Peace1-4
その後、みれいは課題であった動物のデッサンを描き終えた。
みれい「やっと終わりましたー!」
りおう「お疲れ様です。見ても良いですか?」
みれい「…いい…ですよ。」
りおう「何故自信なさげなんですか?」
みれい「抽象画以外は得意じゃないのです。」
りおう「普通に上手だと思いますが。」
みれい「それですよ!抽象画には上手とか下手とか、そういうことを思わないのに、現実に見本があるものを描くと判断できちゃうじゃないですか!美術には優劣がないと思っていたから、学びたいと思ったのに…。」
りおう「確かに、芸術はブランドになるまで、比較されそうですね。」
みれい「それはそうと、りおうは課題とかないのですか?今日はみれいの課題に付き合ってもらいましたし、行きたいところがあれば行きますよ!」
りおう「課題は基本家で片付けられるものばかりですし、これといって行きたいところは…」
みれい「そ、そうですよね…りおうは勉強できそうですし…。」
りおう「…強いて言うなら、『人の成長と環境について』という課題で、何かしら展示会に行ってレポートを提出しなきゃいけないんです。あまり展示会に行ったことがないのですが、おすすめはありますか?」
みれい「…!それなら今度、絵本歴史展があるのです!そこで好きな作家さんがサイン会をするんですけど、良かったら一緒に行きませんか!?本当はゆづきと行く予定だったんですけど、急用があるみたいで、チケット1枚余ってるんです!」
りおう「絵本歴史展、面白そうですね。作家さんに質問できるのなら、とても良いレポートが書けそうですし、行ってもいいですか?」
みれい「勿論です!次の予定は決まりですね!」
-大学 園芸サークル-
園芸サークルの活動中、りおうはゆづきがデッサンをしているところを見かける。
りおう「もう休憩終わりますけど、どうしますか?」
ゆづき「!?そんな時間!?教えてくれてありがとう!」
りおう(この人って確か、みれいと同じ芸術学部の⋯)
りおう「あの、デッサンって上手と言われても嬉しくないものなんですか?」
ゆづき「え?ううん、そんなことないけど⋯」
りおう「やっぱり普通はそうですよね。(みれいが不思議なだけですね。)」
ゆづき「⋯もしかして、みれい?」
りおう「よく分かりましたね。」
ゆづき「褒められても喜ばなさそうなの、この学部でみれいだけだよ。」
りおう「そんなに有名なんですか?」
ゆづき「有名というか、友達だし。⋯みれいって本当に芸術家って感じで、異色で凄いんだ。ゆづきは努力で培ってきたから、時々羨ましくなる。」
りおう「みれいが才能だけなら、それはそれで大変なんじゃないですか?普通に合わせようとしても常識から外れて、作家としての道を進みたくてもビジネスや運がないと売れない。何かにしがみつきたくて学校にいても、何れは卒業するんですし、あの人なりに孤独感を感じてると思いますよ。」
ゆづき「みれいのこと、よく知ってるんだね。」
りおう「いえ、ただの勘です。少しだけ考え方が似てるので。」
りおう(この2人はお互いないものねだりをしているのでしょうか。何れ仲違いしないか⋯は杞憂ですね。)
-絵本歴史展 サイン会-
りおうとみれいは一通り展示を見てまわり、『迷える天使』のサイン会が始まる時間となった。
みれい「緊張します…。」
りおう「何故ですか?ずっと会いたかったのでしょう?」
みれい「だからですよ!昨日もよく眠れませんでしたし、会った時に聞こうと思ってたことを10選まで厳選してきた筈なのに、全部吹っ飛びそうです…。」
りおう「そんなに質問する暇ないでしょう…。」
「『迷える天使』の作者、キンギョバチ先生の登壇です。」
舞台に作者が現れ、一斉に拍手が送られた。
みれい「…ゆうり…先生!?!?」
りおう「ゆうり先生?」
みれい「あの人、ゆうり先生じゃないですか!?」
りおう「そんな事言われても知りませんよ…。」
みれいは、舞台に立っているミルクティー色の髪を淡く結っている人物に見覚えがあった。
飼い猫であるミュミュとみれいを出会わせてくれたブリーダーであり、時々人生相談にのってくれている天王寺ゆうりという、みれいの尊敬する人だ。
-回想 ミュミュとの出会い-
動物の家族を迎えるため、みれいは父親に連れられ、ブリーダーのところへ赴いた。初めは沢山の犬猫に囲まれ、心を弾ませるも、この犬猫の中から選べなくてはならないという現実に、ひしひしと心が痛む。そんな時、
父「この猫、可愛いね。」
みれい「うん、そうだね。」
(どうしよう、来てみたら皆可愛くて、誰かを選んだら誰かは選ばれなくて…そんなの嫌だ…。)
みれいが選べないと伝えようとすると、もう父は猫を家に迎え入れる手続きをブリーダーさんと進めていた。
父に本当のことを話すか躊躇っていたみれいに、ブリーダーさんがそっと近寄る。
ブリーダー「その子、なんて名前にするかもう決めてるの?」
みれい「えっと…。」
ブリーダー「もしかして、他に気になる子いた?皆可愛いもんね。」
みれい「いや、あの…本当に選んでいいのかなって。みれいは動物の言葉分からないし、この子がうちに来たいのかも、他に来たい子がいるのかも分からない…。だから、間違ってたらどうしよう…。」
ブリーダー「…大丈夫。少なくとも、あの子は貴方に興味あるみたいだよ。」
みれい「そう…なの?さっきからずっと端っこにいるけど…。」
ブリーダー「あの子はここに来た時から、他の子と馴染めてなくて、誰よりも警戒心が強くて繊細な子なんだ。普段だったらこのスペースにすら出てこないのに、端っこにいるなんて珍しいんだよ。」
みれい「そうなんだ…。」
ブリーダー「うん、だからまずはあの子の事を目一杯大事にしてあげて。他の子は私と他の人達がちゃんと面倒見続けるから。」
みれい「⋯!うん!ありがとう。」
それからミュミュの健康診断に訪れる際に、そのブリーダーさんと会うことが多く、いつの間にかミュミュの話だけでなく、みれい自身の近況報告までする仲となっていた。
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。




