Peace4-1
みれいとみれいの母が宝華家へ向かうため支度をしていると、ほまれが顔を覗かせた。
ほまれ「法的伴侶制度の相手と何かあったの?」
みれい「⋯向こうの家もこの家みたいにちょっと訳ありで⋯まあパパみたいな人がいるんだって。」
ほまれ「それは大変だね。」
みれい「大変って⋯ほまれはパパのお気に入りだから大変も何もないじゃん!」
ほまれ「お気に入りって?」
みれい「そのままの意味だよ⋯。行ってきます。」
ほまれ「行ってらっしゃい⋯。」
-宝華家-
宝華家に到着し、談話室へと案内される。
みれいとりおうは顔を合わせるも話せる状況ではなく、ただ重い空気に誰が話し始めるのかと親の顔色を伺っていた。
みれい母「初めまして、花城みれいの母です。みれいがいつも、りおうさんにお世話になっております。」
みれい「初めまして、花城みれいです。」
りおう母「初めまして、宝華りおうの母です。お呼び立てしたのに申し訳ないのですが、あまり時間がなくて…本題に移ってもよろしいでしょうか。」
みれい母「はい。」
みれい達からりおうの母はどう映っているのか、この先どうなるのかと、りおうは目の前が暗くなる感覚がした。
りおう(どうしよう…このまま母上が好き勝手話したら、絶対みれいのお母様はこんな家とは関わらないようにと決断なさる。ろわの家との問題だってそうだった。本当は今だってろわと関わっちゃいけないし、このまま話が進んだら、みれいとも関われなく…。あれ、でもりおうは最初、法的伴侶制度で誰とも上手くいくつもりはなかった。親が諦めるまで次の人にして…。誰とも上手くいかないことを証明して、お金を貯めて、家から出ていくつもりだったのに…。)
りおうは法的伴侶制度を使う気がなかったが、親が家を継がせたかったため、従わざるを得なかった。もしりおうに何かあっても、即座に社長を継げる人がほしかったらしい。
法的伴侶制度は成立でも不成立でも最後、親の許可が必要だ。最近では、親と顔を合わせないで個人間で決め、親の許可は名ばかりになっていたが、この家はそれを許さない。相手を必ず家に連れて来なければ、成立にも不成立にもさせてくれない。穏便に家と勘当するには、親が納得しない相手を連れていき、誰とも上手くいかないことを証明して、社長にはなれないと家を出ていく予定だった。
りおう(みれいと初めて会って、変わった人だと思って、絶対に親が認める訳もないから、油断して少し関わってみたいと思ってしまった。
折角、上手くいかなくなるはずなのに、もうみれいと関われなくなるのは…嫌。)
りおう母「という訳で、美術を嗜んでいる人とりおうは釣り合いません。」
母の声が部屋中に響き渡った。
-回想 りおうとろわの出会い-
りおうとろわは小学校の美化委員会で一緒になり、花壇で鉢合わせることが多かった。
ろわ「毎日花を見に来てるよね。好きなの?」
りおう「神楽さんもでしょう?まともに美化委員会の仕事をしているのは、りおうと神楽さん以外知りません。」
ろわ「そうだね。家でも花育ててるの?」
りおう「いいえ…。うちの家は寧ろ、花をただの装飾としか思っていません。だから、育てたのは学校が初めてです。」
ろわ「そっか…。」
りおう「神楽さんは家で花を育てているのですか?」
ろわ「ろわでいいよ。うん。師匠…私を育ててくれてる人は、植物が大好きなんだ。だからよく、畑のお世話とか、花を育てるのも手伝ってる。」
りおう「いいですね…。」
ろわ「…でもね、りおうも凄かったんだよ。」
りおう「え?」
ろわ「前はシュシュが嫉妬するほど、りおうは花を育てるのが得意で、何でもできたんだよ。」
りおう「シュシュ…?前って何の話ですか?」
ろわ「やっぱり覚えてないよね…ごめん、忘れて。」
りおう「いや、そんな興味深い話忘れられないんですけど。その時のりおうは、花を楽しく育てていたんですか?」
