Peace3-2
-学校 帰り道-
みれいはデッサンを終え、帰ろうとしていたが、先程したゆづきとの会話を思い出す。
-回想-
ゆづき「宝華さんに用があって来たんじゃないの?」
みれい「りおうに?何でです?」
ゆづき「え、だって好きだって言ってたから…」
みれい(やっぱり好きなのかな⋯でも、それはそれでなんか違うというか⋯感情に振り回される前に、どうにかしないと。)
みれいは学校へと戻り、りおうを探す。
幸いサークルを終えたりおうは、学校のベンチで本を読んでいた。
みれい「りおう!」
りおう「⋯みれい?」
みれいはりおうの元へ駆け足で向かいながら、次に発する言葉を考える。好きという感情に振り回されたくない為、成立しようと不成立になろうと、早く仮期間を終えたかった。
みれい「やっぱり、一緒に死んでください!」
りおう「何がやっぱりなんですか⋯。」
みれい「りおうには最初から言ってますし、小学校のあの人とは同じにならないって勘が言ってるんです!だから一緒に死んでください!」
りおう「無理ですしどこからその自信は湧くんですか!?」
みれい「りおうから!」
りおう(何があったのかは分かりませんが、普段に増して生き急いでいますね⋯。そう言えばみれいの小学校時代の話、日記を貸してもらって読みましたが、前にもどこかで⋯。)
みれい「それか、りおうはゆづきのことが好きとか⋯ですか?」
りおう「いきなり何を言い出すんです?」
みれい「ゆづきと、よく話しているそうなので…。(単にそれなら自分が身を引く理由ができるからですけど。)」
りおう「話しているだけですが。」
みれい「じゃあ、話した内容って覚えてます!?」
りおう「あまり人とした会話を覚えていないのですが⋯園芸のことを教えたり、みれいとゆづきがお互いの絵を褒め合っていたり、どんな授業を受けているか⋯などでしょうか。」
みれい「凄く覚えてるじゃないですか。」
りおう「⋯本当ですね。今まで勉強ばかりで考えたことがなかったですが、何故覚えているんでしょう。」
みれい「それ、多分好きだからですよ。」
りおう「あの、好きかなんて分かりませんし、勝手に決めないでください。もしかして、みれいの気に触るようなこと言いました?」
みれい「そうじゃなくて…みれいはきっとりおうを思い通りにしたいだけで、それじゃありおうは幸せになんてなれませんし、もしりおうに好きな人がいるなら今のうちにって…。(そうじゃないときっとこのまま好きになってしまいますから。あれだけ一緒に死ぬと言ってくれる人を見つけるまでは、人のことを好きにならないよう努力してきたのに。)」
りおう「…それってみれいがゆうり先生のことを好きだから、契約をなくしたい、という認識で合っていますか?」
みれい「…は?」
りおう「だから…」
みれい「すみません、言葉は理解してるのですけど…どこからその思考に至ったのですか?」
りおう「え?みれいがゆうり先生のことをよく話してるからです。」
みれい「(こんなに綺麗なブーメランあるんだ…。)まあ憧れてはいますけど、好きな人ではないというか…(りおうを好きになりかけてるし…。)。」
りおう「では、りおうもゆづきに憧れているのでしょうか。」
みれい「他人の尺度で自分の物事を測らない方がいいと思います。」
りおう「そうですね。取り敢えずりおうもみれいを利用しているところはありますし、契約を解消する予定はないです。みれいは?」
みれい「み、みれいもないですよ?」
-次の日 学校-
りおうは同じ生命学部の琴宮あまから聞いていた話と、日記に書いてあったみれいの話が酷似している事に気づき、学校であまに聞くことにした。
りおう「聞き覚えのある話だなとは思ってましたけど、あまのことだったんですね。」
あま「久しぶりに話したと思ったらそのこと。みれいにはこの学部にいること言わないでね。」
りおう「同じ学校にいますし、何れ会う事になるかもしれないですけど。」
あま「そんなことより、りおうは親を説得できたの?来年から就活始まるけど。」
