Peace4-3
-次の週 夢の中-
花壇の近くで、ゆらが項垂れていた。
またしても、ゆらが育てた花だけ成長していなかった。
ゆら「何でこんなに、上手くいかないんでしょう⋯。」
ろわ「ゆら、自分を責めないで。植物も生きてるんだから、自分の思い通りになんていかないよ。それが育てることの良いところでもあるし。」
みれい「ゆらはいつも花のこと気にかけてるのに⋯それが花にとっては嫌だったのですかね?」
ゆら「え!?そうなんですか!?」
のえる「というかみれいって花の言葉分かるの?」
みれい「分からないです。言葉だけが伝達だと思ってるならまだまだですね〜!」
ヴェヴェ「のえるに偉そうにするなヴェ。」
ヴェヴェがみれいの頭の上に乗る。
ゆら「そ、それでみれい!何で花の気持ちが分かるんですか!?」
みれい「厳密には分からないですよ。想像でしかないのですが…、もしみれいが自然を堪能してる時に、親にずっと見張られてたら嫌だからでしょうか!」
ゆら/のえる「??」
りおう「つまり、過干渉でも無関心でも良くない、適度な距離というものがあるということです。何事も適度でないと健康には育たないんです。」
みれい「そうですそうです!みれいやりおうみたいな過干渉な家だとこうなってしまうのです!」
りおう「自虐にりおうを入れないでください。」
ゆら「でも確かに、この前の福祉の授業で習いました。人間は他の動物よりも未熟な時期が長いと。周りが常に安全だからこそ、遺伝子的に変わってしまった可能性も考えられます。」
のえる「人間に対して植物って沢山種を残して、生きるものだけが残る世界でしょ。それを手助けする程度にしか考えてなかったけど。」
ゆら「なるほど⋯植物って難しいですね…。」
ろわ「…じゃあ、師匠のとこ来る?」
るか「ろわの親戚?だったよね?」
ゆら「るかは知ってるんですか?!」
るか「うん、会ったことはないけど。」
シュシュ「師匠はろわの育て親であり、園芸や農園を営んでる凄い人シュ!きっと勉強になるシュ!」
みれい「みれいも行きたいです!」
ふらん「ふらんも!本場の畑見てみたい!」
のえる「でもそしたら、いつもみたいな可愛い服で行けないよ?」
ふらん「そこは任せてよ〜!汚れてもいい可愛い服で行くから!のえるのも作ろっか?」
のえる「え!?のえるも行くの!?」
みれい「じゃありおうも行きましょう!」
りおう「いやりおうは会ったことありますし…。」
ふらん「皆で行った方が楽しいよ!せれんも誘お!」
ろわ「せれん来るかな…頑張って説得してみるよ…。」
-数日後 園芸サークル-
りおうは、神楽家に行っていいものかと思い悩む。
そんな時、同じ学部のあまが、りおうの異変に気づいた。
あま「やっほーりおう元気ー?」
りおう「一応。あまは最近忙しそうでしたね。」
あま「ずっと実習続きだったからねー。で、またなんかあったの?」
りおう「あまは、本当に人のパーソナルスペースに躊躇なく入ってきますね。」
あま「今更じゃん。りおうが暗い顔してるのが悪いんだよ。」
-りおうとあまの出会い-
あま「ねーねー、ノート見せてー。」
りおう「…何ですかいきなり。」
あま「真面目に授業受けてそうだったの、君だけだったから〜。」
りおう「…遅刻しなければ良いだけの話でしょう。」
あま「あれ?バレてた?」
りおう「あんな堂々と入ってきて、バレない方がおかしいですよ。先生の反応も見る限り、課題も出していなさそうでしたし。」
あま「そうなんだよ!必修じゃないからって幾つか掛け持ちしてたら、ちょっと危なくなってさー。」
りおう「自業自得ですよ。他を当たってください。」
あま「お堅いなー。社会ではコミュニケーションが命だよー。」
りおう「…言われたくないですね。その言葉、お返ししますよ。」
あま「今のでウチもコミュニケーションが苦手って分かるなんて凄いね!ウチ、琴宮あま。ここからは純粋に仲良くしよ!」
りおう「お断りします。人を試すような言動をする人と仲良くしたくありません。」
その後も、あまはことある事に絡みに来ては、自分の話をしていった。
幼少期虐待を受けていた話、施設での話、この島で寮暮らしをしていること、動物とは仲良くできたこと、獣医学科にいること、将来は世界を渡って動物と仲良くなりたいこと。
りおうは園芸をする自分と重なる部分があり、生きること、好きなことに全力なあまに、いつしか親近感を抱いていた。
りおう「暗い顔って…下を向いてるだけで言われても…。」
あま「確かにりおうは血色が良いとは言いにくいけど、会った時も尖ってたし、強ち何かあるのは間違ってないでしょ。」
りおう「そうですね。実は⋯」
りおうは宝華家と神楽家の確執を簡潔に話した。
りおう「それで、今度神楽家に行く用事があって…まだ家を出れてはいませんし、神楽家にどんな顔をして行ったらいいのか…。」
あま「そんなの、親の事情に子どもが巻き込まれていい訳ない、それだけじゃん。もし神楽家が宝華家と同じように、家が険悪だからってりおうを受け入れないならその程度ってことだし、そうじゃないなら遠慮なく家に入る。違う?」
りおう「神楽家が宝華家と違うことは分かっています。それでも、親の血が自分にも通っていることが、怖くなる時がありませんか?」
あま「あるよ。どんなに親との縁を切っても、血だけは切れないから。いつか自分がああなってしまったらって恐れもある。でもその時点で、親とは違うじゃん。親は今の自分に非があると思ってない。でもウチらは思ってる。最初はそうやって、自分を疑い続けることが大事なんじゃないの?」
りおう「…あまも、面白い考えをしますね。」
あま「も?何か悪寒がする…それ以上言わないで。」
りおう「すみません…ですが、ありがとうございます。まだ、そこまで割り切ることはできませんが、神楽家に行ってみようと思います。早速帰りに、手土産を買わないと…」
りおうは段々と聞こえなくなる独り言を呟きながら、如雨露に水を入れに行った。
あま「真面目だなあ。」
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。