ろわ「うーん…確かに花は好きだったと思うけど、他に気がかりなことがあったみたい。」
りおう「そんな…花を育てられる恵まれた環境で…。」
ろわ「仕方ないよ。その時は、花を育てるのが義務だったから。」
りおうは、園芸に進めるろわが羨ましかった。
だがろわは花の世話はするものの、花が好きだと本人の口から聞いたことはなかった。
みれい母「それで、仰りたいことはそれだけですか?」
みれいの母の言葉で、りおうは我に帰る。
りおう母「はい?」
みれい母「ですから、仰りたいことはそれだけですか?こちらが話してもよろしいでしょうか?」
りおう母「は、はい。ですが時間がないので手短にお願いします。」
みれい母「長々と話していながら、私には手短にと仰るのですか?」
りおう母「…。」
みれい母「貴方は、まだ気がついていないのですね。自分が犯してしまった過ちを。」
りおう母「…なんですって?」
みれい母「りおうさんを見てください。とても怯えていますよ。」
りおう母「…!りおう、しっかりしなさい!」
みれい母「しっかりするのは貴方の方です。私達は取り返しのつかないことをしてしまった。だからこそ、子どもに傷を残した責任を取らなければいけません。」
りおう母「…どういう事ですか?」
みれい母「この子達は、もう子どもではない。いいえ、子どもであった時から、もっと自由に育てるべきだった。過去は変えられませんが、今からでも、この子達を自由にすることは、できるはずです。法的伴侶制度は、最終的に親の許可が必要ですが、どんな結果になろうと、この子達の決断を尊重するのです。」
りおうの母は反論できなかったのか、暫くの沈黙の後、部屋から出ていった。
-宝華家 玄関外-
みれいの母を先に見送り、りおうはみれいと玄関先で話をしていた。
みれい「いや〜目には目を、親には親をですね〜。…って、りおうはこれで良かったのですか?」
りおう「え?」
みれい「だってりおう、最初から法的伴侶制度で成立するつもりはなかったのでしょう?」
りおう「…流石に、分かってましたよね。」
みれい「まあ…。でも、なかなか親同士で合わせようとしないので、気が変わったのかと思いましたよ。」
りおう「…本当ですね、りおうは母上が進めてくる法的伴侶制度に乗り気ではなかったです。でも、これで誰とも上手くいかないことが証明されれば、社長にならなくていいと思って…。それなのに、みれいと関われなくなるのが嫌で、ずっと母上に伝えるのを、先延ばしにしていました。」
みれい「それは…みれいと仲良くしていたいと思ってくれているってことでいいのですか!?」
りおう「…勝手にそう思っていてください。」
みれい「というより、そんな大事な話、もっと早くしてくださいよ…みれい達は相棒と言っても名だけの相棒じゃないですか!」
りおう「相変わらずツッコミどころが多いですね…りおうにだって話したくないことの一つや二つあるんです。」
みれい「いやいや、りおうは自分の話殆どしないじゃないですか!みれいは大分打ち明け…てないかもですね。」
りおう「どっちですか。」
みれい「まあでも、そうですね。りおうが話したいタイミングで話してください。それまで沢山憶測を立てておくので。そして、一緒に死にましょう!」
りおう「いえ、一緒に死ぬのを肯定した覚えはありません。それに勝手な憶測立てないでください。」
みれいが帰りの支度をしている時に、りおうはみれいの母に呼ばれ、最後にした会話を思い出す。
みれい母「あの子はずっと理解者がほしかったんだと思います。ですから、りおうさんさえ良ければ、これからもみれいをよろしくお願いしますね。」
りおう(どこまでも不思議な人でしかないけれど…夢のこともありますし、もう少し一緒にいてもいいかもしれませんね。)
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。




