人と関わらなければいいと思っていた。
だがみれいを見て、まだ誰かを信じていたい、他の人とは違う人が存在するという期待が自分の中にあることを知る。その期待が執着に代わり、心を壊すことも。
りおう「⋯人と関わるということは、相手への迷惑や害を考えなければいけないと思います。自分の思い通りなんてできません。一緒に死んでほしいのは結局、自分の為。自分が大事なだけですよ。」
みれい「そんなの分かってます。でも皆エゴで生きてるでしょう。りおうだって⋯」
りおう「そうですよ。だからりおうも一緒に死ぬことを選びません。」
みれい「じゃあどうしたらいいのですか⋯。」
りゅう「それを考えるのは、みれい自身です。」
みれい「⋯。」
りおう「ただ、りおうはみれいとの法的伴侶制度を解消するつもりはないですから。」
みれい「なんで⋯!?そうやって期待させないでください⋯!!もう、りおうが分からないです。」
みれいは帰ってしまう。
みれい「お邪魔しましたっ!」
りおうの膝の上に乗っていたリュリュが、ため息をついたような気がした。りおうの膝から降りていってしまう。
りおう「リュリュ!」
-花城家-
みれいが家に帰ってきた時には、父親の姿はなかった。
ほまれ「おかえり。」
みれい「ただいま⋯パパは?」
ほまれ「仕事。」
みれい「そっか。」
ほまれ「⋯自分はパパの期待になんて応えるつもりないよ。」
みれい「なんで⋯じゃあ何で医学科に⋯。」
ほまれ「そんなの、ただ病気の研究したかっただけ。病院を継ぐ気ない。これ、まだパパには内緒ね。」
みれい「⋯ごめんなさい。てっきり、ほまれはパパに気に入られたいから頑張って医学科に入ったんだと⋯。」
ほまれ「まあ最初はそうだったけど、医学科に入って折角やりたい事も見つかったのに言いなりなんてムカつくし、ママとみれいを傷つけといて継ぐわけないじゃん。上手く仕返ししてみせるよ。」
みれい「本当に良い性格してるよね。でもみれいはもうほぼ勘当してすっきりしてるから、要領の良いほまれは邪魔しないで。」
ほまれ「勿論。自分のために仕返しするんだよ。」
2人はクスッと笑った。
-夢の中-
リュリュ「何で素直に言わないリュ?」
りおう「⋯何の話?」
リュリュ「とぼけないリュ。そんなんだったらリュリュが言っちゃうリュ。」
りおう「やめて⋯!だって、どう伝えればいいのか。『法的伴侶制度を解消しない』で伝わると思ったんだけど。」
リュリュ「回りくどいリュ。もうリュリュが言っちゃうリュ〜。」
りおう「リュリュ待って!」
ミュミュ「みれい、本当は分かってるミュ。初めから一緒に死んでほしいのが願望じゃないミュ。」
みれい「願望だよ。人に期待して幻滅して、それを繰り返すくらいなら、終わりにしてほしいって。」
ミュミュ「でも、最大の幸せが最後だけでいいミュ?」
みれい「最後が最大の幸せって相当良いことだよ。」
ミュミュ「ミュミュは、みれいに幸せを増やしていってほしいミュ。常に今、幸せであってほしいってずっと思ってるミュ。」
みれい「⋯。」
そんな時、遠くにいたはずのりおうとリュリュが、みれいとミュミュの元へ走ってきた。
リュリュ「みれい〜りおうが〜むぐっ!」
りおう「リュリュ黙ってて。」
みれい「りおう⋯。」
りおう「⋯足るを知るって知ってますか。」
みれい「え?」
りおう「今あるものに目を向け、感謝をする。今のみれいに必要なことです。」
みれい「⋯。」
りおう「聞いた限り、創作もそうじゃないですか。求めるだけではなくて、今此処にあるものは当たり前でないことを知る。今あるものにも自分にも感謝をする。
勿論、自分の悪いところも否定をしないで認める。」
みれい「⋯何が言いたいのですか?」
りおう「…死ぬくらいなら、りおうと一緒に生きてほしいということです。みれいはりおうを自由にしてくれました。だからりおうはみれいが自由という呪縛から、自由になってほしいです。
一緒に考え続けますから。」
みれい「⋯その言葉、日記に書くから現実でももう1回言ってください。」
りおう「え?」
みれい「そうじゃないと忘れちゃうじゃないですか!」
ミュミュ「みれい!良かったミュ!」
リュリュ「りおうも、よく言えたリュ!」
りおう「⋯ほら、ここだとリュリュとミュミュも話せて言うには適してますよね。」
ミュミュ/リュリュ「現実でも言うリュ/ミュ!」
みれい「本当に適してますね〜じゃあ現実でもミュミュとリュリュに見守ってもらいましょうか!」
りおう「もう本調子じゃないですか⋯。」
-現実世界-
現実に戻り、日記を読み返す。ミュミュと微笑みあって、みれいは朝の支度をしようとした。
その時、母が焦って部屋に入ってきた。
父が亡くなった。
元々心臓が弱く、突然死だったそう。
数日間は忙しなく、家族皆泣く暇もない程動き回って葬式の準備や手続き等を執り行った。
葬式前夜、みれいは雪の降っているベランダに出る。ふと、のえるの言っていた通り、死ぬことができないのか試してみたくなった。雪の上に寝転がった時、忘れていた記憶を思い出す。
みれい(いつから、パパは家にいなくなったんだっけ…)
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。




