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夢見ぬ異端者  作者: ねるこえめ
〜眠れる祝福〜
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Peace1-1

Peace1

-とある夜-

みれいはどこか懐かしい夢を見る。周りは白くて、何も見えない。ただ、誰かに手を引っ張られ、笑いあっている、楽しそうだけど切ない夢。


この国では社会で上手くやっていけないと判断された場合、色々な支援が施される。法的伴侶制度もその一つで、双方了承の上、生涯の相棒を紹介される。

お互いの性格や価値観等のマッチング率で判断され、相手を選ぶことはできない。だが、相性が合わない場合、契約を結ばないことも可能だ。

法的伴侶制度を設ける理由は表面上、お互いに支え合えるということを目的としている。しかし大半の人は、支援者が自他共に害を加えないように、相棒同士で監視させるために作られたシステムだろうとも言われている。

みれいとりおうはこの制度によって、相性が良いとAIを通して判断され、半年間のお試し契約をするかどうか決めるため、カフェで会うことになった。


みれい(法的伴侶制度、ずっとこれに縋るしかないって思ってたけど、拒絶されたらどうしよう。)

-回想-

みれい「約束遅くなったけど、一緒に死にましょう。」

??「迷惑もいいところだよ。」

(あの人とは違う訳だし。でも、あの言葉に縛られすぎてるのかな。)


2人は席に着き、みれいから話を切り出す。

みれい「初めまして。花城みれいです。」

りおう「⋯初めまして。宝華りおうです。」

みれい「えっと⋯緊張しますね⋯。」

りおう「そうですね。」

2人「…。」

みれい(駄目です、会話が持ちません。猫被ったって時間の無駄ですし、聞いてもいいのでしょうか。)

みれい「あの、りおうさんは同い年ですよね。」

りおう「はい、だから呼び捨てでいいですよ。りおうもみれいって呼んでいいですか?」

みれい「はい!⋯じゃあ本題。りおうは恋愛ってなんだと思いますか?」

りおう「急ですね⋯恋は分かりません。愛は⋯動物に向けてる感情…でしょうか。」

(一緒です!!この人なら⋯)

みれい「⋯あの、りおう。みれいが死ぬ時、一緒に死んでくれますか?」

りおう「⋯は?いきなり何言ってるんですか?」

みれい「えっと、好きって相手のためなら、死ぬこともできるってことだと思ってるんですけど…。」

りおう「何処から掘り下げていけばいいのか分からないんですけど⋯同時に死ぬなんてほぼ不可能ですし、相手の為に自分を犠牲にするというのは違う気がします。」

みれい「そこは、同時というか同時期というか⋯。でも好きなら、一緒に死にたいって思うのかなって。」

りおう「ですが、りおうのこと好きではないですよね?」

みれい「好きになる予定です。」

りおう「…自らは死にたくないので無理です。」

みれい「なるほど…。じゃあみれいを殺してくれますか?」

りおう「何故そんなに死に拘るんです?」

みれい「人生の最後なんですから一番拘りますよ。不慮の事故とかじゃない限りは、できるだけ幸せに死にたいのです。」

りおう「りおうは現状に満足してるので、巻き込まないでください。」

みれい「はい、ごめんなさい。ただ、りおうも同じかなって思ったのです、境遇とか。」

りおう「え?」

みれい「例えば…りおうの親も厳しかったのかなって。」

りおう「⋯なんで分かるんですか?」

みれい「なんとなくです。価値観が合う人とマッチングするはずですし、生命学部って書いてありましたから、もしかして親の為に勉強してきた人かなって。」

りおう「⋯みれいもそうだったんですか?」

みれい「はい。でもみれいは途中から反発しました。だからりおうは凄いと思います。」

りおう「⋯逃げてるだけです。けれど、一人暮らしもさせてもらってますし、十分恵まれてますから。」

みれい「そうですか。」

みれい(どうしよう、分かっていたとはいえ、このままだと相棒になれません⋯。だからって生涯の相棒になるからには、嘘はつきたくないですし、どうしたら⋯。)

りおう「⋯会って間もない人に、いつもあの質問をするんですか?」

みれい「いいえ、間もないうちに質問したのはりおうが初めてです。この質問で引くなら、仲良くなる前の方がいいかなって。仲良くなった後だと、今まで培ってきたものが崩れ落ちるような質問ですから、お互い猫被ってるうちが良いというか。」

