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夢見ぬ異端者  作者: ねるこえめ
〜眠れる祝福〜
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33/129

Peace1-2

-大学 教室-

みれいは同じ芸術学部メディア科で仲良くなった有栖川ゆづきと共に、授業の課題制作をしていた。

みれい「やっと履修登録がなんとかなりました⋯。」

ゆづき「こんな時期に?何かあったの?」

みれい「聞いてくださいよ!ちゃんと履修登録したのに、必修科目が選択されてないからって再提出になったのですよ!何で必修なのに最初から時間割に登録されていないのでしょう!」

ゆづき「あれややこしかったよね⋯。ゆづきも必修の時間割をタップしてなかったら、選択されてないのに気づかないところだったよ⋯。」

みれい「それでも気づいたゆづきは凄いですよ⋯。日々、嫌なことがあったり良いことがあったり、忙しないですね。」

ゆづき「何か良いことあったってこと?」

みれい「⋯!よく分かりましたね!」

ゆづき「履修登録のこと以外は、朝から機嫌良さそうだったから!」


ゆづきは社会不適合者ではないため、みれいは社会に馴染めないこと、法的伴侶制度等の支援を活用していることは言っていない。この島は社会不適合者の隔離場でもあるが、昔と違い社会に馴染める人も共存している為、公言しない人が殆どだ。


ゆづき「そうなんだ!そう言えばゆづきも、先週サークルで良い事があったんだ。」

みれい「園芸サークルでしたよね?何があったんですか?」

ゆづき「サークルが終わったあとデッサンしてたんだけど、紙が花の方に飛んでいっちゃって。拾ってくれた人が『花に当たったら危ないから気をつけてください』って。いつも人一倍花を大切にしてるけど、それが凄く伝わってきたんだ。」

みれい「へ〜そこまで花が好きなら農学科の人です?」

ゆづき「ううん。生命学部の⋯環境学科だった気がする。」

みれい「そうなんですか(りおうと一緒だ)。名前って聞いてもいいです?」

ゆづき「えっと⋯宝華さんって言うんだけど⋯」

みれい「あ、合ってました。」

ゆづき「え?」

みれい「え?あ、いやえっと⋯実は⋯みれいその人好きなんです。(下手な嘘をついてしまった。法的伴侶制度で会ったとは言え、半年は仮期間なのに。)」

ゆづき「そうだったの!?どこで知り合ったの!?」

みれい「ま、まあ同じ学校内ですし偶然⋯?」

ゆづき「そっか⋯。」

みれい(あ、もしかしなくてもゆづき、りおうのこと気になってましたよね⋯。こういうのってよく先に言った者勝ちって言いますし、申し訳ないことしました⋯。)

ゆづき「その、応援してるから!」

みれい「は、はい。ありがとう…ございます。」


-夢の中-

花を植える前に、せれんの創作を手伝っていたみれいは皆に絵本を見せた。

みれい「見てください皆さん!この大好きな童話を描いた作家さん、キンギョバチ先生のサイン会に当たったのです!」

ふらん「すごい!おめでとう!」

みれい「ありがとうございます!」

ララ「サイン会って何ラ?」

のえる「著名な人に会えてサインをもらえるイベント。少し話したりもできるんだって。」

ララ「すごいラ!」

レレ「それは何の本レ?」

ミュミュ「みれいが昔から大好きな『迷える天使』っていう童話ミュ。」

ろわ「迷える天使…どんな話なの?」

みれい「よくぞ聞いてくれました!ってろわ、この童話知らないのですか!?」

ろわ「え…うん。」

せれん「せれんも。」

りおう「2人はこの島出身ではないですからね。ここでは有名な童話なんです。」

みれい「ではそんな2人の為に読み聞かせしましょう!誰が何役やります?」

るか「え?劇でもするの?」

ゆら「そんなに気合い入れるんですか!?」

ヴェヴェ「サクッと説明するヴェ。」

みれい「えぇー分かりました。」


あるところに、孤独なノイバラがいました。ノイバラは、目の端で仲良くしている花達が羨ましく、仲間にいれてほしいと強く願いました。その願いを汲み取った神様は、花を司る天使が集う天国を創りました。しかし、優秀で強大な力を持つノイバラは、天国でも皆から距離を置かれていました。

ノイバラは孤独に耐えきれず、自然界には存在しない幻の花、青バラを生み出すことに成功しました。自然の摂理に反したノイバラに神様は怒り、ノイバラは追放されることとなりました。

追放される前、ノイバラは自身が司る花であるノイバラと、青バラを誰にも見つからない場所へ隠し、強く願ったのです。

いつかノイバラと青バラを司る天使が現れた時、今度こそ皆と仲良くなれるようにと。


シュシュ「⋯報われない話シュ。人間は子どもの頃からこんな話を読むシュ?」

ゆら「この島は社会に適合できない人が隔離された場所なので、人を排除しないっていう教訓なんだと思います。」

みれい「ハッピーエンドにさせないどころか、存在しない次に託すところが、現実的で最高ですよね〜!」

のえる「希望がないし、凄く人間味がある天使だよね。人間が描いてるから当たり前なんだけど。」

せれん「何で孤独が怖いくらいで才能の無駄遣いしたんだろ。それなら独裁国家にでもすれば良かったのに。」

リュリュ「そしたら余計、孤独になるだけリュ。」

ヴェヴェ「孤独の恐怖に支配されただけヴェ。最初から皆孤独だと割り切るヴェ。」

ふらん「でもヴェヴェ、のえるとレレにくっついてるじゃん。」

ヴェヴェ「ヴェ…。」

みれい「良いですよ〜どんどん意見を述べてください!そうやって沢山考察できるのも、童話の醍醐味ですから!」

ミュミュ「みれいはただこの童話を布教したいだけミュ。」

みれい「当たり前です。一番好きな作品ですから。ろわもずっと絵本を眺めてますし、紹介した甲斐があります!」

皆の視線がろわに集まる。みれいの言う通り、ろわは本を手に取り、不思議そうに何度も読み返していた。

るか「ろわが童話に興味を持つの意外かも。何か気になるところでもあったの?」

ろわ「いや⋯なんでもない。今日はケイトウを植えるから、早く準備しよう。」


小説をあまり読まない為、脚本調になっています。

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