りおう(話のかわし方が上手いですね。ですがあまの言う通り、このままでは…。)
-りおうの幼少期-
親がブライダル関係の社長をしており、英才教育を施されていた。
それだけでなくりおうは昔から病弱で、何度も入院を繰り返していた。
病院で聞こえたのは、親の苦悩と周りからの無責任な心配の声だった。
「うちの子だけ何故病気が治らない、おかしい」
「今にも消えてしまいそう」
「可哀想に」
その為、親はりおうの病気が治って早々、仕事内容を伝授していた。りおうも、もう親に迷惑はかけまいと言うことを聞いてきた。儚いと言われていた髪も暗く染めた。
ある日、親が結婚式で飾る花を機械的に切っていく姿に、りおうは疑問を抱いた。
りおう「あの、この花使わないんですか?」
母「あーそこはもう黒くて汚いから飾れないの。」
りおう「え⋯でもこんなに綺麗なのに⋯。」
母「床は後で掃除するから、こっちの手伝って。」
りおう「はい⋯。」
結婚式場を彩っている時、遠くに父親の姿が見える。
りおう「母上、父上と話さなくていいのですか?」
母「ここでは母上ではなく、社長と呼びなさい。あんな海外にまで手を広げる人とは、取締役という名だけの関係です。伝統を壊してまで外に好かれようとするなんて…。おかげでりおうの世話は全部私に任せっきりだし…」
父とは、病気が治って以降話していない。
病院に入院していた時は、よく父がお見舞いに来てくれた。後々聞いた話だと、母はもうりおうが長くないと思い、会うことを避けていたそうだ。
退院後、母はなるべく動かなくて済む勉強や花の飾り付けを教えるも、りおうは花を育てたかったため、こっそり小学校で美化委員会に入っていた。後々そのことが親にバレ、委員会を辞めざるを得なくなった。
母「貴方は花を育てる必要なんてない!言われた通りに飾って!」
病弱なりおうを心配しての言葉だと思いたかった。けれど、母は花を装飾物だとしか思っていないこと、りおうと関わるのは次期社長にするためだということを、りおうは知っていた。
植物が好きで植物を育てる研究方面に進みたかったりおうだが、親がブライダル関係の仕事しか許さなかったため、会社の為と言いつつ研究方面にも行けるかもしれない生命学部を専攻した。
-夜 りおうの家-
りおうは次期社長にはなりたくないものの、一人暮らしはしたかったため、幾つかの条件付きで一人暮らしを許された。
りおうの母から電話がかかってくる。定期的に母と電話をして、近況報告をすることも条件の一つだ。今回は最初から、法的伴侶制度の相棒と上手くやれているかを聞かれた。
りおうはみれいの家に迷惑をかけたくなかったため、今までは穏便に話を流していたものの、遂に直接みれいの学部について聞かれた。
みれいが芸術学部だと知り、案の定りおうの母は探りを入れてくる。
りおう母「芸術学部のメディア科ということは、今年卒業ですよね?就職先は決まっているのですか?」
りおう「いえ、花城さんはメディア科と言っても、抽象画を描いたり、絵本を描いて持ち込みに行ったりしています。就職を考えているかはまだ、聞けていません…。」
りおう母「…りおう、今すぐ契約を解消して、新しい相棒を探しなさい。」
りおう「え!?」
りおう母「アートなんて、社会から逃げた人が行き着くところですよ。ただでさえ貴方達は支援を受けているというのに、社会に何も貢献していないなんて。」
りおう「そんな事ありません!少なくともりおうは、沢山の気づきをもらいました。」
りおう母「で、それがお金になるというんですか?この会社の役に立つのですか?」
りおう「それは…。」
りおう母「⋯来月中に花城さんとその親御様を家に連れてきてください。どんな教育方針なのか、その時に聞きます。どの道、私はその方に次期社長の座を任せる気はありません。」
りおう(やっぱり…りおうの相棒を探してる訳じゃなくて、代わりの社長を探してるんだ…。)
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。




