Peace6-2
-夢の中-
教会が現実に降りた後も、毎週夢の中で教会に集まることは変わらなかった。
ただ一つ変わったことは、教会に咲いていた花がなくなっていたことだ。
新しく各々が植えたい花を植えようとする前に、りおうは秋のハンギングバスケットを作っていないと不機嫌な声で話す。
前に夏のハンギングバスケットは作っていたが、回収しただけでまだ秋の分を作っていなかったことを、皆は思い出した。
秋の花はプリムラやビオラ、キンレンカ、葉はヘデラと花をつけるバコパをハンギングバスケットに寄せ植えするため、作業を始めた。
守護精霊の守護知識
1周しましたフィ!元に戻ってフィフィがハンギングバスケットの重要ポイントを解説しますフィ!
ハンギングバスケットは容器を吊るすフィので、大きな鉢を使うことはできませんフィ。
その上、重くならないように土を少なめにする必要がありますフィ。少ない土でも育って、吊るしても映える背の低い花が最適ですフィ。
ハンギングバスケットは基本的に、吊るす型と壁掛け型がありますフィ。今回は吊るす用の丸い容器を使いますフィ。
まずはポットから苗を取り出して、ある程度土を落としますフィ。
容器の隙間は水苔で埋めますフィ。これで横からの土漏れを防ぎますフィ。
そしたら、端からリーフ系を植えていきますフィ。
球を意識して、上に植える花は土で盛って、位置を高めにしますフィ。
花が植え終わりましたら、隙間を土で埋めてぎゅっと押さえ、形を整えて完成ですフィ!
他にもブーゲンビリア等の種類の違うハンギングバスケットを街へ飾っていると、のえるがみれいに話しかける。
のえる「そう言えば、みれいはりおうと一緒に死にたいの?」
みれい「え!?何で知ってるのですか!?」
のえる「そりゃあよく言ってるし⋯。」
みれい「はい、人生の最期は幸せに終わりたくて⋯!」
のえる「⋯本当にその方法で死ねるのかな⋯。」
みれい「どういうことです?」
のえる「いや⋯のえる、何度か試したことあるんだけど、いつも邪魔されるんだよね。
飛び降りようとしても誰かが止めに来るし、雪が降ってると思って外にいたらすぐ止んで暖かくなるし、海に潜った筈がいつの間にか岸にいたり⋯。」
みれい「そんな⋯じゃありおうにお願いしても駄目ってことですかね⋯?」
のえる「まずりおうはOKしないだろうけど、誰と一緒でも駄目だと思う。それで、ろわに聞いてみたんだ。最初に言ってた『人生を全うしないといけない』って自死してはいけないって意味なのかって。
-回想 夢の中-
ろわ「うん。その認識で間違ってないよ。」
のえる「結構厄介なんだけど、どうにもならないの?」
ろわ「のえるは、今すぐにでも消えたい?」
のえる「今は…予定はないけど…。自然に死ぬのを待たないといけないのは嫌だ。」
ろわ「…それなら、やっぱりまずは贖罪するしかないよ。植物に貢献しない限り、今のままっていうことは確かだから。」
のえる「ここに集まってる皆が、社会で上手くやっていけないことが分かった上での、呪いの一種なんだろうね。」
みれい「呪いって、なくならないのでしょうか…。」
のえる「それはろわにも分からないっぽい。」
唯一の希望を失ったかもしれないと思い、みれいは空虚感に苛まれる。
-神楽家-
りおう「バイト、大分慣れてきましたね。みれいも少しずつ体力がついているみたいですし。」
みれい「はい!りおうも園芸ができて本当に良かったですね!」
りおう「これもみれい、のえるとふらん、ろわ、師匠さんのおかげですね。」
みれい「…!」
みれいはのえるとした会話が書いてあった日記を思い出す。その異変にりおうはいち早く気がついた。
りおう「何かあったんですか?」
みれい「あ…ったといえば、ありました。のえるから教えてもらったんです。自死しようとしてもできないと。もしそうなら、みれいの最期の願いは、叶わないなと思って…。」
りおう「みれいは自死をすることが絶対の願いなんですか?」
みれい「一緒に死ぬには、それくらいしかないのでは?自分達で合わせないと、不可能に近いと思うのですけど。」
りおう「…では質問を変えます。みれいは死ぬこと自体が幸せではないんですか?死ぬことが救いだと感じる人がいることは知っているので、その方達と何が違うのか把握しておきたいんですが。」
みれい「違い…誰かと一緒に死にたいかどうか…ですかね?みれいの中で、それ以上の幸せな最期を見つけられません。」
りおう「そうですか…。」
-花城家-
みれいが家へ帰ると、靴が一足多かった。
部屋へ入ると案の定、みれいの父が珍しく家へ帰ってきていた。
みれい父「ほまれ!勉強捗ってる?もうすぐ卒業論文だったよね。」
ほまれ「うん。」
みれい「⋯何で帰ってきたのです?」
みれい父「ここは私の家なんだから、帰ってきて何が悪い。」
みれい「どうせいつもの気まぐれか、ほまれに何処に連れてくために帰ってきたんじゃないのですか?」
みれい父「当たり前だよ。ほまれは花城家の未来なんだから。そういうお前はちゃんと勉強しているんだよね?」
みれい「別にこの家から出てく予定だし、関係ないでしょう。」
みれい父「美術じゃ到底生きていけない。それかあれ?社会不適合者の支援に縋って生きていくつもり?」
ほまれ「パパ!」
みれい「⋯それこそ子どもがまともに生きていける環境を作れなかった父親の失態じゃないですか!産んだのだってほまれの保険でしかなかったくせに!」
みれいが勢いよく外に出て、家の警報が鳴る。
ほまれ「みれい!」
みれい(知ってました。この家は医者至上主義で、こんなことで傷つくのだって親の教育の賜物なこと。花城家に代々一人っ子はいない。2人ですら少ない。少しでも医者になれる人材を増やすためで、ならなかったら追い出される。昔の方がもっと酷かったらしいけど、今だって医者を褒め称える同調圧力が常に親族内に存在してることくらい、ずっと昔から知ってます。)
みれいはりおうの家に着き、チャイムを鳴らす。
みれい「⋯ごめんなさい急に…。今日家にパパがいて、帰りたくなくて⋯。」
りおう「⋯あがってください。」
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。
守護精霊の守護知識で書いた園芸の知識は、諸説あると思いますので、参考程度に留めていただけたら幸いです。