りおう「すぐに言わなかったら受け入れてもらえたかも、とは思わないんですか?」

みれい「その考えはなかったです。」

しばらくりおうは考え込み、

りおう「⋯一緒に死ぬことは恐らくできませんが、相棒になることならできます。」

みれい「⋯え?本当ですか!?」

りおう「りおうの家族は、りおうに相棒を見つけて、相棒と共に家業を継いでほしいと思っています。ですからみれいの親も一緒にうちへ来て、家族ぐるみで仲良くできるなら、相棒になります。」

りおう(法的伴侶制度とはいえ、親も巻き込むことは少ないですし、これなら流石に諦めるでしょう。)

みれい「分かりました!これからよろしくお願いします!」

りおう「は?」

みれい「え?」

りおう「えっと、ちゃんと聞いてました?」

みれい「勿論! 相棒になって、うちの親も一緒にりおうの家にお邪魔すればいいのですよね?」

りおう「お、親に相談しなくていいんですか?第一、みれいのさっきの発言、親は知らないでしょう!?」

みれい「みれいの親は全部知ってますよ?何に厳しいかは別だと思いますが、みれいの親はすごく過保護なので、今日一日何があったか報告するのです。」

りおう「じゃあ、今日の話も⋯。」

みれい「勿論、報告します!」

りおうはため息をつく。

りおう(こうなったら最終手段⋯。)

りおう「では、交渉成立ということで、ここに血でサインしてください。」

みれい「血で?でも、法的伴侶制度の契約は各自書類を国に提出するのでは?」

りおう「はい。ですが、これはうちで預かるものです。宝華家を継ぐ者は代々、血判状を残しているんです(嘘)。」

そう言って、りおうは指を切るフリをし、用意していた赤い絵の具を指に塗り、契約書に押し当てた。

りおう「仮期間であっても、ここに血で捺印する必要があります。みれいも。」

みれい「なるほど!分かりました!」

りおう「⋯は?」

みれい「?それで、切るものください。」

りおう「ち、ちょっと待ってください。どう考えてもおかしいでしょ!」

みれい「何がです?」

りおう「そんなの、この時代に血判とか⋯普通は引くところですよ!?」

みれい「いやー人の家の仕来りに文句を言える程の関係性ではないですし⋯。」

りおう「そういう問題では⋯すみません、今言ったことは全部忘れてください。」

みれい「それってどこまでです?相棒のお試し期間の成立は?」

りおう「それも全て取り消しで⋯」

みれいは携帯を翳した。

携帯『りおうの家族は、りおうに相棒を見つけて、相棒と共に家業を継いでほしいと思っています。ですからみれいの親も一緒にうちへ来て、家族ぐるみで仲良くできるなら、相棒になります。』

みれい「言質取ったつもりなんですけど、これじゃあ証拠としては薄いですか?」

りおう「はあ、もういいです⋯。その代わり、今後りおうが盗聴してようと文句は言えませんからね。」

みれい「!!はい!約束!改めてよろしくお願いします!」

りおう「よろしくはしたくないです。」


りおう(最初から不成立にする計画が…。でもこの人なら、母上もきっと、相棒として反対するでしょう。)

りおうは法的伴侶制度に前向きではなかった。ただ、親がブライダル関係の社長と現取締役で、後々にりおうも継がなければならない。

しかし、りおうは昔から体が弱い為、いつりおうが働けなくなってもいいように、代わりに社長を継いでくれる人を、親は法的伴侶制度で探している。

りおう(ただでさえ社長になりたくないのに…。でも、母上はりおうだけを社長になんてしないはず。だから、法的伴侶制度で合う人がいないことを証明すれば…!)

りおう「ただいま。」

リュリュ「リュ〜!」

りおう「今は一人暮らしも親にさせてもらってるけど、絶対家から抜け出そうね、リュリュ。」

リュリュ「リュ!」

りおう(そう言えば、花城さんって病院の院長の子どもだよね。もしかしてりおうみたいに、親に勧められたからわざとあんなこと…言ったようには見えなかったな。お互い成立させる気がないなら、気兼ねなくやり過ごせたんだけど…)

りおうはみれいとの会話を思い出す。


みれい「みれいが死ぬ時、一緒に死んでくれますか?」


みれい「言質取ったつもりなんだけど、これじゃあ証拠としては薄いですか?」


みれい「はい!約束!改めてよろしくお願いします!」


りおう(本当に変わった人だったし、相手のペースに飲み込まれないようにしないと…。)

小説をあまり読まない為、脚本調になっています。

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